うちのヤバいだんな54話公開されました

土曜日にcakes連載の漫画、更新されました。

自分としては、とてもショックを受けた嫌な話で、だいぶ長い事引きずった事を書いたのだけど、漫画にするとそこまで深刻でもないみたいに見えますね。漫画マジック！

うちのブラックペッパー略してブラぺ(仮)は、その後『トマト』と命名されました。しかし、トマトと呼ぶ度に身もだえしたくなるほどの強烈な違和感と、それを発声している自分にダサさを感じてしまったので、早々に『ピン子』に改名しました。泉ピン子ファン？とお思いになる方もいらっしゃるかと思いますが違います。うちの犬、ミニチュアピンシャーなので、ピンシャーのピン。

実家でも犬は飼っていたけれど、世話をするのは母だったので、そこまで真剣に向き合っていなかったという事でしょう、子犬時代については全く記憶にありませんでした。

突然知らない人に引き取られて、知らない場所に連れてこられたというのに、子犬はとんでもないスピード感で、まるで私から生れ出たかのような愛着で接してきます。

(そんなにも突然好いてくれるの？)

寝室にいる私たちに向かって、ずっとキュンキュンと鳴き続けます。そのうえ、大きな段ボールの中に入れてリビングに置いておいたのに、持ち前の跳躍力で、前足で段ボールを押しながら進むという、子犬らしからぬ執念を感じさせる動きを見せ、私を驚かせます。

犬すごい。

私は連日の子犬の夜泣きで寝不足気味。外に出ると、沢山の散歩中の犬に出会いますが、皆　子犬を育て上げてここまでやってきたんだ、と尊敬の目で見はじめました。

だって、散歩すらままならない、なんて知らなかった。

犬って、ほいほい外を歩くものだと思っていたら、まったく歩かない。

ブルブルと道路っぱたで震えて、黒い饅頭のようになってしまいます。そのうちに、黒い饅頭の体から白い粉がわきあがり、白砂糖がまぶされた饅頭になります。ミスタードーナツで言うと、シュガーレイズドみたいな感じの粉具合です。

「かわいいわねえ」

そう言いながら人は寄ってきてくれますが、白い粉まみれなので恥ずかしくて、あわてて背中をはたいたものです。

この粉が、不思議なもので家に戻るといつの間にかすうーっと消えてなくなります。今日もちょっと外に出して店に連れて行ったら、普段店に行かないからなのか、ちょっと粉が出ていました。緊張すると粉が出がち。

そうやって、粉まみれになりながら、何日もお散歩訓練をしてようやく普通に歩けるようになりました。そりゃあ人間の世界は怖い、よね。

そうやって慣れない犬との生活を楽しんでしばらくたった頃、母から電話がかかってきます。犬を飼い始めた事を言うと、低く沈んだ声で、うなるようにこんな事を言うのです。

『愚か』ってそんなに人に対して言いませんよね？近藤真彦の歌くらいしか愚か愚か言っているものは思いつきません。犬を飼ったくらいで愚かと言われたうえに、「インコもいるのに犬までも！」とインコのピヨスケまで引き合いに出すのです。インコがいて犬がいるせいで、私が結婚もせず子供も産まないわけではないのに。

私、なにか悪い事をしている？いや、まったくしていない。

私はインコや犬を自分の子供代わりだと思っている？全然そんなことない。

でも、そう思って私を非難する人が、私の近くにいる。

それは私をひどく落ち込ませる事実で、自分の存在意義が揺らぎ、迷わせました。結局仕事をいくら頑張ったところで、私が結婚して子供を産むまで、母は私を認めないのです。

そんな頃、イケメンは妙に子供に関心を寄せているようでした。犬を飼い始めたのもそんな心境の変化だったのでしょう。体調が悪いと言うと「妊娠か？」と言ってきたり。そして、ふいにポロリと、本当に、口から転がりおちたかのように言うのです。

その前後に何もなく、突然。

何かのヒラメキがあったのでしょうか。得意のフィーリングってやつでしょうか。将来設計も展望も、結婚の具体的な予定もたてないくせにそんな事を言う。

一体どういう事なんだ？

ふらふら適当に、何も考えずに過ごしていきたい人なのかと思っていたら、案外違うの？　

初めてこんな事を言われて、私は自分が既にどうしようもなく大人であることを思い知り、まるで逃げ場のない断崖絶壁に立たされているような気になり、足がすくみ体がこわばります。

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〇ムスメが漫画を読んで、そろそろ自分が登場するはず！と喜んでいます。登場しないです～。

〇ピン子とピヨスケはピがつくのに、なぜ自分の名前にピがないのか？とムスメに聞かれました。そういえば韓国の歌手でピという方いますよね？案外あり得るのかと思い、「じゃあピって名前にする？」と聞いてみたけど、ピは嫌だそうです。