2023/09/09(土)のゾンビ論文 ゾンビロギング

ゾンビについて書かれた論文を収集すべく、Googleスカラーのアラート機能を使っている。アラート設定ごとに、得られた論文を以下にまとめる。

アラートの条件は次の通り。

  1. 「zombie -firm -philosophical -botnet -xylazine -biolegend -gender」

  2. 「zombie -firm -philosophical -DDoS -xylazine -viability -gender」

  3. 「zombie -firm -philosophical -DDoS -xylazine -biolegend -gender」

  4. 「zombie -firm -philosophical」(取りこぼし確認)

  5. 「zombie -firm -consciousness」(取りこぼし確認その2)

検索条件は次の意図をもって設定してある。

  • 「zombie」:ゾンビ論文を探す

  • 「-firm」:ゾンビ企業を扱う経済学の論文を排除する

  • 「-philosophical」/「-consciousness」:哲学的ゾンビを扱う哲学の論文を排除する

  • 「-DDoS」/「-botnet」:ゾンビPCを扱う情報科学の論文を排除する

  • 「-xylazine」:ゾンビドラッグに関する論文を排除する

  • 「-viability」/「-biolegend」:細胞の生死を確認するゾンビ試薬を使う医学の論文を排除する

  • 「-gender」:ジェンダー学の論文を排除する

また、検索条件4と5では、上記の検索キーワードで不必要にゾンビ論文を排除していないかを確かめる。

今回、それぞれのヒット数は以下の通り。

  1. 「zombie -firm -philosophical -botnett -xylazine -biolegend -gender」一件

  2. 「zombie -firm -philosophical -DDoS -xylazine -viability -gender」一件

  3. 「zombie -firm -philosophical -DDoS -xylazine -biolegend -gender」一件

  4. 「zombie -firm -philosophical」三件(差分二件)

  5. 「zombie -firm -consciousness」三件(条件4との差分ゼロ件)

検索条件1-3は情報科学が一件だった。



検索条件1「zombie -firm -philosophical -botnet -xylazine -biolegend -gender」

ソフトウェア更新を伴わない構成主導のロギング強制終了

一件目。

原題:Configuration-driven Logging Deprecation Without Software Updates
掲載:Defensive Publications Series
著者:Ashok Chandwaneyを筆頭著者として、四名
ジャンル:情報科学

zombieの単語は必ず"Zombie logging"(ゾンビロギング)という文字列で出てくる。

PCやコンピュータには、操作や操作によって起こったイベントを記録したログファイルというファイルが存在する。これを残しておくと、トラブルが起きた際に原因を探ることが簡単になる。

プログラムの更新などによって不要と判断されたログ情報は記録されなくなるのだが、その更新が適用されなかった場合には不要なログが記録されては蓄積してしまう。このようなログファイルの記録をゾンビロギングと呼ぶらしい。「ゾンビログ」ではなく「ゾンビロギング」なのは、ファイルの記録が継続している様子を示しているのだろう。

本論文は、更新プログラムのインストールを経ずにゾンビロギングを止める手段を紹介するものである。



検索条件1-3の差分(差分なし)

「DDoS/botnet」と「viability/biolegend」で検索結果に差異が生じるか調べる。

今回は差分がなかった。



検索条件4「zombie -firm -philosophical」

上記の条件で誤ってねらいのゾンビ論文を取りこぼしていないかチェックするために、こちらの検索結果もチェックしておく。ただし、ゾンビ企業と哲学的ゾンビは意図的に取りこぼすこととする。

ステファニー・ピーブルズ・タベラ、処方箋と手紙の物語: フェミニストの医療小説とアメリカ検閲の失敗

原題:(P) rescription Narratives: Feminist Medical Fiction and the Failure of American Censorship by Stephanie Peebles Tavera
掲載:American Literary History
著者:Sara L. Crosby
ジャンル:ジェンダー学

「-gender」で排除。過去に紹介した論文がまた検索にヒットした。



ビデオゲームの報酬は、プレイヤーのその後の向社会的関与に影響を及ぼすのか?報酬と推論の役割に関する事前登録された部分再現研究

原題:Do videogame rewards influence players' subsequent prosocial engagement? A preregistered partial replication study on the role of reward and reasoning
掲載:International Journal of Human-Computer Studies
著者:Blake Kammermannを筆頭著者として、四名
ジャンル:情報科学

「-gender」で排除。しかし被験者の男女比に触れる際に"The gender split was …"と述べているだけなので、ジェンダー学関連ではない。人間の行動に関する実験をする際には「-gender」で排除されてしまう。新たな学びを得た。

zombieの単語が出てくる理由は、被験者にゾンビを倒すゲームをプレイしてもらうから。ただ、ゾンビを使った理由はきちんとある。

Iten (2018) suggests that emotional engagement with narrative elements could sway people’s reasoning. To that end, changing the game away from zombies to more emotionally compelling enemies or increasing the visual realism may prompt a stronger response from players.
(Iten(2018)は物語の要素への感情的な結びつきが人々の理性を揺さぶりうる可能性を示唆しています。そのためには、ゲームをゾンビからより感情的に説得力のある敵に変更するか、視覚的なリアリズムを高めることで、プレイヤーからのより強い反応が得られる可能性があります。)

Blake Kammermannら著
International Journal of Human-Computer Studies掲載
『Do videogame rewards influence players' subsequent prosocial engagement? A preregistered partial replication study on the role of reward and reasoning』

つまり、「感情的な結びつき」という要素をこの実験から排除したかったために、ゾンビを倒すゲームを設定したというわけだ。これは、ゾンビが感情移入の対象ではないと断定していることに等しく、ゾンビの非人間性が認知されている証拠にほかならない。

Iten(2018)が数ページ程度の論文だったらその証拠の源泉を読みに行くのだが、100ページを超える博士論文だった…。それは流石に読めない。能力も時間的猶予もないからだ。



検索条件5「zombie -firm -consciousness」(差分なし)

「zombie -firm -philosophical」との差分を確認する。哲学的ゾンビのみを排除するには「-philosphical」(哲学的な)と「-cousciousness」(意識)のどちらが良いかを探る目的。前者は哲学的ゾンビが英語でphilosophical zombieとつづることから、後者は哲学的ゾンビが人間の意識の有無に注目した概念であることから、それぞれ排除可能。

今回は差分がなかった。



まとめ

検索条件1-3は情報科学が一件だった。

情報科学はとにかくゾンビが多い。処理がない、処理が実行されない、処理が中断された、などの様々な理由であらゆるモノが生き続けるからだ。恐ろしい。ゾンビの源泉だ。デジタルなゾンビと言えば『リング』の貞子がそうだと聞くが、ホラー映画は怖いので観ることができない。そのうち小説を読もう。

今回はねらいの論文がなかった。


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