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サーキットの思い出 富士山


バイクが好きだった。
操るのが楽しくて仕方なかった。

スクーターで夜の大駐車場を走ったり
峠道を行ったり来たりしながら
サーキットへの憧れを強めていった。

走る専用のコースでしょ?
人も車もいないんだよ?


関西で恐る恐る走るようになって
本格的に走りたくて上京した。

一緒にやろうって友だちが誘ってくれたから。


本当は、鈴鹿や筑波を目指そうと思って
やってきたけれど…

まずは練習で…と思った
ミニバイクにハマってしまった。


マシンを限界域で操作する楽しさ。
地面に近いことで得られるスピード感。

真剣に楽しんでいる仲間の存在。
安価に本気で挑めるモータースポーツ。



いくつかのサーキットを走るうちに
このサーキットを知った。


晴れた日。
こんな風に富士山が見えるサーキット。
一番たくさん走ったコース。


水、日と休みを作り
週に2回走りに行った。

雨が降ったら雨の走り方を
寒くなったら冷えた路面の走り方を

走らなかったのは雪が積もった時だけ。
雪が降った日も積もっているか
走れないかを確かめにここに来た。



私はここでレースに出られるくらいの
速さを身につけた。

こわさと闘いながら。


いつも富士山が見守ってくれていた。
見えない時も多かったけど。


でも
応援してくれていたと思う。

男子の中、たった1人女子だった私を。
性別とも闘っていた私を。



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