見出し画像

好きなお味は。

ビール、コーヒー、チョコレート
しっかり焼き色のついた野菜、ハンバーグの少し焦げたとこ。

それから

焦げるギリギリまで焼いた食パンにバターと蜂蜜を塗ったもの、
砂糖たっぷりめに入れてしっかり焼いた卵焼き。

私の好きな味は。

好きな食べ物は?
じゃなく
好きな味は?

そんな問いを初めてもらった。

好きな食べ物じゃなくて、味。
すごくシンプルな質問だけど、考えたこともなかった。

そして考えた。
私って何味が好きなんだろう、て。

味噌味、醤油味、塩味。
薄味、濃い味。

どれも好き。
濃い味を欲するときもあるし、あっさり目で攻めたいときもある。

しっくりこない。



そんなふいな質問をされた夜に清澄白河のフレンチで
芽キャベツのフリットに出会った。

ツヤっとした丸くて黒いものが真っ白なお皿に乗ってやってきた。
パラパラと塩が振られているのが見える。

口に入れた瞬間に広がるキャベツの甘み、
焦がされた部分の香ばしさと、じんわりと舌全体を優しく包む苦味。

シャクシャクと口を鳴らすと、
甘いのと苦いのが混ざりあっていく。

あぁ、美味しい、あぁ、幸せ。


あとを引く優しい苦味。
もひとつもひとつと、手が伸びてしまう。

あ、コレだ!
甘くて苦いものが好きなんだ。


ビールが好き、コーヒーが好き、チョコレートが好き。
焦げ目のついた野菜やハンバーグが好き。
少し焦げたパンとバターと蜂蜜のマリアージュが好き。
母が少し失敗してしまった甘い卵焼きが好き。

好きな食べもの考えてたら、お腹空いてきた。


今日の晩御飯は、豚肉の生姜焼きにしよう。
タレを少し焦がしたものを焼いたお肉の上にたらして食べよう。
真っ白なご飯と一緒に。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?