2023/07/01(土)のゾンビ論文 『高慢と偏見』と『高慢と偏見とゾンビ』と…

ゾンビについて書かれた論文を収集すべく、Googleスカラーのアラート機能を使っている。アラート設定ごとに、得られた論文を以下にまとめる。

アラートの条件は次の通り。

  1. 「zombie -firm -philosophical -DDos -xylazine -viability -gender」(メイン)

  2. 「zombie」(取りこぼしがないか確認する目的)

メインの検索条件は次の意図をもって設定してある。

  • 「zombie」:ゾンビ論文を探す

  • 「-firm」:ゾンビ企業を扱う経済学の論文を排除する

  • 「-philosophical」:哲学的ゾンビを扱う哲学の論文を排除する

  • 「-DDoS」:ゾンビPCを扱う情報科学の論文を排除する

  • 「-xylazine」:ゾンビドラッグことキシラジンに関する論文を排除する

  • 「-viability」:細胞の生死を確認するゾンビ試薬を使う医学の論文を排除する

  • 「-gender」:ジェンダー学の論文を排除する

また、「zombie」の内容も確認するのは、上記の検索キーワードで不必要にゾンビ論文を排除していないかを確かめる目的である。

それぞれのヒット数は以下の通り。

  1. 「zombie -firm -philosophical -DDos -xylazine -viability -gender」一件

  2. 「zombie」五件(差分四件)

「zombie -firm -philosophical -DDos -xylazine -viability -gender」は英文学が一件だった。



検索キーワード「zombie -firm -philosophical -DDos -xylazine -viability -gender」

高慢と偏見の適応: 比較研究

一件目。

原題:Pride and Prejudice Adaptations: A Comparative Study
掲載:International Journal of English Literature and Social Sciences
著者:Sharanya Chowdhury
ジャンル:英文学(比較文化学でもよいかも?)

タイトルからわかる通り、『高慢と偏見』シリーズの比較研究。正確にはシリーズではなく、続編とされるのはパロディ作品なのだが、別にいいだろう。公式のナンバリングと勘違いする人間などいないのだから。

比較するのは次の五作品。

念のため、『高慢と偏見』(1940)が最初の映画化で、『プライドと偏見』(2005)がリメイク版。『Pride & Prejudice: A Latter-Day Comedy』(2003)は原作の『高慢と偏見』を基にしたパロディコメディで、『Bride and Prejudice』(2004)はインド版『高慢と偏見』と捉えればよい。『高慢と偏見とゾンビ』(2016)は説明不要だろう。

もちろん、"Pride and Prejudice and Zombies"を取り扱っているために、アラートに引っ掛かった。ただ、基本的には映画作品のレビューであるため、私が求めるゾンビ論文ではない。

ジャンルは、掲載誌より英文学。『高慢と偏見』を軸にして世代と文化を比較しているため、比較文化学でもよいかもしれない。

ちょっと興味はある。



検索キーワード「zombie」

このキーワードでは「zombie」ゾンビ論文がアラートに入ってくる。誤ってねらいのゾンビ論文を取りこぼしていないかチェックするために、こちらの検索結果もチェックしておく。

祖先の土地とジェンダー: 入植者の気候変動と黙示録的な物語に対するクィア先住民の批判

原題:Ancestral Lands and Genders: A Queer Indigenous Critique of Settler Climate Change and Post-Apocalyptic Narratives
掲載:Radical Philosophy Review
著者:Brooklyn Leonhardt
ジャンル:哲学(民族史?生態学?ジェンダー学?)

掲載誌名からして、「-philosophical」で排除されたと考えられる。zombieの単語が現れるのは、たとえば次の一文。よくある、被差別人種をゾンビに重ね合わせて分析するものである。

Critical theories of race have noted that the figure of the zombie, in particular, is a racialized one.
(人種に関する批判的な理論は、特にゾンビの姿が、 人種化されたもの。)

Ancestral Lands and Genders: A Queer Indigenous Critique of Settler Climate Change and Post-Apocalyptic Narratives

ジャンルは掲載誌からとって哲学とした。ただ、アブストラクトを読む限り対象とする学問範囲が広すぎてひとつに絞るのが正しいとも思えない。


新型コロナウイルス感染症のパンデミックが銀行融資に与える影響

原題:The influence of the COVID-19 pandemic on bank lending
掲載:COVID-19 and European Banking Performance - Resilience, Recovery and Sustainability
著者:Renata Karkowska
ジャンル:経済学

"zombie lending"、"zombie firm"の文字列あり。ゾンビ企業に関する論文。


意識哲学における自然主義の克服

原題:OVERCOMING NATURALISM IN THE PHILOSOPHY OF CONSCIOUSNESS
掲載:СОЦИОСФЕРА
著者:E. M. Ivanov
ジャンル:哲学

タイトルに哲学と書いてあるため、哲学的ゾンビが出てくる論文。


あなたのマスター肉屋: カニバリズムにおける同意のレトリック

原題:Your Master Butcher: The Rhetoric of Consent in Cannibalism
掲載:University of Nevadaに提出された修士論文
著者:Anastasia M. Tejada
ジャンル:コミュニケーション学

「-gender」で排除されていた。アブストラクトを読む限り、カニバリズムはそこそこ以上に注目を浴びている性的嗜好らしい。ドイツでは2001年に食人事件があったのだとか。欧米だけだろうか、それとも日本でも注目している人間が一定数いるのだろうか。食人ジャンルで同人漫画を描いている人間がいるのは知っているが…。

ゾンビは比喩として使われているようだ。さもありなん。


まとめ

「zombie -firm -philosophical -DDos -xylazine -viability -gender」は英文学が一件だった。

私は『高慢と偏見とゾンビ』を観たことはあるが、『高慢と偏見』は読んだことも観たこともない。パロディ作品の多いゾンビ映画を愛好しているにもかかわらず、原点にあたって比較したことがないというのは、怠惰と評するほかないだろう。

今回の論文にならい、私も急ぎ『高慢と偏見』の原作にあたりたい。ゾンビ以外のパロディ作品は日本では観れないようなので、どうしようか悩んでいるが。

今日はねらいのゾンビ論文なし。


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