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2022/12/05-12/10 復活の週

先週末ごろまでの1週間強をコロナ罹患者として過ごしたロスタイムは大きかった。月末という事もあって、具合悪いのに請求書出したり、納品したり、納品遅らせてくださいと連絡したりで、まるで仕事の鬼みたいに必死に過ごしたのに、回復と共に私は暇になりました。

月曜
コロナのためキャンセルしていた美容院へ。
初めてこの美容院に来たのは、自分の全てにむしゃくしゃしていた1年前あたりだった(といっても、滅多に行かないから2回しか行った事ない)。
初めて行ってカットとパーマをお任せで頼んだときは、洗髪が終わってドライヤーでみるみる仕上がる自分の髪を見て??となり、??と首を傾げながら店を出たし、美容師さんは「やり直しもできますので」と3回くらい言った。出来上がった私の頭は、ゆるやかなウェーブヘア。ああ、こういうの見た事あるわ、あれだ、井川遥、雑誌の表紙の。なんなら長谷川京子でもいい。

私は何度も自分を見た。私は井川遥ではない、と。今まで感じた事がないほどに、井川遥との距離を感じた。

半年後に再び行った時には、美容師さんはロットを細くし、細かいパーマを念入りに私に施した。全く自然ではない、正三角形をした髪型は、どういうわけか私に似合っている。(やはり私はこっちなのか)と、加齢とファッションという課題に光明が見えた瞬間だった。

今回は「前回よりも細くしますね」と美容師さんは初めから断言した。何故そんなに細く?と思いつつも、ナチュラル井川遥系ではなく、こってり作り込み系で行く方針で美容師さん的にも決定なのだろう。

そしてそれで正しい、と眉のはるか上でピッタリと揃えて切られた前髪を見て思う。どう足掻いても、私はこっちであった。

火曜
具合が悪くて2週も行けなかった陶芸へ。
先生が私の顔を見ると、「あの手、爆発しちゃったよ」と言う。
私が作っていた手とは、これだ。

先日彫刻の森美術館で、ピカソの腕の陶作品を見た。
私は、「ピカソもこんなもん作ってる!」と何だか嬉しかった。
だがしかし、私が作った右手は大爆発を起こし、木っ端みじんになっていた。無念である。こんなものに、私は案外時間をかけていたのだ。
ピカソ風に色をつけてやろう、と楽しみにしていたのに…。

水曜
思い切って買ったデスクトップパソコンが、巨大な箱に入ったまま玄関に置きっぱなしだ。今のパソコンの中も、パソコンが置いてある机の上も綺麗にしなければならない。パソコン内のファイルの掃除と、私に何かあったときのために、とパソコン内の色々をエクセルでまとめたものを更新し、外付けハードディスクや、クラウドに必要なものを移す。
新しいパソコンにはなるべく古いものを入れたくない。放置気味のホームページも更新しなくてはならない。面倒くさい。だけどやり始めたら割と楽しいのがパソコン仕事。やり始めないと。

夜は気になっていたぐちゃぐちゃの本棚を整理し始めた。多くのスペースを締めていた服飾関連の本を、すべて本棚から下ろし、机の下に隠してしまった。もう全然服なんか作りたくない。沢山の時間とお金とその他もろもろを捧げてきた服の仕事には未練もあるけれど、この先の人生は服の事で悩みたくない。

木曜
かねてより楽しみにしていた大竹伸朗展へ。
秘密基地のような立体物、巨大な平面作品などが無尽に並ぶ展示空間で、疲れたと言う娘に着いて歩いていたら色々すっ飛ばして観てしまったようだ。後戻りをしようとしたら、もう戻れません、と言われてしまい無念。

かつて大竹さんの大規模展を訪れたのは2006年だった。もう16年も経ってしまったことに改めて気がつく。2006年の私も今の私もちっとも変わらない、と思っていたけれど、私は変わったんだと知る。2006年の私は大竹さんのさまざまな手法の作品や、盛り上がって膨らんだ大量のスクラップブックを見て衝撃を受けたし、自由を感じた。
何をやってもいいんだ、と勇気が出た。
だけど2022年の私はどうだ、心が揺れないのだ。
大竹さんのパワーは変わらないのに、私にはそれを受け取るパワーがない。
私の感受性が消えてしまった。

