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あづま湯と赤提灯

お久しぶりのnoteです。今回も月刊サウナには書けない、かなり失礼なことも書きますので、どうか外には漏らさないでくださいませ。

さて、今回は埼玉県朝霞市にある『あづま湯』さんにお邪魔してきました。初訪問です。私は埼玉県在住なのですが、この朝霞というところ、同じ埼玉県にあっても家から地味に遠いんです。ですからバイト(東京)の帰りに寄ることにしました。が、東京からも地味に遠かった。

それなのになぜここを選んだのか。

誰もがいいというサウナではなく、誰かがいいというサウナに行きたかったから。


誰もがいいという温浴施設にはハズレがありません。行けばその人気の理由がわかります。でもそれだけにいつも混んでいる。サウナブームの中でサウナーになったくせに、このブームに乗っかりたくないへそ曲がりな自分がよく顔を出します。

じゃあ誰も行かないようなところに行けよと自分でも思うのですが、全く人気のないところは、それはそれで理由があるんですよねー。

そこで、インスタやツイッターにはあまり登場しないけれど、誰かが「いい」と推しているところ。そこならばその人がなぜ「いい」と思うのかを探る楽しみがあります。そしてもしかしてそれが自分の大当たりになることもあるかもしれない・・・そんな風に思いました。

あづま湯

についての予備知識は駅近、男性サウナが熱いということくらい。とにかく銭湯サウナですから、朝からシャンプーだのリンスだの石鹸だのをバッグに詰め込み準備しました。そして仕事を終えてから混み合う電車に揺られ、朝霞駅に着いたのが17時半頃。東口に出て駅前のロータリーを半周したところでもう『あづま湯』の看板が見えました。

ザ・銭湯という門構えではなくて、もっとソフトな感じ。常連ではない私にも敷居が低い。


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下駄箱の37を取ろうなんて人はいません。私もとりません。使いやすい上の方、73にしました。券売機でサウナ込みのチケットを買って中に入ると、下駄箱の木札と交換に、フロントでピンク色のフェイスタオルとバスタオルが入ったバッグを手渡されます。脱衣所もかなり広い。そして明るくて綺麗です。サウナを利用する人とお風呂だけの人とではロッカーが異なります。サウナーには腕に巻くロッカーキーバンドが付いて来ますが、これでジュースが買えるとか、ドライヤーが使えるとかはありません。どちらも現金が必要です。銭湯ですから。

銭湯グッズを持って浴室に入ると、カランがたくさん。奥には水風呂や寝湯やジェットバス、熱めのワイン風呂まであります。淡いマーブル柄の洗面器と椅子を手に取り、固定式のシャワーの前へ。髪や体を洗ってお風呂で温まってからようやくサウナです。

広い。銭湯サウナでこの広さは初めてかもしれません。3段あります。15人くらいは入れるかな。レンガの箱の中をのぞいたら石。電気じゃないんだ(初心者の解説)。温度計は88度をさしていますが、湿度が低めなのかもっと熱く感じました。一番下に座り壁にある砂時計をひっくり返します。2度ひっくり返したので、10分近くいたでしょうか。だんだん自分の今日の体調に気づき始めました。多分30点くらいかなと。

最近、サウナに入ると自分の体調がわかるようになりました。入るまでは分からないんです。サウナに行けるということで気分が多少高揚していますから。でも入っているうちに分かって来る。首を傾けたときに少し貧血気味だなと感じたり、深い呼吸がいつもよりしにくいとか、汗の出方が違うなとかで。

私のような人間はスマートウオッチが必要だとよく言われます。あれがあれば心拍数とかが分かって無理をせずに済むな〜と自分でも思うんです。でもまだ買ってません。サウナにはタオル一枚だけ持って入りたいのと、できれば自分の体のことは自分で感じるようになりたいからです。でもよく判断を間違えるので、買おうかどうしようか迷い続けています。

さて、30点の体だと判断したからにはもう出なければ。水風呂は冷たすぎずぬるすぎず、ちょうどいい。1分弱で出て休憩です。銭湯サウナでカランの前に座って休憩するのも私は結構好きなのですが、ふと横を見ると、扉が。もしかして外があるのかな。

扉を開くと季節の温泉(限りなく温泉に近づけた人工温泉と書いてありました)とその前にベンチが二つ。露天風呂かと思いましたが、外は見えません。でも広くてとても心地がいい。ベンチに座ると、どこからか外の風が入ってくるのがわかります。ああ、ここが私の好きなポイントだなと思いました。ベンチもサウナ用のものではなく、よく自動販売機の横にあるようなもの。そういうところも好きです。

