たまの外食には
私は子供の頃からたまーにしか外食をしない質で、だからこそ食べた物は割と結構記憶している。
母親は家を建てるのに注力していて、その上私は病気がちなものだから、そりゃあ外食ってのには縁が無いよね。
偶に父親が何か食べに行こうか??と言って、弟か私を連れて行くのが通例で、普段は外食はしなかった。
我が母は理想の家を建てたかったらしく、今住んでいる家は3軒めの家なのだから、相当な節約をしてたんだと思う。
そんなにせんでもええやん、子供としては考えたが、母親としては最初に建てた家は、取り敢えず実家の近くに越してくるために建てたもの。
建てた後にお隣さんに、「もし家を引っ越して、ここを売るのであれば声を掛けて。」と言って、隣の家と土地を買っていた。
隣の家を壊して、2度目に建てた家は、自分の理想を詰め込んだもの、お茶室に出来そうな和室や、少し大きめのキッチン、広い玄関という具合。
『ここで年取っても暮らすんかな?年寄りには使いにくそうやけど。』私は密かにそう思っていた。
母もそう思ったのか、最後にもっと小さい家を最初の家を壊して建てている。
そりゃあ、我が実家は外食をする余裕は無いわ、外食は父親の小遣いで父親と行くのが常だった。
私は外食は好きだった、これは自分が手伝わなくても良いという事も有るのかも知れないが、外食は家のご飯よりも美味しいと思っていたからだ。
家ではなかなか出てこない食事を外で食べるのはちょっと楽しい、なにせ知らない料理の方が多い。
自分でも作る方だが外食は特別だと思っていた。
小学校や中学校時代はそうでも、大体の人は高校生くらいに為ると、友達と食事に行くようになる。
私も友達と食べに行く機会はあった、だけど私の場合は家は四日市だったが、高校は伊勢だったので、電車で1時間半ほど掛かる。
誘って貰っても食べに行くのは難しい、まあその頃は1人でいる事が多かったんですけどね。
1度だけ地元の伊勢の子が、伊勢で一番伊勢うどんが美味しい店に、連れて行ってくれた。
安いし美味しいかもだけど、帰りの時間が気になって、慌てて食べた記憶しかない。
普通高校生だったら1人で外食するかとなるが、私の場合はそうでは無く、本を買って、お金が余ればパンでも買うって感じだったので、外食はしなかったんだよね。
短大時代は偶には外食も有ったんだけど、地元に帰って食べる事は無くて、地元の美味しい食事処は知らなかった。
結婚して子供も出来てから、町で馴染みの服屋さんが出来た、その女性がナポリタン食べたいなーと呟く。
ナポリタンかー、有名なところ有るのかな?とか考えて聞いてみる。
「美味しいとこ有るの??」喫茶店のナポリタンしか知らない身としては聞いて於きたい。
「四日市でナポリタンと言えばタベさんでしょ、高校生の時によく行ったわ~。」と教えてくれた。
「それって何処にあるの??」子供と食べに行きたいと思って聞いてみた、『タベに食べに行く??』と聞いたら呆れられるかなと思いながら。
「今はさ、小さい所でやってるみたいやね。」今も昔も知らんし、何処なんよ??
事情通の彼女がタベさんの事を話してくれた、どうも昔の店が火事にあって、店が出来なくなって、お父さんが諦めてしまったんだけど、長男さんがビルの一角を借りて商売しとるらしいとの話だ。
そのタベさんの名物が鉄板ナポリタンだった、鉄板に卵を敷いてナポリタンを載せて、熱々の鉄板で熱せられてちょっと固まった卵に付けて食べるのが良いらしい。
今ではお店も再建して、前よりも大きくなって、夜にはディナーも出している。
私は随分前に娘と彼氏と一緒に、その新しくなった店に食べに行った、ずっと食べたいと思っていて、憬れたナポリタンが出てくる。
「これは美味しいわ。」思わず声に出すと、娘の彼氏「美味しいです、こんな感じのナポリタン知らなかったです。」と答えていた。
大阪の子には解らんかもしれんけど、ここいらでナポリタンと言えばこんな感じよ、喫茶店は違うけどね。
それにしても、ナポリタンって良いな~、下の卵が固まり切って無いから、そこにパスタを絡めるのが良いんだよね。
日本人はナポリタンって外国料理って気がしてるけど、以前はイタリアではナポリタンはナポリ料理とは関係無いので食べない様にと警告されていたそうだ。
今ではそのナポリタンも日本の料理として美味しいと評価されている。
外食は余り食べない私も時には食べたくなる、でも普通のナポリタンじゃ無くて、鉄板ナポリタンが良いんだよね。
お店を続けようと思って、長男さんがビルの一角で続けていたから味わえる味なんだと思うと、美味しい味がもう1つグレードアップしてくる。
お家を建てる為に我慢して、外食を食べないのも生き方だけど、偶には外食して美味しいお店で食べるのも良いな。
美味しいお店はずっと続けて欲しいしね、我が家は今の所外食は数か月に一回と思っているけどね。
偶にの外食は物語のあるお店を選びたいな。
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