医療崩壊を「便利」な言い訳にするな
式村比呂です。
どうも連日、日本中の政治家の発言を追っておりますと、「医療崩壊」を便利使いに利用し始めているな、と感じるわけです。
「風が吹けば桶屋が儲かる」式に言いますと
・コロナ陽性者が増える→病院に軽症者が殺到する→重症者が入るベッドがなくなる→医療崩壊
・外出自粛を守らない→コロナ感染者が増える→病院が感染者で溢れる→医療崩壊
・コロナ感染者を判定するためのPCR検査を政府はやらない→国が感染者を管理出来ずパンデミックが起きる→医療崩壊
どれも率直に言って、的外れなのに、不安で押しつぶされそうな国民の不安を煽って政治に利用しているわけです。
医療崩壊が起きるメカニズム
私たちは、だからこそ、正しく「医療崩壊」が起きるメカニズムを考察し、それを予防し、あるいは対策せねばなりません。
まず、医療崩壊を定義しましょう。
1) 医療崩壊とは、コロナ禍の場合、「重症者」を救命する施設が枯渇することである
2)医療崩壊は、コロナ禍の場合、前線の医療従事者が感染し、職務を遂行出来ないことである
3)医療崩壊は、コロナ禍の場合、日本中の経済や市民活動が停止するために資金がショートした医療機関が閉業することである
以上が今回のコロナ禍で定義される医療崩壊です。
まず1)について。
いわゆるパンデミック状態になって「オーバーシュート」が起きた場合を想定していると思われます。
オーバーシュートは和製英語な上、外国人が意味分からんと言ってますが、今回の言い出しっぺの小池都知事によると
という意味で使ってるそうです。
その都道府県のコロナに対応出来るICU(集中治療室)が満床になったら、そのあと重症化した人を助けられないよね、という話になります。
2)については、すでに現在東京の救急救命病院で起きている現象です。
慶應大学病院・都立墨東病院などで医師や看護師が陽性と判明し、救急受け入れを停止した報道は、日本中の医療機関を震撼させました。
そして3)。
コロナによって医療機関がパンクするから医療破綻が起きるんだろう?
という論点からは全く逆じゃないか、というお話です。
現在、日本政府は「活動自粛」を国民に強いています。
自粛を強いる、変な日本語じゃないですか。
自粛とは自分から自分の思想や活動を「厳しく」慎むことです。
要するに「外出するな」と言うとき、国民は、慢性病などで日常的に通っていたクリニックなどのホームドクターにも行かなくなっています。
歯科や眼科などは、もっとも危険な感染現場と言われています。
陽性者が感染源と考えると、ウイルスの拡散部位である喉からの呼気に、至近距離で暴露されるからです。
だから彼らは休業せざるを得ないでしょう。
整形外科、ペインクリニックといった「痛みを除く」クリニックも、耐えられないほどの苦痛はともかく、慢性的な症状の患者は外出を控えるでしょう。
PCR検査は医療崩壊に関係するか?
誤解されている最たる部分ですが、PCR検査は「コロナウイルス罹患の確定診断」の為のツールの一つでしかありません。
つまり、PCR検査をやろうとやるまいと、対症療法的には全く関係ない。
コロナで現在知られている症例としては
1)呼吸器疾患
2)循環器疾患
3)皮膚疾患
の症例が挙げられています。
呼吸器は、咽頭炎・上気道炎・気管支炎・肺炎が知られています。
循環器疾患は、腎炎・肝炎から、やがて血管内皮の壊死による血栓が検知され、その血栓が引き起こす脳血栓・肺塞栓・心不全などが疑われてきました。
皮膚疾患も、おそらくですが、血管内皮の壊死が疑われます。
末梢血管の目詰まりによって血流が滞り、表皮に炎症が現れたり、細胞の壊死を招くわけです。
つまり、このような症状が出た場合、PCR検査をしようがしまいが、医療現場では救命活動や臨床治療に当たらねばならない。
では、なぜPCR検査を国民は求めるのか。
それは「不安」だからです。
自分は言うに及ばず、自分の隣の家族がコロナだったら。
そういう恐怖が、PCR検査待望論になるわけです。
本当にPCR検査が今すぐ必要な人は、誰でしょう?
体調を崩してる人。そして、医療関係者です。
体調を崩した人たちは、上記のように、急激に症状が悪化し、生命に関わる状態になります。
医療関係者は、院内感染を防ぐために、まず「自信を持って」働くために必要です。
患者を救おうと踏ん張る医療関係者たちが、自身が感染源になることになったら。
どれほどそれが恐ろしいことか、想像力を持って欲しい。
医療機関が汚染されているのは、防護服とマスクの不足のせい
医療機関が汚染されているのは、働く職員たちの防衛が出来ていないからです。
よく言われますよね?人・モノ・金。
今の現場にはどれも足りません。
人。医療は、ほぼすべての分野において「専門性」が求められ、医師や看護師、技師などは、国家資格が要求されます。
この状況で、離職者が復職して国難と闘おうと思うでしょうか?
