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バイクが大好きだった その4

19の夏に行った西日本一周。
5泊6日のツーリングの続きをどうぞ。

*****

ツーリング3日目。
その日、宇和島で泊まる予定のユースは
桂浜で遊び過ぎてしまい
チェックインに間に合わなくなった。

前日、室戸岬で知り合った人と一緒に
九州に向かって走っていたが
彼は、どこかにテントを張って
夜を過ごすという。

どうしたものかと困っていたら
公園にテントを張って
「テントの中に寝たら?
 僕はベンチで寝るよ」
と声をかけてくれた。

私が男なら
私がベンチで寝るとか
一緒に寝ようとか言えるけど…

そういうわけにもいかず
お礼を言ってテントで寝た。


翌日は佐田岬から九州を目指した。
佐田岬は最高のロケーションだった。

左コーナーを走ると右から海が
次の右コーナーでは左から海が見える
と言った感じ。

細長い半島の尾根伝いの道は素晴らしく
「もう一度走りたい!」と思った。

フェリーに乗り、九州へ。

一緒に走ってくれる彼の後を追い
九州の観光地を巡った。

城島高原(だと思う)
一面の緑が綺麗で、素敵なところだった。

耶馬渓
青の洞門
何年もかけて掘ったという話が印象的で
よく覚えている。

どこかの繁華街で
豚骨ラーメンを食べさせてもらった。
麺が細くて本場は違うんだなと思った。

そのまま夕暮れの関門海峡を渡り
曽祖母のいる山口県の萩を目指した。

彼は結局
萩の曽祖母の家の近くまで
送ってくれた。

無事に九州に帰れたのか心配で
夜、電話をかけたことを覚えている。

ソロツーリングだったのに
しばらく旅の連れ合いができた
不思議な旅だった。


翌日、曽祖母の家で
ゆっくりすればよかったのに
なぜか私は朝いちで旅立ってしまった。

その後、曽祖母とは会うことは叶わずに
私が24歳の時に85歳で大往生。

お弟子さんたちに稽古をつけた後
ふと休んだソファで
気づけば亡くなっていたという。

大好きなお弟子さんたちに囲まれて
痛みや苦しみもなかったであろう
眠るようにこの世を去った曽祖母。

「ひ孫がバイクで遊びに来たんだよ。」
と晩年、曽祖母は周りに嬉しそうに
話していたという。

また、バイクで会いに行こうと
思っていたのに間に合わなかった。

24歳の夏に
もう一度、萩へ行こうと思っていたのに。
その春に、曽祖母は空へ旅立った。

あの時、どうして数日滞在しなかったのか?
それが今でも悔やまれる。


萩を離れ
まずは、島根県の出雲大社へ。

出雲大社の目の前の
お蕎麦屋さんで蕎麦を食べた。
お店の人と話し込んでしまい
出雲大社にお参りする時間がなくなった。

「また来るからお参りしなくても大丈夫」
そのお店の人にそう言って
また行くことを約束した。

それからずっと、つい最近まで
そのお蕎麦屋さんの奥さんに
年賀状を出していた。

まだ、お参りに行けてないな…


その後、鳥取砂丘へ。

どこまでも続く砂丘を
海に向かって歩くと
思った以上に砂山がせせり立っていて
山のてっぺんから海岸は
はるか下だった。

海までは降りずに
砂山のてっぺんから海を眺め
先を急いだ。

最後のユースはどこだったか
忘れてしまった。

でも、無事に泊まれて
京都丹後から南下した。


無事に帰ってきた6日間。

RZのマフラーのネジが緩んでいるのでは?
途中、寂れたガソリンスタンドで
Tレンチを借り
根元のネジを締めたところ
思った通り緩んでて
気づけて良かったとホッとしたこと。

ただただ、地図を頼りに
無心に走り続ける楽しさ。

知らない土地。知らない風景。
知り合った人と交わす楽しいやり取り。

気に入った場所で止まれる気軽さ。
何より、景色を眺めながら
自由に走れる素晴らしさと体感する風。

バイクじゃないと味わえない。
バイクと一緒じゃないと行けない。

バイクは私の親友だった。
そう、一番の友だった。

*****

ふとしたことがきっかけで
バイクのことを思い出した。

私の中では消えていた想い。
バイクとの日々。
バイクと過ごした16年間。

それをもう少し
振り返っていこうと思う。


そして
ツーリングが大好きだった日々を
思い出したら
またバイクに乗りたくなった。

この1週間
「乗れるかも!」「乗れない…」
を繰り返していて
一喜一憂が病んでる心には辛くて
一旦諦めようと思ったけど…

気になるバイクを見つけたので
また週末、見に行こうと思う。

この右手でバイクに乗れるか?じゃなく
手に入れてから考えようかと。

週末、試乗車に乗って
握力が無くなった右手は
まだ元に戻ってないけど…

街中を走れる2ストが欲しい。

2ストなら、右手に優しくて
少し距離を走れそうだから。

今は、新車が無いから難しいけど
もう一度、乗りたい。

2ストに乗りたい。

もう少し、諦めずに
探してみよう。



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