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BAKER SACHI 初年度(2020)決算報告

こんにちは、パン屋のサッちゃんです。
いつも応援してくださってる皆さま、ありがとうございます!
初めましての皆さま、興味を持ってくださってありがとうございます♪

日本からアメリカ(ジョージア州)に移住した翌年、ファーマーズマーケットで週末だけのパン販売を始めました。
それから1年ちょっと経った今、ここジョージア州でも4月15日締め切りの確定申告のようなものがあって、私もつい最近パン屋1年目の申告を済ませました。ホッ!

いつも応援してくださっている方にも、売り上げのお話をしたことがないので、「頑張ってるのは知ってるけど、実際利益は出ているの?」と思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今日初めて私の記事を読んでくださっている方の中にも、経営の「け」の字も知らないド素人が、1年間に異国でどの位の事が出来るのか興味がある方もいるかもしれません

ということで、初年度の決算を丸々っと公開してみます。

**パン屋を始めるまでの経緯をザっと纏めるとこんな感じです**
貯金も、コネも、経営経験もない私でしたが、「アメリカでパン屋をやりたい」という想いと、日本で14年のパン屋経験、そして応援してくれる人達が何人か居ました。
日本からアメリカへ移住した3か月後、パン作りの道具を集めるために資金調達から始めます。
多少調理が出来たので、夫の口利きで近所の大学のカフェテリア(食堂)で働かせてもらうことになりました。
時給11ドルで週に3~4日(約30h)のアルバイトをしながら、1年かけてパン作りに必要な機械や道具を集め、地元の材料と自家製酵母を使ったレシピをいくつか完成させます。また、週末はイベントやフリーマーケット、ファーマーズマーケットなどを回って、パン販売に良さそうな場所を探しました。
そうして2020年1月、自宅から片道40分のPerryという小さな田舎町のファーマーズマーケットでパンの販売を始めました。


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それでは早速、見ていきましょう!


2020.1月

説明用

先ずは1月分です
1/11(2週目) 、視察したPerryファーマーズマーケットの主催者の1人に会えたので、翌週1/18からパン販売をさせてもらうことになりました。
近所のスーパーで折り畳みテーブル1台$50と小さなテント1つ$70を買って、朝焼いたパンを10個~15個並べたのが始まりです。
初月の売り上げは$81、経費$155、利益は-$74でした。

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2月~4月

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つづいて2~4月分を見ていきます。
冬から春へと暖かくなるにつれ、マーケットへ来るお客さんの人数が少しづつ増えてきたので、パンの数も少しづつ増やしていきました
パンが置ききれなくなったのでテーブル2台目を買い足しています。
とは言え平日アルバイトをしていたので、マーケット当日の朝に焼けるパンは20~40個、そのパンをリサイクルショップで買ったバスケットに並べていました。
看板を手作りしたり、テーブルクロスやバスケットを使って美味しそうに見えるディスプレイを工夫しました。

まだまだ数が少なかったことと「焼き立てパン」+「珍しい日本のパン」ということで毎回お昼前に売り切れていました。
この頃は100ドル売るのが目標で、パンをもっと焼くためにアルバイトの時間を減らしていったのもこの時期です。

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5~7月

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【5月】コロナの影響があちこちに出始めます。アルバイト先のカフェテリアが大学の授業オンライン化に伴い閉鎖となり、失業しました。
車がなかったため他の勤め先が見つからず、パンを売って稼ぐと決心します。
1年間のアルバイトで貯めた資金と、そこで鍛えられたコミュニケーション力やアメリカ料理の知識、日本でのベーカリー経験など、使えるものをフル稼働してパン屋に注力しました。
テーブル3台目を買い足し、テントをそれまでの4倍のものに買い替えました。製パン道具やパンを運ぶコンテナなども買い足し。試作を繰り返す日々の始まりです。

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【6月】さあこれから!という時にステイホームが重なります。マーケット自体は開催されていましたが、暫く自粛することにしました。
その間、当初から気になっていた「自家製酵母パンのため仕上がりにムラが出やすい」を、「安定したパン作り」が出来るように、レシピの改善をしました。
パンのクオリティを上げるためにベーキングストーンなどの製パン道具を買い足しています。

6月後半、コロナへの配慮でマーケットがドライブスルー形態で開催されるようになり、新しいレシピでパン屋復帰です。
車の中からでも見やすいように商品の種類を絞り、買い物がスムーズに出来るように予めパンを袋詰めして販売しました。
このドライブスルーが当たって(アメリカ人はドライブスルー大好き)、新規の出店者やお客さんがマーケットに来るようになったので、ショップカードを作っています。
また、他の出店者からいろいろな刺激を受けました。
中でも携帯と小さなカードリーダーを使って、屋外でもカード決済が出来ることを知ったのは大きな報酬でした。それまでカード決済ができないという理由で取りこぼすお客さんが少なくなかったので、早速カードリーダを購入しました。

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【7月】マーケットは通常形態に戻りました。春~秋限定でマーケットに現れる人気のお花屋さんが出店し始めたので、マーケットがさらに活気づきます。
コロナが落ち着いていない中、屋外のためかマスクをする人が少なく食品を扱うことが心配でした。
そこでパンを前日の夕方に焼いてあらかじめ包装し、また総菜パンのような当日焼きのパンはスクリーンを掛けて販売しました。
前日に焼くことによりパンの数を増やすことが出来るようになったので、この時期売上げが伸びています。
7/18(3週目)は、夫が前日手術を受けたのでマーケットはお休みしましたが、7月は遂に4桁の売上に漕ぎつけました。
テーブル4台目を買い足しました。