むしろ、現職者たちが退職を考えてもおかしくないでしょう。
モノ。先のPCR検査ももちろんですが、医療用マスク、防護服、消毒液、バイタルチェック用の機器。何もかも足りない。
金。
言わずもがなですね。
今、病院で行われているPCR検査は、自腹で行われています。
慶應は、日本の医療をリードするという自負心と信念で自費で検査を行いました。
日本医師会は、国が動いてくれないことに絶望し、ついに医師会主導で検査機器を導入し、これからは医師の判断でPCR検査をやっていくそうです。
休業補償されない個人医院はどうなるでしょう?
コロナ騒ぎが終わったとしてです。
さあオラがホームドクターに行こうかとクリニックに行ったとき、家賃の払えぬ病院は、とっくに廃業してしまっています。
アビガンについて。
アビガンは国に備蓄されています。
200万人分の備蓄があると言われています。
ところが、現在アビガンは「治験」扱いであるため、治験に参加することが出来ない病院では「一切」アビガンが提供されない訳です。
エボラの治療薬レムデシビルも、実はアビガンと同じ作用の薬でして、体内に入ったときの成分の変化様態が違うくらいの違いです。
それにアビガンの問題点は、いま正しく治験がされていないことです。
治験というのはそもそも、偽薬(プラセボ)を投与したときと本物を投与した際の効果の違いを測らなければならない。
レムデシビルは、こんな状況でもきっちり偽薬使って治験してますが、日本では残念ながら行われていない。
話を戻しますけど、アビガンが欲しいと思っても手に入らない問題は、結局、治験などと言う超法規措置でやってるからです。
現場にないだけで、厚労省の倉庫には山積みになってる。
この辺の知識は、国民に共有して欲しいですね。
防護服に関しては、東京には300万着以上都の倉庫に備蓄がありました。
なんで現場で枯渇してるか。
都知事が、なんと中国に無償で贈与したからです。
今回のコロナウイルスに関しまして、東京都として提供した備蓄は、このマスクだけではありません。防護服については、都内の医療機関や保健所などにはこれまで九万着ほど供給されておりますが、国外に向けても五回にわたって、計三十三万六千着が提供されております。
お聞きしたのをまとめたんですけれども、一回目は一月二十七日、武漢に向かうチャーター機に積んだ二万一千着、これは東京都として自発的に協力をしたと伺っております。
そして二回目ですけれども、二月七日に出庫、配送となっておりますけれども、これは小池知事が二階さんのところに二月四日に訪れた際に要望書をいただいて受け入れた、都として対応することとしたのが十万枚、大変大量な量になっています。
そして三回目、これが二月十三日ですけれども、外務省からの依頼で武漢行きのチャーター機に乗せた五千着、これは一回目と同じような考えなのかなと思いますが。
そして四回目、これは二月十四日、小池知事が昨年覚書を結ばれた中国の清華大学からの要望を受けて一万着を寄贈したということです。
そして最後の五回目、二月十八日に出庫されておりますけれども、これは北京市の依頼で北京市に送ったということがやっときのうになって出てきたわけですけれども、四回目までは、伺ったらそれなりにすぐ出てきましたが、この五番目は一カ月ぐらいかかりました。
4/16時点で、東京都の備蓄は170万着だったそうです。
現在の備蓄量は不明です。
ホームページで都知事は、現場に届けるなどと寝言を言ってるのですが、現場には全く届いていません。
潤沢な防護服もマスクもなしに、医療の現場では従事者たちが働かされています。
使い捨てマスクを使い回す。防護服も使い捨てです。
トイレに行ったら捨てるものです。着回すなどとんでもない。
なぜなら、防護服は、脱ぐときが危険だからです。
着回すなら、着る時もです。
医療現場が汚染されている理由は、医療関係者が守られていないからです。
医療崩壊から現場を守るためには、人・モノ・金だ
以上、今現在の医療現場の状況を記しました。
国民が医療崩壊から現場を守ろうと思ったら、医療従事者を守る。
有資格者の復職を支援する。
防護服やマスク、消毒液、薬を潤沢に提供する。
そして、PCR検査をやって欲しいなら、政治家たちに訴えてください。
医療現場にきっちり補助金出せよと。
医師が疫病で経営破綻するって、そんな国、他にあるのかって。
ある朝、起きたら世界の姿がすっかり変わっていました。 漂流しつつある世界に、何事かをのこしつつ。