ベンチで休んでいたら30点だった体が50点くらいになってきました。もう1セットだけしよう。今度は上段に座りましたが、下段との温度差はそれほど感じませんでした。とても痩せた方が何度もサウナに入ったり出たりを繰り返しています。きっとそれがこの方のちょうどいいペースであり、楽しみ方なんだろうなぁと思いました。一度も目を合わせることもなく、広いサウナ室にこの方と二人きりで過ごしました。

ここは刺青オーケーです。同じ埼玉にある「ふくの湯」という銭湯で、本気の刺青を入れている人をみたことがありますが、この「あづま湯」ではおしゃれな刺青の女性を見かけました。賛否両論あるでしょうが、私は刺青が入っている人で、マナーの悪い方を見たことはありません。本気の刺青を入れている人はどこか遠慮がちだったし、おしゃれな刺青を入れている方は笑顔の人が多い。出会った方がたまたまそうだったのかもしれませんが。

逆にこれまで出会った人で一番厄介だと思ったのは不寛容な人。別にルールを守らない人を許せという意味ではありません。自分と違う人を自分のルールで排除しようとする人が一番厄介。そういう人は常に周りを監視し警戒していて、一緒にいてとても居心地が悪い。

あづま湯に、そういう人はまったくいませんでした。この日この時間にいた方は、皆自分のお風呂を楽しんでいました。丁寧に体を洗う人、持参した冷凍コーラが溶けなくて苦戦しながら脱衣所で飲んでいる人、3分のドライヤーって案外短いわねと独りごちている人、他人が何をしているだとか気にするような人はおらず、誰も新参者の私のことなど見ていない。同じ空間にいるだけ。いい銭湯だなと思いました。

サウナ用のタオルを返す時、フロントの女将さん?が両手で受け取ってくださるので、私も思わず下駄箱の木札を両手で受け取りました。外に出ると心地よい風。

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昨日までの雨のせいで草がしっとり濡れているとも知らず、粘土を置いてしまいました。

時計を見ると、まだ19時。


あづま湯の近くには良さげな居酒屋がいくつもあると聞いていたのですが、これから電車を乗り換えて帰る体力を考えるとそれを探す気にもなれず。すぐ横にある赤提灯の暖簾を思い切ってくぐってみました。思い切ってという言葉がぴったりなほど、看板も出ていないお店でした。

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中に入ると結構広くて、奥のカウンターで男女4名ほどが飲んでいました。手前のテーブル席に座ろうかと思ったら、「一人?」とお母さん(お客さんがそう呼んでいた)に言われて、「そうです」と答えると、一斉にお客さんとお母さんが「こっちこっち」とカウンター席を一つ空けてくれました。テーブル席が良かったよ・・・。

荷物はそこに置いてね、誰も盗んだりしないからねと言われて、後ろの畳の席にカバンとコートを置きました。メニューはホワイトボードに。何にしようか考えてたら「まあ、まずは生でも飲んでゆっくりして」とお母さんに言われ、熱く絞ったおしぼりを渡されました。さらに「アスパラ茹でているところだから、どう?」と言われ、それにしました。

すぐにお通しとビールが出て来たので、そっと粘土を出して撮影。



映えない。

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カウンターの男女4人の、というか女性2人の下ネタがすごかった・・・。松坂桃李と蒼井優のベッドシーンについて丁寧に説明しているだけなんですが、言葉のチョイスが非常によくない。私の隣に座っていた男性も途中から相槌すら打たなくなり、私に向かって「エシャロットいかがですか?」と食べかけのお皿を差し出してくれました。困る。

話が思いのほか弾まないとわかった女性は、急に「あづま湯」の話に方向転換。しかしお母さんはお風呂が嫌いらしく、「あづま湯なんか行かないわ」という返事。もちろん私は、たった今自分があづま湯に行ってきたことなど、一切口にしませんでした。

お世辞にも綺麗なお店とは言えないけれど、出てきたアスパラは色鮮やかで茹で方も少し硬めのいい感じ。添えてあるマヨネーズも可愛く盛ってありました。いつもならさらにお肉やお刺身を頼むところですが、タバコの匂いが気になってきたので、「お会計お願いします」と立ち上がりました。手書きの「ビール、トマト、アスパラ、1500円」という紙をお母さんから渡されて、お支払い。女子か。

「ごちそうさまでした。お先に失礼します」とお母さんとお客さんに挨拶すると、皆で一斉に「また来てね」と言われ、手を振られました。

絶対もう来ないと思われているんだろうな。


朝霞、いい所だな。


あづま湯が一番好きという人も、この赤提灯が一番好きだという人も、その理由がわかるような気がしました。

約束はできないけど(特に赤提灯の方)、また来ます(あづま湯の方)。


滞在時間→あづま湯は1時間半くらい 赤提灯は40分くらい

料金→あづま湯はサウナ750円ドライヤー20円 赤提灯1500円 


間違っていたら教えてください。たった1杯のビールで酔ってしまったものですから。


サウナのサチコ    





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