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富士五湖ツーリング その3


富士山をバイクで上っている。
五合目まであと2kmの看板が見えた。

10時に開けないといけないフォームがある。
昔遊び祭りの申し込みフォームだ。

Googleフォームの時間指定ができればいいのに
昨日の夜、上手くいかなくて諦めた。

バイクの時計が実際より遅いのも問題だ。

10:00にフォームを開けねば。

なんで、こんな山の上で
こんなこと気にしてるんだろう。

12分ずれてるからバイクの9:46で
とりあえず停められる場所に停める。

スマホを取り出したら10:00だった。
慌ててGoogleドライブを開く。

目的のフォームを開く。
よかった。なんとか間に合った。

10:02に申し込みが一件入る。
フォームはちゃんと開いているようだ。

ホッとしてヘルメットを取る。

ここは、いつも写真を撮る
好きな場所なんだ。

遠くは…海?

見たかったもの、ふたつめ。
富士山五合目からの雲海。

雲海がない。

そりゃそうだ。
雲の中を走ってきていない。笑

雲海は、雲の中を走り抜けて
その上に来るから、見下ろせるんだ。

道中になかったよ。雲。
どこもピカピカなお天気だった。


雲海がないと、海が見えるのか。

真ん中の山は箱根?

初めて見る景色。
左手の山は箱根だろうか。

芦ノ湖はその向こう?
目の前は海だよね?芦ノ湖じゃないよね?

右手は静岡だろうか

スケールの大きさに混乱して
どこがどこか、よくわからなくなる。

ここまで雲がないのは珍しい気がする。

いつも家の近くで富士山を探しても
ほとんどは雲に隠れている。

朝は見えていても
すぐに雲が湧いてしまうんだ。

間に合ったんだな。

五合目の駐車場はこの上だ。
山頂は雲に覆われ始めている。

近すぎて富士山が大きく見えない

振り返って、今来た道を見る。

ガードレールがない

ここは道路ぎわに何もない。
目の前の景色にダイブできそうだ。

景色の見えなくなる先がどこか気になる。
静岡や千葉も見えているんだろうか。

下に向かって見ている

こう見えているみたいだ。


上の駐車場に向かう。
ここは一方通行で行き過ぎると
降りて行ってしまう。

いつものどん付きに停めるか
手前で停まるか。

右手の開けたところに一度停めてみたけど
何か食べながら隣でのんびりしている人に悪くて
結局いつもの最後の降りしなのところに停めた。

そこから見える景色。

駐車場の終わりから

ここならバイクに隠れてゆっくりできる。
周りに人もいない。

今日の五合目は穏やかだな。

陽射しをさんさんと浴び
雲にさえぎられることもなく
風のない暖かい中にのんびりといる。

前に、夜空を観に来た時は
寒くて震えてたのに。

今日もリュックには
たくさんの服を入れてきた。

寒くていられないのは嫌だから。


山頂は雲が湧き始めている。

振り返ってみる富士山の紅葉

さっきの続きのピーナツパンを食べて
次の行き先を確認する。

次も懐かしい場所。
懐かしすぎて、道を忘れてしまった。

どこを曲がったっけ?

スマホを見る。
今日は紙のマップは持ってきていない。

地図を見て
ルートをじっと覚える。

なかなか頭に入らない。

ほら。やっぱり疲れてる。

この先も食べ物屋はない。

お昼はあそこでと決めているから
それまでにつなぐものをあのコンビニで買おう。

前方の道のきわまで歩いて行って
目の前の絶景を端から端まで見た。

目の前に広がる景色

もう少し早いと、霞みなく見えるんだろうか。

朝5:30に家を出ても
手を休めるため、3回も休憩して
10時にやっとここだ。

この先のルートは・・・

富士山一周!!

富士五湖をまわってみようと思った。

この天気なら
一日中、富士山が見えるかもしれない。

全部の湖から富士山が見えたら最高じゃない?

それはいいね!と楽しんでくれる
noteの友だちを思い出しながら

「行くしかないよね」と空を見上げた。


空を見上げたら、山頂だけでなく
こちらにまで雲が押し寄せてきていた。

さっきの紅葉が薄暗く、一気に雲行きが変わる

山の天気は変わりやすい。
雲の中を走るのは、とにかく厄介だ。

濡れていた落ち葉を思い出す。
あれが見えない中走るのは嫌だ。

また来られるだろうか。

11月に閉鎖されると
来年の5月までここには来られなくなる。

もう一度、あの夜空も見たいけど…

帰りの高速で走りながら
うとうと眠ってしまったことを思い出す。

あれは無理だ。
夜、御殿場で泊まらなければ。

一旦、思考を切る。

今はここにいる。
この景色を堪能して、次に向かおう。

もう一度、目の前に広がる景色を
目に焼き付けて、ヘルメットをかぶり
バイクを発進させた。


富士山を下る。

日なたの明るい乾いた白い道を下っていると
後ろから車が来た。

左ウィンカーを出して先に行かせると
行きに抜かせた赤い車だった。

さっき、上の駐車場で隣で何か食べていた人だ。

同じように富士山に上り
景色を見ながらのんびり持ってきたものを食べて
満足して、富士山をまた下る。

平日なのに。
社会人の年頃の人だった。

同じように気晴らしに富士山に上って
一服してまた下ってくるなんて。

そのタイミングが同じすぎて笑ってしまった。

お互い、大事な時間なんだろうな。

ここが好きな人に出会えて
なんだか嬉しかった。


赤い車はカーブごとにどんどん遠くなって
そのうち見えなくなってしまった。

また、1人で走る。

落ち葉が尋常じゃないほど積もっている。
タイヤのわだち分だけ空いている箇所を
慎重になぞって走る。

そういえば、さっきの県道で
鹿が目の前を横切ったんだった。

左の森に入る鹿の背中を
カーブを曲がり切った先で見かけた。

渡り終わったところ。
渡った後でほんとによかったよ。

鹿に衝突してバイクが全損した話を思い出す。
ここは、野生動物の暮らす場所なんだな。

止まらずに森に入ってくれて本当によかった。


路面を慎重に見ながらカーブに進入。

カーブに合わせてハンドルが切れて
車体が勝手に曲がるのを感じる。

手で突っ張らないように
腕の力を抜く。

バイクがスーッとイン側に入っていく。
よくできてるなぁと感心する。

そんな動きを最大限活かして
サーキットではみんなが走っている。

走りたいなぁ。

だんだん下がると緩くなる
カーブをさばきながら
どんどん下界へと降りて行った。





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