表参道に行くために、竹橋から九段下まで歩く。途中、北の丸公園に寄り、九段会館に驚き、あまりに素敵なのでコンビニで私はコーヒーを、娘はハッシュドポテトを買い、美しく整った前庭のベンチで休む。良い所だ。

久々の表参道はイルミネーションが美しく、クリスマスのムードがむせかえるほどに立ち込めている。ああ楽しい。私にもようやくゆったりとクリスマスを楽しめる時がきた。今まではいつだって辛かった。仕事が辛い時、お金が無さ過ぎて辛い時、孤独が辛い時、子育てが辛い時。大体いつだって何かが辛かったけれど、今年はとうとう殆どが解消されている。こういう時がもっと早く来てくれていたら、心穏やかに過ごせていたのに、と残念に思うけれど、人それぞれだから仕方がない。

久しぶりにフライングタイガー、そして原宿のIKEAに寄った。
行くまでは、フライングタイガーに行ったらあれを買うぞ、とかIKEAの便利グッズの紹介なんかを見て、次は必ず買わなくちゃ、と思ったことが何回もあったのに、いざその場に着くと何故か全部忘れる。今回も頭が真っ白になって、必要だと思ったことがあるものを殆ど思い出せなかった。
娘がフライングタイガーで鍵の形のペンをねだったので買ってあげた。「すずめの戸締まりにピッタリ」と言う。もう何がなんだかわからないが、家に帰って「やっぱりピッタリだった!」と喜んでいた。

金曜
部屋の整理で出た不用品をメルカリに出品する。
立体裁断の練習用にと買った小さめのトルソー、全然練習なんかしなかった。でも、誰か知らない人にいは、ちゃんと練習したり人形の服を作るのに使って欲しいものだ。その他、ファッションデザイナーのドキュメンタリーのDVDは捨てるのに忍びないので出品。DVDの再生機器すら家にないので、私が持っていても仕方がないし、もはやラフ・シモンズとかどうでもいい。

先週は店番を休んだので、午後久々のお店番。クリスマスディスプレイがピカピカの店内に、今週からはお正月グッズも並べる。十二月は店内が大混乱だ。

アマゾンで自分用に頼んでいた、LEGOのお花、の偽物風のものや、娘のクリスマスプレゼントが届いた。娘のものはすぐに店に運んでラッピングペーパーに包み、隠した。これでもう安心。あとはクリスマスの食事とかを考えなければ。娘の幼年期の記憶に暗い影を落とさぬよう、ある程度はちゃんとやらねばならない。
夜に、LEGO風のお花の組み立てをしようと思ったら説明書が見つからない。もしかして自分で組み立て方を考える知育玩具みたいなやつなの?と四苦八苦して組み立てようとしたけどこれはもう無理。

翌朝、机の上にバラバラに広げられた画材の、蓋の下でベロンとしている説明書を発見。私としたことが、昨晩すぐに『説明書が入っていません』なんてクレームを書いてしまった。イラッとした時の人間の瞬時の行動力と来たら!『説明書ありました、申し訳ございません』とすぐにまたコメントを書いた。AIのチャット方式だったのが救いだった。

土曜
私はまだパソコンを組み立てていない。
プリンターやスキャナー、ペンタブをはずしてしまったら、パソコンを出して組んで、全部付けて、ドライバをインストールして、ログインして、と想像するだけでうんざりし、なかなか勇気が出ないのだ。
来週、そう、月曜の私ならきっとできるはず。
今週はこんなにも部屋をきれいにできたんだし、と部屋を見渡す。45Lのゴミ袋を5袋分くらいは最近捨てている。それなのになんということだ、特に部屋の印象は変わらない。すっきりした部屋への道は遠い。
まずパソコンの箱を開けろ私。

来週こそは新しいパソコンで絵を描いていますように。






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