「頑張れ」に殺されそうになった話
社会人になるまで23年間、「死にたい」なんて思ったことも考えたこともなく生きてきた。
しかし、小売店に新卒入社して半年が経とうとしていた秋頃、漠然と死に方を考える日々を送っていた。
階段や高いところに登った時、ここから踏み出せば__
駅で通過電車が来る時、ここで踏み出せば___
ハッキリ脳内に「死にたい」の文字があったわけじゃないと思う、けど、
そんな衝動に駆られることが多くなった。
はじまりは、店長が変わったこと。
店長が変わって1ヶ月くらいの頃、前の店長からパワハラを受けていた先輩が鬱で休職した。
社員の補填もなかったため、店の社員が私と店長しかいなくなった。
それなのに、新しい店長はまったく新人教育もフォローもしない。
だだっ広い店舗で1時間のワンオペをさせる、
新入社員(私)やバイトの子が分からないことがあって質問しても「ふーん」、「ちゃんと覚えてください」と言うだけで教えることはしない。
クレーム対応などで助けを求めれば「店長が居ないと判断できないでは困ります」、「店舗で何とかしてください」と言い、いざ店長自身がクレーマーに当たったら、クレーマーを煽るだけ煽ってマネージャーに丸投げ。
挙句の果てに廃棄や返品処理、ワンオペがないようにシフト調整など、店長の仕事と言われる仕事を放棄。
ほぼ最低賃金のパートさん達に押し付けるわけにはいかないから、社員の私がマニュアル調べたり休憩や作業調整する始末。
店長からは判断と責任を押し付けられるストレスと
勤続年数2桁のパートさん達からは入社半年なのに社員として頼られるプレッシャーで
品出ししながら、メガネとマスクでバレないように泣く日々。
出勤する度に腹痛や頭痛、息苦しさを抱えながらクレーマーやセクハラ客の相手をする日々。
新入社員の私にとっては精神的にも肉体的にも限界が近かった。
そんな中、面談で店長から言われた言葉。
「他の新卒より遅れています。僕もマネージャーもそう感じています。もっと頑張ってください。」
頑張れ、とは?
絶望に近いショックだった。
何がどう遅れているのかは言わずひたすら、普段私がサボっているかのような口振りだった。
私は頼れる人も居ない中で自力で“頑張ってる”のに。
私がこの人の分の仕事も処理してたのに、急病とか店長の伝達ミスでシフト回らなくなったのをフォローしてたのに。
だんだん濃いモヤモヤが胸の辺りにへばりつく感じがしてイライラした。
これ以上頑張れって、死ねってこと?
あぁ、ここで頑張っても意味がないんだ。
それまで義務感と責任感だけで働いていた心がポッキっと折れる音がした。
追記
その後、退職の意思を伝えると店長ではなくマネージャーと面談があった。
そこで言われた言葉も、たまにフラッシュバックして胸に突っかかる。
「もっと強い子だと思ってた」
私だって人よりメンタルは強いと思ってるよ?
だから客と店長からの嫌がらせに負けずに半年近く
無遅刻無欠勤でシフトをこなしてたよ?
立っていられないくらいの痛みも、ちょっとしたことで涙が出てくる情緒も薬で誤魔化して働いてたよ?
涙をマスクとメガネで隠して取り繕いながらも欠勤せずにやりきったよ?
そんな強い子を殺せるほどに、
お前ら管理職が管理すべき職場環境が劣悪だったんだよ。
本当にあの会社の30歳以上の奴らは人を傷付けることに秀でた奴ばかりだった。
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私は生きることじゃなくて、その会社を辞めるっていう判断ができた。
多分、ギリギリ残った理性のおかげ。
でも、もし言われるタイミングが公私共にもっと追い込まれてた時だったら?
もし電話面談で駅のホームに居る時に言われたら?
きっと衝動に負ける気がする。
あと、ここに書いた衝動とかは私の性格というより
洗脳というか心の風邪みたいなのが原因なので、
現在はそういった衝動に駆られることはまったくなくなったのでご安心を。
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