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後悔。

犬と暮らし、見送った経験のある人ならほとんどの人が思う事だと思う。あの時ああしておけば、こうしておけばよかったのかもしれないと。まだ愛犬は側にいてくれるけど、私もその思いに支配されている。床に落ちていた血を見つけたのはいつだったか。出血した場所を特定することができずに数ヶ月。もちろん病院にも連れて行った。あの時もっと踏み込んだ検査をしておけばよかったのかもしれない。でもそれは後悔の中でも小さな方だ。病気がわかった後に自分がしてしまった事には大きな後悔を感じている。

癌と診断された時、病院の先生にお願いしたことは、できるだけ痛みのないよう穏やかに過ごさせたいという事だった。QOLを上げることだけを考えたいと伝えた。少しでも進行を遅らせるための抗がん剤、痛み止め、ステロイドの投与を始めた。投薬も順調にできて、滑り出しは良好だった。ただこれらを投与することは体へのダメージは避けられない。このダメージを和らげ、体の状態を少しでも良くすればさらにQOLは上がると考えて、友人から教えてもらった漢方薬を試してみようと考えた。病気がわかってからの私はネットで情報を集め、同じ病気のワンコさんのブログ、獣医さんのコラム・・混乱していた。何か少しでも良いことを、とそればかりを考えていた。そんなときの漢方薬の情報に飛びついた。漢方専門病院の先生はとても親切で、じっくりとわたしたちの話に耳を傾けてくださった。苦くて少し飲みにくいかもしれないという話だったけれど、1回目は何とか飲ませることができた。が、2回目から・・全力で拒否されたのだ。それからというもの、漢方薬はもちろんのこと、それまで順調に投薬できていた抗がん剤などの薬も全く飲めなくなってしまった。私の手から与えるものに警戒し始めたのだ。決して漢方薬が悪かったということではない。私の飲ませ方に大いに問題があった。もともとが用心深く、デリケートなこの子には無理だったのだと思う。ひどく落ち込んで自分を責めた。今でも自分を責め続けている。投薬ができない今、週に何度か注射に通うことで何とか小康状態を維持できている。

この子にとって、私の手から出るものは優しくて甘くておいしいものであってほしいと願う。なにもしてやれないと焦ることはやめて、そっと側にいてやろうと思う。

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