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富士五湖ツーリング その2


秋と言えば、行きたくなる場所。

見たかったもの、ひとつめ。
御殿場のススキ。

雲ひとつない青空

去年、ようやく来ることができた。
ずっと来たかった場所。

懐かしい景色だ。


次に向かう道は、戻る方向に。
せっかくだから、ススキの中をもう一度。

ススキ野原の真ん中を走る。

どちらを向いてもススキ。
サラサラと穂を揺らしている。

左手には富士山。
まだ、雲は湧いていない。

穂先が白く光る。綺麗だ。
車の流れに合わせてゆっくりと見入った。


途中、曲がりたい道を通り過ぎてしまった。

やってしまった。

諦めて、次の交差点で曲がる。

曲がってすぐ、鼓動が高まる。
目の前に広がるのは、いい道だ。

新しい舗装。広い道幅。
カーブが緩やかだ。

直線の下り坂が面白い。
周りの杉林が真っ直ぐ空に向かっている。

そのまま空を見上げる。
快晴だ。

空の青は朝より濃くはっきりしている。
雲は、まだない。


交差点に出た。
一台が右折する。

一瞬、こっちかな?と頭をよぎる。

でも、目の前の車は直進するから
大丈夫だろうと一緒に直進する。

御胎内温泉と樹空の森公園があった。
よく看板で見かけていたところ。

「ここにあったのか」と思ったら
目の前の車が駐車場に入って行った。

ヤバっ。

やってしまった。1人だ。

道がわからない時によくやる手。
前の車についていくこと。

何台か進んでいれば、その先には何かある。
でも、一台だけが前にいて
駐車場に入ってしまったら…

その先は何もないことが多い。

すぐに停まってスマホを見る。
やはりこの先に道はない。

突き当たりを右、少し進んだら
直進とななめ右にY字に道が分かれる。

直進の方が行きたい道に近い。
ななめ右はさっきの交差点の道に戻る。

道を覚えて、発進。
誰もいない道を走る。

路面には落ち葉が増えて
車が通っていないことを示唆している。

突き当たりを右。
一瞬、立ち入り禁止の看板が見えた。

ここは、自衛隊の敷地なのかな?

キョロキョロしながら木立の中を走る。
マフラーの排気音が響く。

怒られないかな?

砂の増えた路面に気を使いながら走る。
覚えていたY字の分岐点。

近道だと思った道は舗装されていなかった。

一瞬でこっちはダメだと見極めて
ななめ右の方へ進む。

元の道に戻ってしまうなぁ。

すぐに信号のない交差点に出て
ここだろうと踏んで、左に曲がった。


さっき、車が曲がった道だろう。

こっちかな?と思った勘は
当たっていたんだなぁ。

また、砂のない路面となり
ホッとしながら走る。

方向音痴なので
いつも、道は間違えるんだけど…

『またやってる』の声が聞こえそうだ。笑

でも、冒険してるみたいで楽しかった。
(自衛隊の敷地に入ってないことを祈る)


