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会津ツーリング 天気編


夏の会津を走り抜けた。


今回、心に残ったことを綴ってみる。


天気

今回は天気がバラエティに富んでいた。


・台風

台風が通り過ぎた翌日に出発した。

初め、快晴の中走り出したが
すぐに雲の下に入った。

その境目がはっきりしていて
台風らしいなと思った。

そのうち、雲が切れ切れになり
隙間から日が差すようになった。

遠くに見える光の筋。
泣きたくなるほど綺麗だった。


台風に大気が掃除されて
遠くの山々までよく見えた。

予想通り♪

だから、台風直後に旅に出た。

出かける時は雨上がりがいい。
今のわたしは、それを知っている。

手前の田んぼが青々と広がっていた。
風はなく、稲穂は揺れていなかった。


・通り雨

初日、通り雨に遭った。

牧場で休んだ後、走り出してすぐ。
ボタっとシールドに何か当たった。

初め、鳥のフンかと覚悟したが
透明な水だった。

どうして、水が?

そう思って左カーブを曲がったら
ポタポタポタ…と雨が落ちてきた。

路肩の砂利に突っ込んで
木の下に飛び込む。

枝が空いていて葉と葉の間から
ボタボタ落ちてくる。

大粒の雨が道路に水玉模様を作る中
バイクに戻り、カッパを出した。

わたしも水玉模様に濡れていたけれど
脱ぐこともできず、そのまま上から着た。

その頃には、サーッという雨の音。

熱い道路が雨で冷やされて
白い湯気が立ち昇っていた。

今から今日イチオシの
峠道を通るつもりだったのに。

あんなにゆっくりしないで
さっさと走り出せばよかった。 

後悔先に立たず。

そもそも、こんなどしゃ降りの中
峠道を走るの?

結局、誘惑に負けて
大雨の中、峠道を走った。

そして、最終日にも通り雨に遭う。


・雷雨

『明日は雷雨に注意』

スマホの見出しで見かけた。

雷雨は午後発生しやすいことを
その時はすっかり忘れていた。

思い出していれば
寄り道しないでとっとと帰ったのに。


西に向かってしまった。
郡山から会津若松へ。

その後、南下して南会津まで。

ここで雲行きが変わった。
空を雲が覆っていく。

コンビニの駐車場でお昼を食べて
出発してすぐ。

また、シールドにポタッと水が当たった。

来た!雨だ!!

すぐに路肩に停めて
国道の脇、民家の前でカッパを着る。

前方に稲光が走った。

これから進む方向で。
大丈夫かな?と身震いした。


走り始めて1分と経たないうちに
雨が降り始めた。

どんどん強くなる。

木の下で雨宿りをしている
ツーリングの人たちを見かけた。

いいでしょう!!

カッパを着れば、どこまでも走れる。

なぜか優越感に浸りながら
通り過ぎてしまった。


南会津から那須に抜ける
R400は過酷だった。

ペースの早いトラックが前にいて
追いかけるのに必死になった。

直線で詰められない。

カーブの入り口で詰めても
立ち上がりで置いていかれる。

道路を滝のように泥水が流れる。
冠水してそうで怖かった。

木の枝が路上に落ちていそうで。
だから、前に車が必要だった。

そのうち雲に突っ込み
白く視界を阻んで前が見えなくなる。

トラックのブレーキランプだけが
頼りだった。


雲は少しして抜け
前に車が連なるようになり
トラックのスピードも落ちた。

車の流れについて走るのも悪くない。
ホッとして残りの道を走った。


高速に入り
30km先の上河内SAを目指す。

山越えで疲れてしまった。

着いたパーキングで
バイクの人に声をかけられた。

あまりにもずぶ濡れだったから。
仙台から来たその人は濡れていなかった。

東北道は降ってなかったのか。

西に向かったことを悔やむ。

話しているうちに
うちから10分ほどのところにある
バイク屋さんに勤めていると聞き驚く。

もう1人、女の人が話しかけてきた。

『これから雨雲に突っ込むしかないみたい』

見せてくれた画面は
赤い表示に覆われていた。

『仕方ないな』

そう言う男の人に女の人はうなずき

『あなたは来たばかりだから休んでいったら?』
とアドバイスをくれた。


ここで早めの夕食(遅めの昼食)を取る。

豚丼


食べている間に、外が煙るほど
激しい雨が降っていた。


1時間で雨は上がった。
やり過ごせたようだ。

ここでゆっくり休憩してよかった。

そうでもないことを後に知る。

また30km先の都賀西方PAを目指す。

ここでは、温かいお茶を飲みながら
カウンター席で雨雲レーダーを見た。

ここまでは、小降りだった。
が、ここから先は雨雲に突っ込むしかない。

もうすぐここも雨雲に覆われる。

降られる前に行くしかない。

雷雨に向かって走り出した。


佐野SAあたりは
午後からずっと渋滞していた。
工事渋滞と書いてあった。

18時になれば、工事も終わるだろう。
そう思っていたのに。

事故が起こった。
どんどん渋滞が伸びていく。

渋滞を避けるために
PAで時間を潰していたけど…

雨雲に追い立てられるように
高速を南下する。

遠くで空が光った。

稲光だ!!

