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趣味の書法教室通い

書道は若い頃から興味はあり、途切れ途切れに習ったりしていました。
70歳を機に長年のお勤めを終え、時間ができたことで、地域の高齢者教室で学び始め、書くのがとても楽しいという心境になっていました。

台湾に移り住むことになって、台湾は書道(台湾では書法と言います)の盛んな所という印象だったので、なんとか書道は続けたいと思っていました。

台湾には以前から夫の関係で大変お世話になり、そして家族ぐるみでとても親しくしていただいている方がおられます。
その奥様が書法や水墨画の個展を開かれるほどなのは以前から伺っており作品を拝見する機会もありました。
お話を伺うと、「これは75歳くらいから始めたのよ。」とおっしゃるのです。

もともと才能をお持ちだったのはもちろんですが、よほど素晴らしい先生についておられるのかなと、私もぜひその教室に見学に連れて行って欲しいとお願いしました。

んー、それはどうかな。という雰囲気も感じられたのですが、是非!とお願いして連れて行っていただきました。

なんと!その教室は台湾でも指折りの有名な書法家の先生(老師)の教室です。

しかも、そのクラスは、中国や台湾の大学で書道を学んだ方々、つまり書法を研究している指導者級の人たちがほとんどだと思われるクラスでした。

知り合いの奥様が私を見学に連れて行っても良いものか考えられたはずですね。

奥様のお力添えがあったからこそですが、私はお仲間に入れていただくことができました。

教室は台北の台湾大学の近くにあり、毎週、1時間ほどかけてバスで通います。

毎週いただいて帰るお手本で、自宅で練習し、清書したものを、皆さんが見ている前で先生に指導していただくというスタイルです。時には、課題を渡されてその場で作品に仕上げて指導していただくということもありました。

紹介していただいた奥様や先生、教室の皆様にご迷惑をかけてはいけないとの思いもあって、練習だけは一生懸命して行きました。

「たくさん練習しましたね。素晴らしい!」と熱心さはいつも褒めていただき、励みになりました。

老師はとても優しくお話の内容が豊かでいろんなお話をしながら指導をしていただきました。



教室用のノートにわかりやすく例え話を交えながら指導してくださいます。
英語や片言の日本語を交えながらのご指導です。
級友には、日本の大学院に薬学の留学をしておられた方もおられて、いつも通訳をしていただき、本当に助かりました。
また師範級の方には、草書の字を楷書で示していただいたりととても助けていただきました。

日本で私が学んだ一般的な書道練習は極々基本の段階だったので、作品を書道会に提出して段階を追って一級一級、一段一段と進んでいくという形でした。

私が台湾で仲間入りさせていただいたクラスは、いきなりの最上級クラス。中国の古い時代からの書法家の書法の自分の好みの書体を学んでいく、というものです。有名な王義之、顔真卿などの書体を基本に学びます。



書く作品は、古い漢詩が中心です。
私は、老師の書体に近い、王義之の書体を中心に練習をしました。

書法の歴史や書法家についてもまったく学ぶ機会も持たずに本当に素人の段階ですから、冷や汗ものです。

作品は古い時代の漢詩が中心です。
高校時代に漢文の教科でいくつか学んだ気もしますが、一つも覚えていないというお恥ずかしい状態で、お仲間の方々に、いろいろ教えていただきながらの勉強です。


子供の歌の本 「唐詩 念謡」という本には漢詩が沢山載っています


台湾では子供の頃から、漢詩を学び、体に染みついており、普段、LINEでやりとりしたりする時も、故事(古い物語)や熟語を交えながら話をすることも多いのは感動ものです。


級友は「この詩は、台湾の子どもはみんな必ず覚えたのよ」という有名な詩が出てきたり、李白や杜甫という名前くらいしか覚えていない私など、遠い道のりだなあと感じました。

台湾では、小さな食べ物屋さんとか、個人のお宅でも、至る所に書が掛かっています。台湾の人たちにとって、書は本当に身近なものなのですね。

台湾でいろんなお店に入った時などちょっと見回していただくと素晴らしい書がかかっていることがよくありますので、美味しいものを食べながら、書の鑑賞も是非!

街を見回して、いろいろな看板を見ても、素晴らしい書のお手本のような看板が至る所にかかっているのも興味深いです。

残念ながら、現在、私が通う書法教室は、先生がご多忙で休講中です。

今は、書法好きの友人たちで集まって練習をしたり、これまで先生にたくさんいただいているお手本で、練習したり、作品鑑賞をしたりしています。

老師は「臨書を続けていれば必ず上達しますよ」と力付けて下さいました。

日々、臨書をしながら、自分なりの味が少しでも出していければいいかなと、少しずつ楽しみながら書き続けています。


この書法教室では、老師の展示会やデモンストレーションを見学する機会にも度々恵まれました。

台北にある台湾の国防部で老師の書の展示と贈呈式が行われた催しに、特別に参加させていただき、それはとても貴重な機会でした。台湾の国防部内の見学や、いろんな映像などを見ることができたのは、外国人の私にとって滅多に経験することのできないことでした。

台湾では春節前に“春聯”という催しがあり、私も国父紀念館で開かれた春聯と総統府の前で開かれた春聯に参加させていただいたのも、とても貴重な経験でした。

春聯では、書法をする人たちが集まり、赤い紙に春節を迎えるおめでたい作品を次々とその場で書き上げでいきます。

この場は、一般の人々が、その書を見て回りながら、自分の気に入った作品を無料でもらって帰れるというものです。
そして、それを家々の玄関や室内に掛けて春節を迎えるのです。

台湾の家々にいろいろな縁起の良い言葉や文字が赤い紙に書かれたものを貼ってあるのを目にすると思いますが、
それは、春聯でもらったものや、有名な方のもの、自分で書いたもの、売っているもの等いろいろだと思いますが、春節を迎えるにあたって、良い年になるよう願って貼ってあるのです。

[これは、私の住むマンションに今年貼られているものの一つ。蔡英文総統、頼副総統の春聯です。国民に配られたようです。
この意味は簡単に言うと、不景気から脱するということのようです。]


身近に書に親しむ機会の多い台湾で、
観たり、書いたりと日々の楽しみです。

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