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【体験談】病院奨学金を借りていたものの途中で辞退して全額返済した私の話~病院奨学金を検討している看護学生さんへ~

私は、大学2年生の時に病院奨学金を借りることを決めました。ですが、様々なことを考え、大学3年生の夏に辞退する(取り消して返済する)ことを決めました。「3年間働けば、3年間分借りたものが0になる」こんな美味しいものはない、と喜んで飛びつきましたが、これから借りる人には考えてほしいことが数点あります。
今日はまず、私の体験談を書きます。「こんな考えを持って、こういう体験をした人もいるんだと」参考程度に読んでいただけると嬉しいです。

病院奨学金とは

簡単に言うと、病院から奨学金を借りて、その病院から奨学金を頂いた期間、その病院に勤めれば返済が免除になるという制度です。

 奨学金制度には、日本学生支援機構、都道府県や地方公共団体、民間団体などの機関が行っているものや、学校独自の奨学金、そして病院が行っている奨学金などがあります。
病院奨学金制度というのは、その名の通り病院が学費の貸与を行う制度です。学生支援機構や地方公共団体の奨学金制度との大きな差は、その病院で一定期間働くことにより、返済が免除になる、という点です。つまり、事実上、ほとんど学費を払わなくて済むのです。

看護医療進学ネット 病院奨学金制度ってなに??http://www.ishin.jp/useful/hospital/

私が病院奨学金を借りることになった経緯

 私は、そもそも私立大学に進むつもりがなく、国公立大学に進学する予定でした。ですがチャレンジ校である現在通っている私立大学に合格し、両親も「こんなに頑張って勉強してきたし、すごく魅力的な大学だから学費は高いけど行ってもいいよ」ということになり、私立大学へ進学することとなりました。

しかし、私立大学の学費は年間160万×4年=640万円。はい。高すぎる。

ということで、年間60万円×4年=240万円ほどの奨学金を借りるという条件付きで私立大学に入学しました。

そして、私は赤十字系列の大学に進学した友人から病院奨学金の存在を教えてもらっていたため、「そうだ。240万円は病院奨学金で賄おう。240万も自分で返したくないし。就活も早めに終わらせられるし。めっちゃいいじゃん!病院奨学金!最高」と考え、病院奨学金を借りることにしました。

病院選びから採用面接まで

親と約束している240万円を借りるためには、少なくとも2年生次から借りなければならないと考えていたので、1年生の夏ごろからネットで少しずつ病院探しをしていました。

・助産師を目指しているため、産科があること(必須)
・できれば分娩件数は400件以上
・貸与額:年間50万円以上
・福利厚生がしっかりしている
・できれば2交代

など、上記の希望を挙げて、(主に関東ですが)けっこう全国くまなく探しました。
様々な病院を検討しましたが、一番金額が大きく(年間100万×3年間)関東圏内の以下の病院を選びました。

・2次救急の総合病院
・病床数 500床 分娩件数 600件/年間 
・貸与額 300万円(100万×3年間)
・貸与は大学2年生から最大3年間(専門学生は2年間)
・福利厚生しっかりしてそう
・ボーナスもたしか4.0か月くらい

面接中に知る衝撃の事実

上記の条件は良かったのですが、私は助産師を目指している看護学生の私にとって衝撃の事実を知ることになります。

採用面接時の最後に
「何か質問はある?」と言われたので、「助産師コースに落ちた場合、大学院に行くのか、専門学校に行くのか悩んでいます。」と伝えたところ、

・卒業後はそのまま就職してもらうことになる
・つまり、4年次に設置されている助産師コースに落ちた場合には、助産師学校はおろか大学院に進学して助産師資格を取得することができない
・助産師コースに落ちた場合には、看護師として3年間働くことになる

という(私にとっては)衝撃の事実が分かりました。
これを認めてもらえない場合には、お受けできないという雰囲気だったので、何としてでも奨学金をもらいたくて必死な私は「はい。分かりました。看護師の経験も大切だと思っています。それで大丈夫です。」みたいに答えた気がします。

(今考えると、面接当日にこの事実を知ったのがいけなかった…。これが後に大きなモヤモヤになるとは…)