光るだけでなく
たまに縦に閃光が走る。

落ちている。

バイクにも落ちるんだろうか。

怖くて、真ん中の車線の
車について走る。

左車線の路肩の木に落ちるのが怖い。
雨で先が見えないから、車の後ろに。
車に落ちた時、巻き込まれないように少し離れて。

佐野SAまであと4kmで、渋滞に捕まった。

あと4kmなのに。

時速10km
自転車なら余裕で追い越せるスピードだ。

4kmがなかなか縮まらない。

そのうち、閃光が高速の両側に
縦に走るようになってきた。

雷鳴も聞こえる。
雨もひどくなってきた。

近い!怖い!!

20分かけて4kmの渋滞をやり過ごし
ようやくSAの側道に入れた。

雨がひどすぎて看板が見えない。

二輪はこちらと書いた看板を
見失ってしまった。

それらしき場所には車が停まっている。

どこに停めたらいいんだろう。

あまりにも暗く
車に轢かれても怖いので
建物にくっつけて停めた。

雨に打たれながら、建物に向かって歩く。

自動ドアは開いたままで
みなドア越しに向こうの山を見ていた。

閃光が山を縦に貫く。
写真や動画を撮っている人もいた。

しばらくいて
トイレに向かって気がついた。

トイレの電気が非常灯しかついていない。
洗面所の水も出ない。

停電してるのか!!

ようやく自動ドアが動かなくなって
開きっぱなしなのかと気づいた。


30分ほどして、突然明るくなった。
電気が復旧したようだ。

SAが停電するなんて。
そんな経験した人、いるのかな?

ようやく動き始めたスマホで
雨雲レーダーを見る。

停電するとスマホも
ネットに繋がらないと知る。

渋滞もなくなっているようだ。

次は、羽生。
こうなったら、全PA制覇だ。


雨が少し弱まり
雷は落ちないくらいに遠のいた。

あんなに並んでいた渋滞も
きれいさっぱりなくなっていた。

暗い高速が時折パァッと明るくなる。
稲光で道路が先まで見渡せる。

大きな照明のようで面白いな。

慣れって怖い。
稲光を綺麗だと思う。もう怖くない。


羽生PAは、ほとんど降っていなかった。

面白い建物だな。

時代劇のような建物で
たくさんの人が賑わっていた。

フードコートに空きがなく
入り口のベンチで休んだ。

温かいお茶を飲み
この後の工程を考える。

眠くならないといいな。

そう思い、立ち上がって
相棒の待つ駐輪場に向かった。


最後に、蓮田SA。

まだ東北道にいるのが信じられなくて
ヤケクソになり、うどんを食べる。

その後、首都高に入る。

雨上がりの煌めく夜景を堪能して
川沿いを飛ばす。

トンネルでふっと意識がなくなり
PAまで…と慌てて目を見開く。


悩んだけどPAに停まった。
雨は止んだ。

空を見上げる。
灰色の雲が都会の明かりで淡く光っている。

ここまで来れば。

自分のテリトリーに戻ってきたような安心感。
ここまで帰って来られたら大丈夫。

スタンド、閉まっちゃったな。

必ず最後に寄るガソリンスタンドも
とっくに終わっている。

またポツポツ来たので
バイクにまたがって走り出した。


夏のロングツーリングは
19歳の時に行った西日本一周以来。

その頃とは暑さが違う。
今年は特に暑かった。

でも平気。
夏が一番好きだから。

雷雨のおかげで
帰りの東北道で眠くならなかった。

首都高のトンネルで
ふっと眠ってしまうんだけど。笑

高速の移動が辛いなと心配していたけれど
雷雨というハプニングで
体も手も痛いとか全部飛んでってた。

覚えているのは、あの恐怖。

みんな車の中に入っているのに
1人生身で雷に対峙しているという現実。

閃光に雷鳴がプラスされると
近くに落ちたなとわかる。

(停電してても)建物の中に入った時
ようやく生きた心地がした。


寄り道しないで帰ればよかったんだ。

そう気づいたのは、翌日の朝。

さっさと帰っていれば
山越えの通り雨にも高速の雷雨にも
きっと出会わなかったのに。

でも…と思う。

だから、ツーリングなんだ。

無事に帰って来られれば
全て懐かしい思い出になる。


夏の会津。
忘れられない経験をした。


次は、走り編を。
どうぞ、お楽しみに。




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