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厄介な植物

さて、会議を始めます。

今日の議題は、こちらです。
そう、この赤くて、トゲトゲした植物。

実に厄介なものです。
我が家の庭にはびこっているのです。

では、意見を集めます。
この厄介なものを退治する方法を考えてください。

最も簡単なのは、食べてしまうということかと思われますが、いかがでしょうか。

賛成の人?

ありがとうございます。
では進めます。

食べるための方法を考えましょう。
この植物は素早く食べ切る必要があります。

まずは、そのまま食べるという方法がありますね。
洗えばいいだけなので、これが一番手っ取り早いでしょう。

え、潰す?
これを潰すのですか。

どうでしょう……
意見が分かれるところかと思いますが。

なにせたくさんあるのです。
潰すとなると、手を先に痛めてしまう危険があります。
そうなれば、この植物の思うつぼでしょう。

ああ、ミキサーですか。
なるほど。
議事録に残しておきましょう。

他の案はありますか。

ジャム。
いいですね、実にいい。

大量に消費するという観点では合理的な選択肢と思われます。
しかし、ジャムには大量の砂糖を使う。
我が家の料理人は砂糖を嫌がりますからね。
慎重に検討が必要でしょう。

なに、かき氷。
かき氷にかけるというのですか。

いや……それは……
申し上げにくいのですが、かき氷にかかっているのはこの植物の実ではないことを、ご存じない?

あれは香料というのですよ。

別の案を求めます。

ケーキにする。
素晴らしいですね。
主役を小麦粉とクリームにすり替えてしまうという案です。

そして、やはり料理人との交渉が必要となります。

さて、こんなところでしょうか。

なに、料理人がこっちを見てる?
何か言っていますか?

え、早く決議を求めると。

いや、これはなかなか厄介な事案でして、早急な決断は致しかねると考えますが。

なに、もう夕ご飯の時間が近い?

そりゃ困りましたな。
今日のおやつを食べ損ねるのだけは避けたいところです。

では、決議に参りましょう。

そのまま食べるか、思い切ってジャムづくりを交渉するか。

現実的に、すぐにできる対処法はこのくらいでしょう。
ミキサーとケーキは、明日以降の要望事項として記録しておきます。

さて、そのまま食べる方が多数とお見受けしました。
やはり、初日の対処としてはそのくらいで妥当と、私も考えます。

「ねえ、どうやって食べるか決まったの?」

おっと、料理人が待っている。
ただいま伝達してきますからお待ちください。

「うん。そのまま食べるよ」
「まったく、いつまで考えてるの。早く手を洗っていらっしゃい」

僕はぬいぐるみを置いて洗面所に入った。
色々考えたけど、庭で採れたイチゴはそのまま食べるのが一番いいや。

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