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ラテにマシマロのっけちゃお

人といるととにかく疲れる。
なのに、誰かがいないと寂しくなる。
とにかく寂しくなる。
圧倒的孤独は人を簡単に壊す。

泣いても喚いても口汚く放送禁止用語を叫んでも。
それを誰が咎めるでも慰めるでもなく、ただしんとひんやりした空気が小さく揺れるだけ。

それが一人暮らし。

自由気ままで、贅沢で、切なくて胸がギュッとなる。



「他人にチューニング合わせるのに疲れた人だよね」

と彼はわたしを見て言う。
彼といっても、恋人ではない。
これも胸がギュッとなるけど割愛。

おっしゃるとおり。
すっかり疲れ果ててそんな気力は20代の混沌に捨ててきたのだ。

「でも疲れたよって抱きついたら」
「はいはいおつかれ」
「それ!」

そのひとことで、救われる。

「まあまあ、おいしいラテでも飲まんかね、くらいだよね」
「そうなのよ」

チューニングを合わせる必要がないあなたの、その言葉が今日の絶望を薄めてくれる。

「マシマロのっけちゃお」

彼がキッチンでコーヒーを淹れる姿を思い浮かべた。

隣に立って、笑いながら棚からマシマロを取り出す。
おかしのまちおかで買った真っ白で柔らかなマシマロ。

湯気の立つコーヒーの漆黒の波に飲まれてゆっくりほどけてく。

濁ったきもちがほんの少しだけ和らぐ。

愛はパワーだよ!
って昔深キョンがドラマで言ってたな、と思い出し笑いして眠れそうなくらいには。

#やさしさを感じた言葉

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