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パンは売れていましたが、天然酵母(自家製酵母)パンが日本ほど理解されていないと感じたので、パン紹介やパン作りへの理念などお客さんに理解してもらえるようにフライヤー(説明書)を作り配り始めました。
この時、夫の古いプリンターが壊れたので新しいプリンターに買い替えています。

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8月~10月

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【8月】この頃になると小麦の使用量が10kgを超え、手捏ねと家庭用小型ミキサーを駆使しても限界を超えていました。
家庭用の大きなミキサーを買い足したことで、パンのクオリティーが上がり安定感も増します。
人気のお花屋さんがマーケットに人を集めるので、その恩恵を受けてせっせと新規のお客さんの開拓に励みました。
悪天候や連休に重なるなどイレギュラーな時以外は、完売が続きました。

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【9月】フライヤーやクチコミなどでパン屋目当てでマーケットを訪れるお客さんが少しづつ増え始めた感じがありました。改めて宣伝の効果を感じFacebook、Instagram等のSNSを活用し毎週のメニュー、新商品、おすすめ商品の告知を始めたのがこの時期です。
日本人のお客さんとの出会いが広がりだしたのもこの頃で、食パンのリクエストが多かったので食パン型を纏めて購入しています。

マーケット開始から2~3時間で売り切れることが多くなり、小麦の使用量は16kgを超え、パン数は200個を超えていました。この頃、何度か疲労で体調を崩してしまい、このままでは長く続けられないと判断し歯痒さを感じつつも1回のパン販売の生地総量を30kg(小麦約15kg分)までに抑え、パン以外の物販を始めました。地元養蜂家から蜜蝋を譲ってもらい、パンの保存に適した蜜蝋ラップを手作りしてパンと一緒に並べ出します。

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また、ファーマーズマーケット以外のイベント出店が出来るように、州の定めるライセンスを取得するためFood Handler Training & Exam(食品衛生基本コース)のをトレーニングを受け、無事試験にも合格しました

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【10月】夫の乗用車にパンが積みきれなくなり、パン屋用の中古車を買うことにしました。パンの売り上げの貯金が4000ドル(約40万)しか貯まっていなかったので店舗経営の経験がある友人に「安い中古車を買うか、もう少し貯まるまで待つか」と相談したところ、なんと60万円送ってもらうことになります
色々な中古車を探してまわり、ホンダのCR-Vを購入しました。将来的に私が私用で使うことを考慮して、車代の70%($6279.00)をパン屋の経費としています。

安心してパンが積めるようになり、10月は販売日が5日あったので初めて月の売上げが3000ドルを超えました。

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11~12月

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【11月】9月に受けた試験をもとに申請していたライセンスが発行CottageFoodLicense(食品販売免許)されました。
涼しくなり人気のお花屋さんが来なくなりました。マーケットへの来客数が減りパンが余る日が出始めます。アメリカの祝日サンクスギビングがある週はお客さんが増えたりと、週によってマーケットの様子が変わるので、カレンダーや天気予報を見ながらパンの製造数を調整するようになります。
出店者が少ない冬期はパン屋の真の実力、それまでの頑張りが試される時です。
パンを目当てにお客さんが足を運んでくれるように、その日のパンを完売しても後日に繋がるようにと店頭に立ち、ショップカード、フライヤーと一緒に試食を配りました。
この時期ショップカードを作り足し、パン屋が認識しやすいように屋号とロゴキャラクタ―の入った大きなのぼりのデザインをプロのデザイナーに依頼し製作しました。
また、将来的にオンライン上でも収益が出せるようにYouTubeでのパン作り動画をプロの動画編集者に依頼するようになりました。

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【12月】12/5(1週目)は年に数回のイベント「クラフトマーケット」が開催されたのでマーケットが賑わいました。またクリスマス前はテーブルロールなど食事用のパンの予約が多く入りました。
年末の12/26(4週目)は気温が低く多くのパンが残りましたが、初年度のため、売れなくてもとにかく出店して1年分のデータを集めるというタスクを達成しました。
雨が降ってプライスカードが滲んでしまわないようにラミネーターを購入し、また次年度の食品取扱免許のライセンス料を支払っています。

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ここまでお付き合いくださいましてありがとうございました。
駆け足でしたが、こうして纏めてみると我ながら色々な挑戦をしていました。今思うと、もっとこうしておけば良かったと言うことがいくつかありますが、その時々の自分のベストを出した結果なので真摯に受け止めたいと思います。

結果2020年度は
売上総額$17,771.00 経費総額は$ー13,101.00 利益は$4,670.00となります。日本円にするには、ざっくりですが×100にしていただけると分かりやすいかと思います。
経営を知る方はこの数字をどう見るのでしょうか?
特に5月の失業以降は売り上げから翌週の材料代を差し引いたほぼ全額を、機材などの設備投資に回していましたが、何パーセントかは貯蓄に回した方がいいとかあるのかもしれません。
私の場合は夫が生活の大半を面倒見てくれているので出来たことです。

2021年度も5月に入りましたが、2年度はもう少し余裕が出来るかと期待していましたが相変わらずバタバタしております。
ただ少し自信がついてきたようです。それは1年目の目まぐるしい変化へ対応したという経験と、自分たちのポリシー(理念)に合わないものに「No」と言える自分になったことが大きいと思います。

これからのBaker Sachiがどんな風に変化していくのかは私も分かりません。
ただ私たちのポリシーである‘’Yummy &Healthy(美味しく健康的に)‘’は変わることなく、今後もその時々に柔軟に対応していきたいと思います。

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