見出し画像

台湾の病院事情 入院体験

昨年、夏の盛りがまだまだ続く9月に夫が体調不良を訴えました。

普段から、風邪をひいた、どこそこが痛いとしょっちゅう訴え、咳き込んだりはいつものことなのですが、今回は少し様子が違うようです。
でも、病院を勧めても、明日は行く、今日は行くと言っても行かずじまいで延ばし延ばしにして、なかなか病院には行こうとしません。

その日はいよいよきつくなったようで、遂に病院に行く決心をして出かける準備をしていました。
本人は熱中症かなぐらいに考えていたようです。

タクシーを呼ぼうとしましたが、すぐに来てもらうことはできず(台湾は日本のようにタクシーを簡単に電話で呼ぶというシステムがあまり行き届いていないようです)、そのうち苦しさが増し、台湾の友人に連絡をして、病院に連れて行ってもらうことにしました。

車に乗せてもらってから苦しさはいよいよ酷くなり、近くに大きな病院が2カ所あり、どの病院に行くかは地元の人でもある友人にお任せしました。
友人の即断でかねてから信頼しているであろう病院の救急に連れて行ってくれました。

病院に着いた時にはすぐに酸素吸入をしなければ自力で呼吸ができないほどになっていましたので、ほんとにギリギリのところでした。 

レントゲン撮影の結果では肺水腫ということで、即入院となり、ICUに運ばれました。

その後のCT検査など詳しい診察の結果では、肺膿瘍という診断がつき、翌日には緊急の手術となりました。

入院の際の様々な書類、手術や麻酔の承諾書、諸費用の承諾など多くの書類にサインをし、慌ただしく進んで行きました。

手術室と書かれた重々しいドアが開くと、奥にいくつかあるであろう手術室手前には広い待機室があり、次々と患者がベッドで運ばれてきます。いったい何人のスタッフがいるのだろうと思わせる中で、テキパキと準備が進められていきます。
手術準備室に本人が入るまでは家族も待機室に居ることができ、そのスタッフたちの様子は見ていて心強さすら覚えました。

手術室前の外のモニターには、中に入った患者の手術室内の進捗状況(待機中、手術中、術後観察)等が表示され、外で待つ家族にその進み具合が分かるようになっています。

午後4時から行われた手術は夜7時過ぎまでかかる大変なものでした。

手術を終えたドクターは術後すぐに私を呼んで、術前の肺の中の病状や、手術後の映像を見せながら詳しく説明してくださいました。そして切除した物まで見せてくださるという念の入ったもので、手術がうまくいったので安心するようにということだったと思います。

英語でお話をしてくださるのですが、映像まで見せていただいたおかげで、私にもよく理解できました。
ドクターのご配慮に本当に感謝でした。

手術は成功し、後一歩の所で命を救われました。

何とも幸運なことに、友人が連れて行ってくれた、病院には胸腔外科の腕利きのドクターがおられたのです。
友人の病院選びにも大いに救われました。

その後は、術後の感染症の危険があるからと、1週間程ICUで厳重な管理のなかでの治療でした。 

初めて体験する病院の施設、設備は至る所がゆったりと、今まで日本で経験していた、いわゆる病院の雰囲気というより、ゆったりと豪華な感じさえある病院です。

ICUの部屋は二重のドアで、家族の面会は30分間、設定された時間に入室が許可されます。面会家族は2名まで、時間と同時に一斉に招き入れられて記名、着替え、消毒と厳しく管理されていました。

一般の外科病棟へ移り、入院生活が始まり、見通しは長いと2か月ぐらいかかるのではということのようです。

私も付き添いで泊まる必要があるとのことで、慣れない病院暮らしが始まりました。


病室はあらかじめ選べるようになっていて、個室となると1日8千円〜1万円くらいの自己負担があり、長期となると大変な金額になりそうで、自己負担無しの三人部屋を選択しました。

付き添いはどうなるのかと思っていましたが、病人のベッドの隣に、付き添い用の折り畳みのベッドを置いて休みます。同室の他の人たちも同様です。部屋にはトイレ、シャワー室があります。
寝具も無料で貸し出してくれます。

