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ドラマの中にもう恋愛要素はいらない


12月である。
ドラマフリークを自称している私は、今年もたくさんのテレビドラマを見てきた。
毎シーズン、ワンクールのドラマの第1回目はほぼすべて録画、もしくは見逃し配信でチェック。1回目で心に引っかかるものがあれば2回目も見る。
1回目でもういいかなとなるドラマもあれば、2回3回と見たけど途中離脱してしまうドラマもある。

2023年10月からの秋ドラマで心つかまれたのは、NHKの「大奥シーズン2」
医療編から幕末編までの最後の物語である。
よしながふみさんの原作ファンで、今年初めのシーズン1も素晴らしかった。キャスティングが神がかっていたのはもちろんのこと、脚本も素晴らしかった。
原作を読んでいた時も感じていたのは、大奥と言う場所を舞台にした人と人との魂のぶつかり合いのドラマであること。将軍様が男であろうが女であろうが、そこには男とか女とか関係なく人間としての愛情だったり慈しみだったりがとても感じられるのだ。そこに心が震えてしまうのだ。

考えてみると最近自分が最後まで見続けるドラマは、恋愛ものよりも友情もの、特に女同士のシスターフッドっぽいドラマを好んでみている気がする。今シーズンで言うと「セクシー田中さん」。もちろん恋愛要素もあるけど、木南晴夏演じる田中さんとめるる演じる朱里ちゃんとの友情物語だと思って見ている。
そういえば春クールでずっと見ていた「日曜の夜ぐらいは…」もめるるが出ていて女同士の心の交流のお話だった。こちらは清野菜名と岸井ゆきのとめるるの3人の友情物語。そこに岡山天音や川村壱馬の男性陣が絡んでくるんだけど、だれも恋愛関係に発展しない安心感。

そうなのだ。
最近自分の中でそのシーズンベスト1と思うドラマに恋愛要素があまりないものが多いのだ。
「ブラッシュアップライフ」しかり、「作りたい女と食べたい女」しかり。
ドラマの中に男女で恋愛して結婚してっていうステレオタイプを求めなくなっているのだ。

自分が若かりし頃、世の中はトレンディドラマ全盛でドラマと言えば惚れたはれたの恋愛ものがあふれていた。おしゃれな恋愛ドラマにうっとりと没入していた頃もあったけど、いつからだろう、そんなこってりした男女の恋愛ものに胸やけを感じはじめたのは。
ここ何年か、多様性の時代なんて言われだしてからだろうか?ドラマの中の人間関係も多様化してきたように感じる。恋愛を描かなくてもドラマが成り立つのだ。というより男女関係なく人間としての人との関わりの中にドラマがあるんだなと言う感じ。当時はLGBTなんて言葉もなかったし、ドラマの中の恋愛=男女のものが普通だったけど、男同士でも女同士でも恋愛関係はあっても良くて、男女間でも恋愛関係は無くても良くてという自由な感じが今どきなのかもしれない。

恋愛ドラマを必要としないのは、還暦を過ぎて自分が枯れてきているからだろうか?いや、そうじゃないな。自分自身が恋愛よりももっと面白い人間関係をいろいろ知ってしまったからなのだろう。
そういう意味で今シーズンちょっと注目しているのは、「いちばん好きな花」。2人が苦手な4人の男女の、男女間に友情は成り立つのか?みたいな話。この中の多部未華子と仲野太賀の男女だけど友情が成り立っている関係性がとても好き。でも物語も終盤に来ていろんなところで恋愛の匂いがしてきて、おばちゃんは「このまま誰も恋愛関係にならずに終わってくれ!」と願わずにはいられないのだ。

いくつになっても恋をしたい人もいるだろうけど、私は恋愛感情って何かと面倒くさい。そんなものは取っ払って犬が好き猫が好きみたいに、人として好き!が溢れたら、もっとこの世は平和なんじゃないだろうか。

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