この時は正直「まあ、頑張って助産師コースに合格すればいい訳でしょ??がんばろ~~」くらいに安易に考えていました。でもどこかで、「え、落ちたら看護師として3年間働くの??25歳まで???」という小さな違和感はありました。

助産師コースに落ちたことに関する記事はこちら

ですが合格通知が来て「よかった。これで3年間働けば返さなくていいんだ。」という安堵や返済からの解放感などから、病院奨学金を受けることをあっさり決めてしまったのです。

積もりゆく小さな違和感と将来への不安

奨学金を受給する際のルールに、中間面接(働き始めるまでの間に、1年に1度の定期的な顔合わせ)を受けるということがありました。

・4年次の助産師コースに受からないと看護師としての就職になってしまう
という事実は少しずつ受け入れようとしていたものの、
中間面接時に

・専門学生出身者は卒後そのまま助産師学校に入ることが出来る(奨学金貸与可能期間Max3年間のうち2年間しか貸与していないため)

という事実を知ってしまい、

「え?専門学生は卒業後そのまま助産師学校に行けるのに、なんで私は行けないの?不公平じゃない?」と違和感というか、制度に対する不満が私の中で大きくなっていきました。

また、同じく助産師を目指す先輩が大学院に進学が決まり、大学院で学ぶことの良さや、メリットなどを聞く機会がありました。先輩はこれから大学院で学ぶことが楽しみと話し、「助産師コースもいいけど、大学院もきっとすごくいいよ!大学院で助産師とることも考えておけば~」とも言ってくださいました。

ですが、私は病院奨学金を借りている。助産師コースに落ちた時点で、看護師として就職しなければならない。落ちた時には、「大学院」などの選択肢は私にはない。

とモヤモヤや違和感が心の中にありました。

さらに私は、「助産師としての就職先としてどのような病院に就職したいのか」という点も分からないまま決めてしまっていました。(まだ助産実習にも出ていないのだから当然の事ではありますが)ハイリスクも経験できる大学病院がいいのか、分娩件数が1000件ほどの総合病院がいいのか、など明らかなことは自分でも分かっていなかったんです。

ついに辞退を決める~思っていることを親に相談~

3年生の5月頃、ついに心の中のモヤモヤを親に伝えました。そしてきっぱり「病院奨学金を辞めたいと思っている。」と言いました。

話したこととしては
・助産師コースに落ちたら、看護師として働かなければならないことが嫌だ
・その経験も無駄ではないとは思うけどこの病院で看護師として働くことはあまり気が進まない
・大学院や助産師学校に進むという選択肢が既にないことが辛い
・専門学生はそのまま助産師学校に入学する権利があるのが辛い
・ここで働いて3年間費やすなら、自力でお金を親に返す方がいい気がしてきた

などを話して、辞めることにしました。
親とは何度も話し合い、「卒業後に何年かかってもいいから約200万円を親に返す」という結論に落ち着きました。

特に「大学院進学などの選択肢がないことが辛い」といったことは両親にとっても心苦しかったのか、深く向き合ってくれて最終的に辞めることにしました。私がやりたいと言ったこと、私の考えや気持ちに寄り添い、なんだかんだ言って、いつも応援してくれている両親に本当に感謝しています。

そして、奨学金担当の方に辞退の連絡をしました。相変わらず、対応がかなり不愛想。うん。やめて正解だと、なんだか再確認しました。
返金手続きについての書類が送られてきて、振り込まれていた150万円を返金。
約1年間借りて、利子は2万円ほどでした。(利子もあるので、できるだけ早めに見切りをつけるというか、決断して正解だったなと今は思っています。)


以上、私の病院奨学金にまつわる体験談でした。4,5月に借りることを検討する人も多いと思ったので書いてみました。私のように軽い気持ちで決めたことによって苦しむ人が少しでもなくなればいいな、この体験も役に立つことができれないいなと思います。
次回は具体的に
・奨学金を決める前に考えてほしいこと
・やっておいて欲しいこと

など
病院奨学金を決めるにあたっての具体的な対策について書いていきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました(^^)次回もぜひ読んでいただけると嬉しいです(^^)



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