ちなみに、病人の入院着や枕やシーツなどはナースセンター近くの棚から持ってきてセルフで交換です。何度でも取り替えは自由です。
そして、汚れた方の物は指定の置き場があってそこへ入れます。毎日、クリーニングの人がそれを運んで行きます。

酸素吸入や、点滴、術後の傷口からの膿の排出を促す機械を装着しており、
多くの世話が必要で、付き添いの私にいろいろ取り扱いの仕方などを教えてくれるのです。こんなこと素人の私が?と思いつつ、すぐ近くに看護師(護理師)詰所があるので、いざというときはすぐ来てもらえるのでいいのですが、、。

経過が良いということで、なんと、10日間程で退院になりました。

後は自宅での治療で大丈夫とのこと、退院の時に私が看護師さんに指導してもらい、傷口の消毒やガーゼ交換などをします。
自宅での治療用の消毒薬や消毒用綿棒、ガーゼなどは薬局で購入します。

私もずいぶん治療が上手になりました。病院へは1週間後と3週間後に診察が予約され、その都度、レントゲン撮影をして肺の回復の様子は、ドクターが映像を見せて説明してくださいました。傷口も順調に回復しつつありました。

傷口もすっかり塞がりかけていたので安心していた矢先、退院からもうすぐ3週間というあたりで、傷口が突然中から開いてしまい、膿が溢れ出したのです。

完全には治り切ってはいなかったのか、感染したのか、中で膿のようなものが少しずつ溜まったようです。

家ではあまり食欲もなく、精神的にも落ち込んだりしていました。

やはり入院治療でないと傷口からの感染のことなど不安でもあったので、再度の入院をお願いし、幸い病室の確保もできたとのことで助かりました。

10日間ほどの点滴や傷口の治療などてすっかり治ってからの退院となりました。

入院中の看護師さんたちのテキパキした仕事ぶり、患者に寄り添った優しさには大いに救われました。

毎日のドクターの回診には専科護理師という、上級クラス?の看護師さんもついてこられてモバイルのデータを見ながら詳しい説明もあります。

ドクターも看護師さんたちも英語での対応もしてもらえて助かりましたが、
入院中には、ドクター回診に合わせて言葉ができる日本の友人がよく来てくれて通訳をしてもらえたのは、本当に助かりました。



入院中の食事は朝、昼、夕と外からお弁当が届きます。但し、これは希望した人だけです。
台湾の人たちはそれほど多くの人は病院の食事を利用していないようでした。

金額は1日分で150元(600円)と、とても安いです。支払いは退院の時の入院費と一緒に精算します。

お弁当の内容は充実していて主食(朝はパンやお粥も選べる)、主菜(豚肉、鶏肉、魚などの変化あり)副菜には野菜料理がたっぷり2〜3種類、デザートの果物も付いてきます。

ただ、味は濃い目、量も多めで、病人食とも思えないようなたっぷり感で、内科の病気の方たちはどうなのかなと気になりました。
聞いたところによると、
内科の治療食の人は外科病棟とは違うようですので、ちょっとホッとしました。



入院費用のこと

前々回のnoteで台湾の全民健康保険のことを書きましたが、この健康保険に加入していたおかげで、費用の問題は本当に助かりました。

緊急入院から手術、ICUでの治療、一般病棟での、合わせて25日間ほどの入院費用は2万8千元弱(日本円で11万余程)。病室が自己負担なしの部屋だったのでこの金額で済みました。


今年の2月、台湾の春節の時に、
今度は膝の関節の手術でまた、この病院にお世話なりました。
この時は、1週間の入院でした。
この時は春節だったので、病院内も入院患者も少なく、当然看護師さんたちの勤務も少なかったのですが、とても静かな入院生活でした。

今回は二人部屋に入り、やはり、前回の三人部屋よりゆったりと過ごすことができました。部屋代の負担は1日900元(日本円で3,600円)、
退院時の病院の支払いは1万8千元(日本円で78,000円)でした。
その内の部屋代が2万2千円というところでした。

[二人部屋はゆったりと快適でした!]


夫はこんなに度々病院にお世話になり、本当に健康保険には助けられています!


私はほとんど病院にお世話になることはありません。やはり、普段の健康づくりがいかに大切か!です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?