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九州ツーリング その13


四国にいる。
今日は高知から宇和島まで走ってきた。

ようやくホテルの近くまで来たのに…
道に迷って通り過ぎてしまったようだ。

R56をずっとたどってきた。
今は国道沿いのコンビニにいる。

あまりに疲れてしまって
ヘルメットをかぶったまま
スマホをのぞき込む。

面倒なのは最近めがねをかけると
スマホが見えないこと。

近視用のめがねだと
手元の焦点が合わなくなってきた。

めがねだけ外す。

もう一度
ルートを確認する。

右上の青丸がわたし


とりあえず
この道を戻るしかなさそうだ。


二車線の道をまたいで
対向車線に行くには勇気が要る。

Uターンは嫌なんだよな。

事故のシーンがよぎる。

事故の相手もこうやって
道を間違えてUターンをした時に
わたしを見落としたんだ。

だから、落ち着いて。
落ち着いて周りを見よう。

道を間違えたことに、慌てるのは止めよう。

自分に言い聞かせる。
右左右と周りをよく見る。

恐る恐る、目の前の二車線を渡って
反対車線に入り、すぐの交差点を左へ折れながら
もう一度、明るい街の方に向かって行った。


さっきは素通りした国道に来る。

R320

この番号は記憶がない。
ただ、方向的には右前方だったので
とりあえず右折する。

右折した先で歩道に乗り上げて
もう一度スマホを開く。

次の交差点で左折。
探していた川があるはず。

渡った左手にエネオスがある。
そこでガソリンを入れよう。

疲れてあまり覚えられなくなった頭に
スタンドまでだけの短いルートを叩き込む。

次の交差点で左折。すぐに川があった。
左手にオレンジに光るスタンドがあるはず。

ない!暗い!?

看板が消えたスタンドを
思わず通り過ぎてしまった。

え?もう閉店??

まだ19時台のはずだ。
宇和島はそんなに終わるのが早いのか?

ホテルは右手なので
とりあえず右折して路地に入って停まる。

暗く静かな路地裏で
もう一度スマホを見る。

今走ってきた道に左折して出る。
さっきの川の手前で左折。
川沿いに走り、次の信号で右折。
橋を渡った右側に目的のホテル。

ガソリンが入れられなかったショックと
いつまで経ってもホテルに着けない苛立ちと
スマホを閉じた瞬間
忘れてしまう頭が情けなくて…

知らない土地にたった一人
迷ってうろうろしている心細さも相まって
心がさみしくなってくる。

あと少し。あきらめないで!

20時前のはずなのに
真夜中のように暗く人気のない街。

道を聞ける人はいない。

自分で自分を励まし
あと少しの道のりを必死で覚える。

それなのに…

疲れた頭ではもう
交差点一つ分しか覚えていられない。

全く記憶できない。
疲れると、こんなに記憶できないものか。


思えば交差点一つ分しかない
すぐ先の橋のたもとまでようやく来た。

信号で停まる。

ここの右折が、一方通行で曲がれなかったら
もう、心折れそう。

左から、信号が青の車が
右方向に橋を渡っていった。

こっち向きで渡れるんだ!!

このホッとした時の安堵感といったら…笑


信号が青になり、右折。橋を渡る。

通り過ぎないように
ゆっくり右の建物を見上げる。

ホテル名はどこ?

階段の脇に
今日泊まるホテルの名前が見えた。

やっと…着いた。

バイクを停めるところがなく
建物沿いに回り込んで
歩道に乗り上げてようやくバイクを停める。

重い足を重力に逆らって持ち上げ
2階までの階段を這うように上る。

中に入るとフロントがあった。

受付の人がバイクの停める場所を
案内してくれた。

停めていたバイクに戻り
教えてもらった駐輪場に停める。

カブが2台停まっていた。

ツーリングかな?
同じホテルに泊まっているのかな?

