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サウナのサチコのサウナじゃない話④『鬱と鏡』

去年、大きな鏡を買ったんです。

全身が映る鏡が欲しくて、ずっと探していたらようやく見つけたんです。好みのデザインでサイズ感も丁度いいものを。でも高かった。毎回言ってるけど「私には」超高かった。だからかなり迷いました。でも結局買いました。だいたい私は、そうなるんですけどね。

サウナに行くとたくさんの鏡があります。見たくなくても自分の全身を見てしまう。私はご存じの通りネガティブなので、鏡を見てうっとりすることはまずありません。むしろ心底がっかりすることが多いので、極力見ないようにします。ただどんなに見ないようにしていても目の前には鏡しかないので、シャワーを使う時、体を洗う時、つい見てしまいます。

そんな私がなぜ大きな鏡を欲しいと思ったのか。

温浴施設の鏡と毎回向き合っているうちに、自分の小さな変化に気づくようになったからです。少し太った、痩せた。顔色が良くなった、悪くなった。あまみがカラダのどこからどこまで出ているのかも分かります。その日によって顔の表情すら違って見える。外側から自分の体調や心の変化が分かる気がしました。そして少しずつ健康な体つき、穏やかな顔つきになっていく自分を感じ始めたんです。

これ、必要なんじゃないか。

そう思いました。別に自室に鏡を置いて、その前で裸になりたい訳じゃありません。これまで何度も書いていますが、鬱になる人って自分を知らない人が多いそうです。だから自分の体力や気力の限界をすぐに超えてしまう。その背景には視野の狭さもあると言います。物事を部分的にしか見ない。短いスパンでしか考えないから、今何とかしなければと全力で頑張ってしまう。もっと物事の全体を見れば、今すぐに動かなくてもいいものを。あるいは全力で取り組まなくてもいいものを。

同様に自分の体もある部分だけを見ていると、そこばかりを何とかしようとする。女性なら顔のシワやシミでしょうか。でも全体を見るともっと何とかすべき所がある・・・いやいやそうではなくて、全体からすればそんなことはとても小さなことだと分かるのです。大事なのは小さなことに一喜一憂せず、余計な想像や心配をせず、落ち着いて全体を見ること。そして静かに自分や物事と向き合うこと。

以前、のぐちさん人形を買ったことを記事にしましたが、あれも同じです。自分の気持ちをのぐちさんに聞いてもらうことで、のぐちさんが私を客観的に見てくれる。もちろんのぐちさんの言葉は私の内から出ているのですが、まるで友達の意見を聞いているように自分と対話できます。冷静になれます。クククと笑えます。しかも抱きしめればオキシトシンという幸せ物質が増えるという・・・。のぐちさんを抱きしめながら、自分のことも抱きしめている感じですね。


鏡は偶然にもクリスマスの日に届きました。思っていたより重くて大きかったけど、とてもシンプルなデザインなので狭い部屋でも圧迫感がありません。この鏡の前で私は毎日、服を着替え、髪を整え、全身を見ています。

ちなみにこんな鏡です。もちろん写真は私の部屋じゃありませんよ。メーカーのサイトから拝借しました。

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外枠は竹でできているそうです。とても気に入っています。これからどこに住もうとも、この鏡は必ず持っていきたいと思っています。


あれ? 今日の私はちょっとまずい顔に映ってる。背筋伸ばして笑ってみよう。それではまた。


サウナのサチコより





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