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介護食


嫁入り道具の一つに
調理師の免許を取った
普通に料理は好きだけれど
結構上手だと思うけれど
調理師の資格を役立てて
働いたことはない
でも母が倒れて介護する決心をして
ようやく調理師の資格、とった甲斐があるかも
そう思っていた
母のすぐ上の姉が数年前に
すい臓がんで亡くなった
1年くらい毎週日曜日に
病院に通っていた
あるとき、叔母に
今日のお昼ご飯、何か
メニューみてきて、と、言われた
目の前のトレイに運ばれた食事はあるのだけれど
食後のゼリーや飲み物はわかるけど
食器の中のどろどろの茶色の食物らしきもの
それが何かは見ただけではわからない
食堂に行ってメニューをみると
その茶色のどろどろの食物は、すき焼きだった
母の介護を始めたら
もうすこし手をかけて工夫して
みためにもおいしそうなものを
作ってあげたいと思っていた
でも母はもう食べられない
2時間、3時間かけて
栄養を鼻から胃にチューブで流し込む

どろどろの液体でも
口から自分で食べられた叔母は
母に比べたら幸せだったのかな


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