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カタツムリの悲しみ

ナメクジがカタツムリの進化形と知ったとき、とても驚いた。


進化は複雑化する、伸長するものと思い込んでいたので、まさか単純化するとは思わなかった。

生まれながら殻を背負ってきたカタツムリは、何も背負わない、故に小さな隙間にも隠れることが出来るナメクジの形に進化したという。


成長に伴い大きくなっていく殻を背負い続けるカタツムリと、背負うのをやめたナメクジ。


新美南吉の童話「でんでんむしの かなしみ」をご存知だろうか。


一匹のでんでんむしが、ある日、自分の殻の中に「カナシミ」が一杯詰まっっていることに気付き、友達を訪ね、もう生きていけないと自分の背負っている不幸を話した。


友達のでんでん虫は、それはあなただけではない、私の背中の殻にも、カナシミは一杯つまっている、と答える。でんでん虫は、その後もたずね歩き、カナシミを背負っているのは自分だけではない事に気付く。そしてカナシミは自分で、こらえていかなければならないのだ。と嘆くのをやめる話。


辛い苦しいを見せないだけで、誰もがカナシミを背負って生きている。
カタツムリみたく、黙ってゆっくりゆったり進むだけ。

カタツムリは、変化しナメクジとなった。
身軽となったその姿は、捨身であろうか。

私達はカナシミを背負い、こらえて生きていくだけ。

私とカタツムリは、友達だ。



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