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わたしに会いたい

わたしに会いたい(西加奈子)
2023年、集英社

 「女性」をテーマにした短編集。すごく西加奈子らしさが凝縮されていると思った。といっても、私は西加奈子ビギナーで、せいぜい3冊くらいしか読んだことがないので、全然見当違いであってもどうかご容赦願いたい。

 いわゆる「普通」からは少し外れた、各短編の主人公たち。その主人公たちのすべてはこの短編集では語られない。覗くことができるのは、その人生のほんの一部だけ。それでも、主人公たちとどこまでも同化した地の文章と、不意に織り交ぜられるドキッとするようなあけすけな言葉から、リアルな感触が伝わってくる。

 西加奈子さんのことを私は勝手にめちゃくちゃ美人の小説家だと認識しているのだが、彼女の作品のところどころにルッキズムへの抵抗感が見え隠れする。外見に恵まれない主人公の短編を読みながら「でも西加奈子って美人なんだよな」と考えてしまう自分がすごく嫌だった。

 好きな短編も、いまいち刺さらなかった短編もあったが、いずれにしても、最後の一篇の力強さがとてもよかった。

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