ACの「聞こえてきた声」とかいうCMがあまりに的外れ

ACジャパンの「聞こえてきた声」というCMがある

聞こえてきたのは「男性の声ですか?女性の声ですか?」
とかいうアレである。このCMがあまりに的外れである理由を書きたい。

まずこのCMの目的として、
「あなたには子育ては女性会社役員は男性といった思い込みがありますよね?」
といった「気づき」を見た人に与えるこがあるとおもう。
(もし違うなら以下の文は無視してください。)

さらにいうなら
「思い込みがありますよね?」「それは偏見ですよ」
「そういった偏見をなくして男女平等の社会を作りましょう」
といった主張が込められていると推察するのだが、
世間一般の認識としてそれは「思い込み」ではなく
現実がそうだから無意識にそれを再現しているだけであり
・子育ては女性がやるべきである
・会社役員が男性がやるべきである

といった主義主張があるわけではないだろう。

ところでこれを読んでいる方、「ACジャパン 役員」で検索してみてください。
検索されましたか?

「ACジャパンの役員に就任しました。よろしくお願いいたします。」
聞こえてきたのは「男性の声ですか?女性の声ですか?

例えばあれらの声に無意識に男女の声が割り当てられていたとして
それは「偏見があるから」ではなく「ACジャパン」筆頭に現実がそうであるからであり、そうなっているのは「そうあるべき」という思想があるからではなく、現実的にそうしたほうが効率的だからだ。

例えば若い夫婦が結婚し、2人で暮らし始めたとして妻が妊娠したとする。
今までのように働くことは難しく悪阻や、人によっては切迫早産の危険性などで仕事を多く休まざるを得ないことがあり得る。

さらに出産後は体調の回復期間が必要で、母乳による授乳ができるのは女性のみ。子育ての中心的役割は女性が担ったほうが効率的に「なってしまう」

さらに保育園や幼稚園などは基本的に終わる時間が早い。フルタイムで勤務するのはかなり難しい。さらに園の役員が回ってきたり、小学校ならPTA、地域自治会の役員まで来たりする。忙しいのだ。子供がいるという理由で地域の「児童会」に参加させられたりする。
そうでなくても自分の子供で忙しいのに園だの地域だのが負担を増やしてくるのだ。場合によってはどうしても断れず貴重な有休を消費したりする。

社会「ご出産おめでとうございます!負担増やすね!」
これが現実だ。

そして家庭の役割の意識も変えなければならないだろう。
例えば「3食(または2食)バランスよく手作りの食事を用意する」
これははっきり言ってキツイ。買い物、献立を考える。
食材の管理、調理、洗い物、片づけ。
作業は膨大だ。どこぞの国のように割り切って
朝は毎日トーストと目玉焼き、あるいは外で食べる。
または夕食は用意する手間を省いて軽く済ませる。

など根本的に生活文化から変えなければ難しい。

女性の社会進出を促進させていのであればあんなくだらないCMを作るのではなく
「ベビーシッターをもっと普及させて子育ての負担を減らす」
「育休を取った場合、それをフォローする同僚に明確なメリットを示して
 休む側の罪悪感を減らす」
「家事の負担を外注することは当たり前で手抜きではないという意識」

そういう社会システムや意識を変化させないと無理だ。
子育て世代の負担を減らせ。

ここまでクドクド書かせてもらったがどうしても言いたいことがある。
上記の流れを全部無視するのだが

「出産、育児をしている女性の地位が不当に低い。
 それはもう耐え難いほどに低い。」

社会問題である少子化、人口減少に直接の解決を提供しているにもかかわらず会社役員などより下のように思われている現実がおかしい。
命のリスクをかけて出産し、多くの金と労力と時間を費やすのが育児だ。
もっと高く評価されるべきなのである。
極端な話「3人の子供を産み育てた主婦は中小企業の社長並みに尊敬される」のであれば上に書いたような話はそもそもいらない。
(いらないはちょっと言い過ぎかもしれない)
もちろん未婚、子供を作らない選択をされた方々は労働で社会に貢献すればよい。

社会進出」だけが正義なのではなく、育児出産も同等に尊重されるべきという話でした。


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