リアにしばっていた荷物を下ろす。

肩にずっしりくる荷物を背負いながら
もう一度、階段を上がった。

20時前。ようやく着いた。
長い1日だった。


鍵を預かり、室内に入る。
フロントで「大浴場がある」と聞いた。

疲れた体に、何よりのご褒美だ。

夕食は20:30までなら
レストランで食べられるという。

持っている食べ物を思い出し
部屋であるものを食べることにした。

先に、風呂に行く。

徳島でユニットバスにお湯をためたら
流す時に部屋にお湯があふれそうになって
ドキドキしたことを思い出す。

大浴場なら安心だ。

でも…洗い場で洗っていたら
排水が上手くいかない。

だんだん、足元のお湯がたまってきた。
また問題発生。
お風呂のトラブルが多い気がする。

排水溝の場所を確認し
座る位置を変えた。

これ以上、お湯が
床にたまらないように気をつける。

なんとか、体を洗い終える。
次は、待望のお風呂♪

丸い湯船だ。面白い。

お湯の熱さが体に沁み渡る。
疲れが溶けて、出て行くようだ。

誰もいないので
足を伸ばして、心ゆくまでつかった。


排水の不調をフロントに伝えて部屋に戻る。
ウエストポーチからおにぎりを出す。

ツーリングで走る時は
いつも停まったコンビニで
おにぎりを買うようにしている。

次の休憩先に
食べ物があるとは限らないから。

山の中で休憩することもある。
そのために、食べ物は欠かせない。

今日は食べる前にホテルに着いたので
部屋で食べている。こんな日もある。

あとは、干しいもと干し柿。
熱いお茶が美味しい。

ポットでお湯が沸かせるって最高だ。


部屋で食べ物を口にし、明日のことを考える。

天気のいいのは今日まで。
明日から雨が降り出す予報。

徳島のホテルで、タクシーの運ちゃんが
明日のフェリーは予約しておいた方がいい
と教えてくれた。

フェリーは1時間に一本。

何時に乗れるだろうか。

地図でかかる時間を調べる。

1時間46分。
ここから一度には行けない。

途中で一度停まるとしたら…
2時間半くらいみないとダメか。

フェリーは毎時30分に出港する。
何時の船に乗れるのか。

予約方法を調べてみたが
ネットで予約できるようだ。

今のところ、どの時間もまだ空いている。

明日の朝食を8時にとお願いしたが
7時の方がいいかもしれない。

フロントに電話をかけて
7時に変えてもらった。


翌朝、5時頃目が覚める。
いつも勝手に目が覚める。

旅の間はnoteを書くと決めていた。
毎朝、この旅の記事を書くと。

そう決めたのに
九州に行く前の話がなかなか進まなくて
今は、ようやく長野を発つところ。

今日走ったことを
明日の朝に書き留めようと思っていたのに。

1日一話では終わらない。笑

もういいや。
気の済むまで書けば。


6時になった。外を見る。

雲が厚い

まだ、雨は降っていない。

スマホの天気予報では
お昼から降ってくると書いてある。

なるべく早く出なければ。

2時間半かかるとしたら
10:30に乗るためには
8時に出なければならない。

11:30出港だと
大分に着くとお昼をまわる。

時間がようやく決まり
ネットで予約しようとしたら
当日は予約ができなくなっていた。

昨日決めて、予約しないといけなかったんだ。

激しく後悔する。
でも、あとの祭り。どうしようもない。

ごめんなさい。あんなに言ってくれたのに。

タクシーの運転手さんに
心の中で詫びる。

もう仕方ない。


朝、なるべく朝食までに
身支度を整えておきたかったのに…

結局7時前までnoteを書いて
ギリギリに投稿し、朝食を食べに降りた。

スマホの充電ができてなくて
日中電池がないと困るなと
部屋に置いてレストランに来た。

これをすぐ悔やむことになる。

今日は宇和島名物の鯛飯。
朝、これが食べられるので
このホテルに決めた。

とても楽しみにしていた朝ご飯。

お盆にのって
美味しそうなご飯がやってくる。

さて、写真を…と思い
スマホを持って来ていないことに気づく。

なんてこった。

充電するために
部屋に置いて来たんだった。

せっかく美味しいご飯を
記念に撮りたかったのに。

今回、宿泊はどのホテルも
朝食のみで頼んでいる。

だから、朝のご飯はとても楽しみ。
特に、今日のホテルの朝を楽しみにしてたのに。


覚えている範囲で
メニューを書いてみよう。

鯛のお刺身
ご飯とお味噌汁
サラダと小鉢
名産らしき練り物
みかん

鯛のお刺身をご飯の上に並べて
特製の醤油だれに卵を割ってかける。

美味しい!!

醤油が強くない。
出汁とほんの少しの甘味と。

鯛を引き立てている。

でも、天気と時間が気になる。


15分ほど、わたしにしては
とても早く食べ終わってしまった。

フェリーの時間が気になって
ゆっくり食べられない。

よく道に迷うので
スマホの教えてくれる時間通りに
行けるとは思えない。

そんなわけで
楽しみにしていた朝食を
心ゆくまでは楽しめなかった。

急いで、身支度をせねば。





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