道なりに走っていると
知っている交差点に出た。

ここに出るのか。

信号を左折。県道23号へ。
少し走って路肩にバイクを停める。

ここで写真を撮らねば。

裾野まで見える

好きな場所。真っ直ぐの道と
大きく見える富士山。

ここから見える富士山が好き。

この先、富士山は近くなり過ぎて
全体が見えなくなっていく。

ここが、全身が見える一番の場所。

このくらい近い方が好き。
薄いベールに包まれていたような
白い霞んだ感じが消えてくるから。

富士山の山肌は思っているより赤い。
その赤さが好きなんだ。近づけた感じがして。


ここでもヘルメットは取っていない。

ヘルメット越しに見る富士山。
それでも充分満足だ。

スマホをしまい、バイクを発進させる。
横を車が通りすぎた。

いつもなら「しまった」と思うけど
今日はそんな気も起きない。

少し疲れている気がする。
いいや。気にせずにゆっくり行こう。


目の前の車は自衛隊のジープだった。
すぐに左手の演習場に入ると思ったのに
なかなか入らない。

ここで抜かないと
この先、抜けなくなるな。

ずっと続く真っ直ぐな道で
自衛隊のジープを抜いた。

警察じゃないから
追いかけては来ないだろうと
加速して。

ゆっくり走るはずだったのに。
直線はこのくらいの速さが好き。

雲が湧かないうちに。

先を急いだ。


森に入る。

道に落ち葉がたまっている。
木々のせいで路面が乾いていない。

ここからは難関コース。
路面がところどころ黒い。

木漏れ日のせいで
濡れているのか、日陰なのかわからない。

路面が濡れていると滑る。
濡れた落ち葉に乗ると、さらに厄介だ。

なるべく、路面の白っぽいところ
かつ、車のわだち付近を走る。

車のタイヤが通る部分は
落ち葉が避けられてて少ないから。

たまにあるマンホールや
金属部分も気をつける。

バイクが近づいてきた。

いつもならペースを上げるのだが
今日は直線で左ウィンカーを出して
さっさと抜いてもらう。

3台、手を挙げて抜いて行った。

この道でバイクに会うことは少ない。

ちょっと興味が湧き、
少し離れてついていってみた。

路面をあまり怖がってはいない様子。
いいスピードでコーナーに進入していく。

完全につくと申し訳ないので
カーブで見え隠れするくらいの距離で
ついていってみる。

前にいると走りやすいけど
そこに集中してしまって
一気に周りの景色が見えなくなる。

あまり意識しないで周りを楽しもう。

追うのをやめて
木漏れ日の差す森の中の道を
路面に気をつけながら走った。


水ヶ塚公園駐車場。

夏に停まったところ。
雲がなければ、面白い富士山が見える。

夏と違ってゲートがない。
今は車も無料で停められるんだ。

奥まで行って停める。
ここでは、ヘルメットを取って
どうかな?と振り返る。

うん。最高だ。

富士山のくぼみも見える。

昔、噴火した跡らしい


ここまで来ると、赤い山肌もくっきり見える。

あまりにも雲がないので
これなら少し休憩できると
サービスエリアで買ったパンを食べた。

日なたの路肩に座る。
スマホをいじり、富士山を見る。

風がなく、暖かい。

高速ほどではないが
下がってきている気温で冷えた体を
陽射しが優しく包み込んでくれる。

疲れているんだな。

途中、何度も締め忘れるべルトやバックルに
自分の疲れ具合を感じる。

マップの道も覚えていられない。

少しぼんやりする頭で
今日のルートを走り切れるのかな?と
ちょっぴり不安になった。


雲が湧いてきた。

急がねば

出発しよう。

立ちあがろうとしたら、バイクが2台来た。
取り回しの感じから、1人は女性のようだ。

「大きなバイクを押すのは大変そうだな」
と思ったら、2人とも男の人だった。

ぎこちない動きは女性と決めつけている
自分を笑ってしまう。

わたしは、スムーズに動けているだろうか。


丁寧にシフトをしながら
駐車場を出た。

少し走ると、入り口がある。

富士山スカイライン。
ここから五合目に向かう。

9/7までマイカー規制で走れなかった道。
11月には冬季閉鎖する。

その前に、もう一度来たかった。
富士山五合目。

もしかしたら紅葉が見えるかもしれない。

去年の感動を思い出す。
周りの景色を目に焼き付けよう。

途中、停まって写真を撮った。

初めは緩めのカーブ。
その後、長い直線がある。

右上にギリギリ見えない富士山

その後、落葉樹らしく
落ち葉が山のようにたまっている道を走る。

ここがとても危険。
ぬたぬたの落ち葉はバナナの皮と同じだ。

前日の雨で濡れているので
落ち葉はたっぷり水を含んでいる。

最大限気をつけて走っていたら
後ろから車が来た。

少し先の直線で左ウィンカーを出して譲る。

数台、先に行ってもらった。

正面の紅葉が素晴らしい

その後、落ち葉が少なくなる。
落葉樹の森を抜けたんだ。

白樺だろうか。植生が変わる。

木々の繁り方がまばらになると
陽射しにおおわれてくる。

山頂に雲が湧いてきた

登るほどに、路面が乾いていく。
安心して走れる。

ただし、コールタールを除いて。

路面を黒く這う線に気をつける。
道路の継ぎ目に塗り込んである黒い線。

これで、一度滑ったんだ。

気をつけながら、青い空を見上げながら
右カーブを曲がると顔を出す富士山を
ワクワクと見ながら走った。

もうすぐ10時。

10時にやらないといけないことがある。
時間を気にしながら、五合目を目指した。





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