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想像力を育てるためにしたことの話

子供がもう16歳になるので、「子育てってこうだったな」と振り返って思うことをツイッターでときどき書いている。


先日、このようなツイートをしたら「子供の想像力を育てるのに具体的にどんなことをしたんですか?」と質問があったので、ちょっと書いてみます。


想像力はどんな時代も大切だけど、どうしてこれからの時代により想像力があったほうがいいのかと言うと、想像力は見えないもの聞こえないものに対して使われるけど、今の時代はなんでも見えてしまうので、見えていることで想像せずにそのまま信じてしまうことが多くなり、それはとてもキケンだと思うからだ。

見えているものを「ほんとうにそうかな?」と疑ったり、氷山の一角であるとか数あるうちのひとつであるとか、見えない部分をどれだけ想像できるかはとても大事だと思う。


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わたしが、子供が小さいときからよくしていた遊びがある。

それは、目の前にある物をお題として、「これがここにやってくるまでにどんな仕事があるか」を言い合うというゲームだ。

たとえばお題が「Tシャツ」の場合、「印刷する人」「デザインする人」「服屋の販売員さん」「工場からお店に運ぶ人」「布をつくる人」「Tシャツを入れる袋をつくる人」「そのビニールを開発する人」などを交互に言う。正解不正解はあまり関係なく、「あー、たしかにそんな仕事もあるかもね」という答えを思いついたほうがかっこいいという感じだった。


これを、日常のあらゆるものでやっていた。シャンプーは?エアコンは?雑誌は?アイスは?と、突然お題が出される。

くりかえしていると、大人でもわからないことがたくさんあって、そういえばどうなってるんだろう?と調べたり、想像のほうがおもしろいからそのままにしたり(ツナ缶用のマグロを選ぶ人がいるんじゃないか、とか)した。

どんなものにでもある定番の仕事もあって、どんなお題でも考えずに言えた。たとえば「デザイナー」は取り合いで、「どんな物もこの形にしようと誰かが決めているんだよな」とわかったりもした。


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このゲームは「想像力を鍛えよう」という意図がはじめから明確にあってやっていたわけではない。

もともとは、親であるわたし自身が大人になるまで「仕事」について知らなすぎたという後悔の念があったので、「世の中にはいろんな仕事でできている」ということを子供のうちから知っておいてほしいという思いでやっていた。

わたしが「知らない」と思っていた世の中の仕事も、もちろん同じように目の前にあった。それなのに「だれも教えてくれない」「教わってないからわからない」と思っていた。そうしている間に高校生になって、そのまま自分で決めないといけない状況になってしまった。知らないまま、知っている中からしか選べなかった。

わたしはこのことをかなり後悔しているし、根に持っているけど、「なんで知らないのに決めさせるんだ」「もっと大人は仕事について教えるべきだ」という言い分は、たぶん半分そのとおりで、半分まちがっている。



自分ですきに選んでいいと知らなかった。知らないと選べないのに、自分の力で知ろうとしなかった。もしかしたら、自分には用意されていないと諦めて、考えるのをやめてしまっただけなのかもしれない。

この後悔を反面教師に、自分の子供には「自分で選んで、自分で決めるんだよ」「選ぶためには選択肢を増やすんだよ」「見えない部分も想像したら見えてくるよ」と教えてあげたかった。


想像力は、多様性を受け入れるためにも、情報の取捨選択にも必要だけど、いちばんの力は、どんな環境でも自分の世界を狭めずに、諦めないでどこにでも行けると思えることだと思う。視野を無限にひろげられて、自分の世界を自分でつくれる。

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というわけで、目の前のあらゆるものからひろく遠くまで想像するこの遊び、ぜひやってみてください。


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