見出し画像

カーテンコール

筒井康隆「カーテンコール」(新潮社、2023年)
2024/1/11 読了

 筒井康隆が2021年から2023年にかけて執筆した掌篇集だ。どれも二、三分で読めてしまう。はっきりとしたオチがないどころか高熱を出したときの夢かと見紛うような、メガネを外して視力0.03で新宿の繁華街を見たときの眺めのような、不思議な味わいの短編が並んでいる。最近は筋の通った、内容に矛盾のない創作にばかり触れていたのかもしれない。読めば読むほど頭がぼうっとしてくるし、一篇数分で読めるのだからいつ読むのをやめたっていいはずなのに、つい次のページをめくってしまうので筒井康隆はズルい。頭はあんまり働いていないのに、コロナ禍の狂った世相だけはぼんやりと浮かび上がってくる。「プレイバック」はさすがにズルすぎると思う。あと今敏のパプリカって原作筒井康隆だったんだ。初めて知りました。以上です。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?