2022/11/20 LAMB
人に良いと言われたものは、何でも見たり聞いたり読んでみる私。
良いとは言われていないものの「あの終わり方でいいの?なんなのあの映画?どういうこと?」と投げかけられたら見ないわけにもいかねーわ、という事で、私的には早速、上映期間的には多分終盤のUPLINKに行ってきた。
そういえば、今年見た映画は全てUPLINKで、全部なんだか暗かった。
『ドライブ・マイ・カー』も人が死ぬし、『PLAN75』は75歳になったら死の選択ができる、という内容だし(実際そんな未来が本当にすぐに来そうで怖くなる)、『LAMB』は羊が可愛いね、という映画ではない。
観るつもりがなかったため、私は事前情報を殆ど見ていなかったが、ジャンル説明に「ホラー」と書かれているのは気になった。友人に、「ホラーじゃないから大丈夫」と励まされていたので、その言葉を信じるのみだ。
昔、ロンドンで上映されていた村上龍が原作の『オーディション』という恐ろしい映画を、ただただ日本語恋しいという郷愁の念に駆られて1人でかぶりつきで観てしまった事がある。あまりの惨状に俯き、吐き気を堪え、映画が終わってもしばらく立てない程にダメージを負った私に、隣の席の男性が「アーユーOK?」と声をかけてくれたほどだ。全くOKではなかったけれど、男性がカッコよかったわけでもないので、サンキューと言ってすぐに席を立った。ホラー映画は気軽に見るもんじゃない、と身を持って知った私は、以来ホラーは全く見ていない。
北の殺風景な土地で羊を育てているご夫婦の話だ。
淡々とした日々に、ピリリとたまに小さなトラブルが起きる。
だが、大波乱は起きない。
そのうち何かあるだろう、そしたら何かわかるよね
見続けていても、監督はちっとも教えてくれない。
なんで? どうなるの?
アイスランドの寂しい平原に建つ、簡素な家屋。登場人物はちっとも増えない。
寂しげな風景の中で暮らすご夫婦と羊、がメインだ。家は薄そうなガラスに木の扉、隙間風が心配になる。
買い物はどこでするんだろうか、それにしても寒そうだ、暖房はちゃんと効くのだろうか。
私の心配は映画の不穏なムードに促されてますます募るが、もちろん監督は何も教えてくれない。
そして、
えーっ、えええ?
となって、監督から何も教えてもらえないまま映画は終わってしまった。
圧倒的な熱量や時間や執念は、訳もわからず人を惹きつけるのかも、と思わせるのが『LAMB』なのかもしれない。
でもまあ、羊は可愛いかったですよ。
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