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備忘録(2020.01.30)

 若し、恋人なる女性ができるとして、傲慢ながら条件を申し出るとするならば、良き映画を見たのち五分間は喋り掛けないで欲しい、と伝えたい。昔から、受け止めきれないほどの大きな感性に直面すると、整理するのに時間がかかる性分である。飲み残して薄くなったコーラを捨てて、我慢していたことを忘れていた用を足して、ようやく落ち着いた時「良い映画だったナ」と言えたらその日は大満足だ。

 「ヤクザと家族 The Family」という映画を見てきた。恋人ではないが、ちゃんと上記の性分を理解してくれる友人とである。平日の夕方ということもあってかガラガラだった映画館は、なんだか虚しさを醸し出していた。

 以下一部ネタバレがあるのでご注意されたし。


 映画の内容は、登場人物が決して報われるようなこともなく、僅かな希望も儚く消えていった。主人公であるヤクザの男が14年間の刑期を終え社会へ戻りその変化に戸惑う。つまり、車がプリウスになってた時。携帯の機種変の時。兄貴がクスリを打っている時。とある女性の娘の口癖が、その女性とそっくりだった時。その本人にとっては時間の流れに沿った変化だったとしても、主人公の男にしてみれば大きな変化に映るだろう、そしてそこにとんでもなく虚しさを覚えた。我慢したから、努力したから、そんなキレイごとじゃ報われないとは知っているけど。

 キレイごとだけ振りかざして生きていけるのならどれだけ楽だろう。自分の価値観を押し付けるだけでいいのだから。けど、キレイごとだけじゃどうにもならないことを知っているから、逆に胸に響くことだってあるかもしれないナァ。自分が正しいと思ったことが、その価値観だけが、何かを狂わす可能性を大いに包括しているということを忘れないでおきたい。

 それにしても、綾野剛氏と尾野真千子氏の演技ってほんとにすごいんだなぁ。二時間越えの映画だったけど一瞬だった。簡単な言葉で言ってしまえば、引き込まれた。

 その後、肉を焼き、ドライブをした。そういえば今日は卒論お疲れ様会だった。なんだか余計な話をし過ぎた感もある。まぁでもそれでいいのだろう。以上、雑記。


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