失恋と自由—白いしるし—
—恋は唐突に訪れる—
約10年前、私は心から”好き”と思える人に出会い、生まれて初めての告白をして、”恋人”となった。
人は恋をすると何も手につかなくなる。
勉強、食事、日常生活でさえ蝕んでいく。
ある日、私はあっけなく振られた。
”恋人”本人ではなく、その”友人”に。
この話は、とても複雑で少々長くなってしまうので後々ゆっくり書くとする。
しかし、このことがきっかけで私は、人を信じられなくなった。
それと同時に、恋をすることをやめると決めた。
私が、西 加奈子さん著「白いしるし」と出会ったのはそれから4年後のことである。
表紙に写る子猫の愛らしい後ろ姿に一目惚れし、この小説を購入した。
読んでみると、驚くほど主人公の心情や考え、全てが自分と重なった。
失恋をし、
体重がみるみる減っていったこと。
人を信じられなくなったこと。
恋をすることが怖くなったこと。
しかし、小説の後半で私の恋愛感は180度変わった。
「失恋が、私を自由にしてくれる」
そうだよなと思った。
“私は私らしく”
“自分を好きになってくれる人を大事にしよう”
“真っ白な心で生きよう”
そう思った。
私は長かった髪をバッサリ切り、本当の自分をさらけ出した。
失恋をきっかけに、恋をすることをずっとやめていた。
しかし、ある時、唐突に恋が訪れたのである。
一目見た瞬間に、“私はこの人が好き”
そう思った。
慎重に...慎重に......
それから現在まで、私は彼と共に楽しい時間を過ごしている。
この小説に出会わなければ、ずっと失恋を引きずって前に進めなかったと思う。
それと同時に、自分に向き合い、大事にしてくれる人の尊さを知ることができた。
私のように、失恋で前に進めない、自分を変えたいという人にぜひ読んで欲しい小説である。
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