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私のドイツ好きを作った5つのマンガ

小学生の頃からドイツに興味があって、夫の赴任先がドイツになったと知ったときは純粋に「労せずドイツに住めるなんて!」と浮かれポンチでした。大学の時に第二外国語で習ったドイツ語は数字以外まるっと忘れていましたが。。

なんでドイツが好きなの?と問われると、明らかに原点には一つのマンガがあります。

MIND ASSASSIN(マインド・アサシン)かずはじめ

主人公のかずいは祖父がドイツ人のクオーターですが、実はドイツはほぼ出てきません。登場するドイツ人も3人くらい…?しかも全員もれなく嫌な人というか、むしろ極悪人。

しかし4巻に掲載されている「異国の雪降る街」の1話のみがドイツが舞台となり、その中でStuttgart(シュトゥットガルト)という街のクリスマスマーケットが出てきます。

それがもう幼心に何より記憶に残って、「いつか絶対シュトゥットガルトのクリスマスマーケットに行きたい!」が夢の一つとなりました。物語自体は悪い奴はやっつけられるけど、すっきりもしないし、明るくもない、よく週刊少年ジャンプで連載できたなという話なのですが、妙に心にふんわりと残るのです。エモいというものかな、これが。(使い方わかってない)

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これが念願叶ったクリスマスマーケットの写真です。漫画に出てきたのと同じ構図で撮ってみました!が、20年前はここには屋台は出ていなかったのか、まったく同じには撮影できず。

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もちろん作中で出てきたホットワインも飲みました!全然美味しくなかったです!!(そもそもアルコール苦手なので。。)

そして、作中では駅からすぐクリスマスマーケットがあるような感じを受けましたが、駅から徒歩10分以上かかったので、道中会話に困っただろうな…などいろんな余白の想像もできて楽しかったです。


(参考)あしたは晴れた空の下で 中澤晶子

そしてもう一冊、漫画ではありませんが、ドイツへの興味を形作った物語。

中学校の国語の教科書に載っていたお話。確か「いのちということ」というタイトルで、この本の一部分が掲載されていました。それに出てきたブリギッテ(マドンナB)の姿・性格描写がとても好きで、もとの本を買ってもらいました。そうしたら実はチェルノブイリ原発事故に関するお話で、ブリギッテは単に他の子より成熟した女の子でなく、最初に頂いた印象と異なったことに驚きました。

ちなみに日本のことをドイツのニュースで見かけるときは、政治以外の話だとやはりフクシマが多いです。現メルケル政権はかつて原発を推進していたけれど、福島の原発事故により脱原発へと舵をきったこともあり。


MASTER KEATON(マスター・キートン) 浦沢直樹

マスター・キートンにはドイツだけというより東欧への興味、現代(今となってはやや古いですが)国際社会への興味を引き出してくれた作品です。

そのたくさんあるストーリーの中で最も好きなのが完全版1巻に収録されている「ある貴婦人との旅」。ドイツのデュッセルドルフからスイスのバーゼルへ電車で向かう途中、たまたま相席した傲慢な老婦人から繰り出される無理難題を手助けするも決してお礼をもらえないキートン。でも彼女の傲慢さの背景にあったのはドイツの東西分裂によって壊された家族と一人で戦ってきた過去でした。婦人が最後に言ってくれた「本当の紳士」であるキートンの行動力とやさしさ、そして無情な歴史の一片を知ることのできる名作です!

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作中ではデュッセルドルフ中央駅から電車(ICE?)に乗りますが、途中ケルンの大聖堂を見たいから、婦人がキートンに窓を開けてと頼む(命令する)シーンがあります。

世界遺産として知られるケルン大聖堂の荘厳さは圧巻なのでぜひ現地で見てほしいのですが、この大聖堂、驚くほど駅の近くにそびえているので電車に乗りながらも、とっても大きくしっかり見ることができます。高速道路から見る富士山のように、何度見ても「お~!」と感激します。このシーンを描きたいがゆえに、旅の出発地をデュッセルドルフにしたんだなとわかって嬉しくなりました。


トーマの心臓 萩尾望都

この作品はドイツのギムナジウムが舞台でありながらも、基本全寮制の学校内で起こる出来事なので、あまりドイツ好きに影響を与えたわけではないのですが。それでいうと「オルフェウスの窓」も名作だし、ドイツが舞台の一つでもありますが、あまりドイツドイツしていないような…?

ただ、ドイツのギムナジウム(優秀な学生の通う中高等学校のような)は全員耽美な美少年の巣窟だという印象を植え付けられたという点で入れました!今のギムナジウムは男女共学ですし、制服もない!!そしてそんな傾国の美少年は見たことない!ので、夢を壊したくないのであれば心の中のドイツを大事にしてほしいです。。


ここからは私のドイツ好きを作ったというより、ドイツが舞台のおすすめ漫画。#私を構成する5つのマンガ タグも一応付けますが、もう募集期間終わってるし、記念にということで。

BLUE GIANT SUPREME 石塚真一

前作で仙台から東京に出てきてジャズプレイヤーとして歩き出した宮本大がドイツの地に降り立ったところから物語が始まります。

ドイツを始めとするヨーロッパ各地が舞台となっているのですが、ドイツ国内では、ミュンヘン→ハンブルク→ベルリン(フランクフルトや他の地域もちらっと出てきますが)が主なルート。

なぜ最初からドイツの首都であり、音楽も盛んなベルリンではなく、ミュンヘンだったのか?という点に対し、知人が面白い考察をおりまして。

都市の大きさと大の成長が比例していると同時に、各都市の雰囲気が物語を動かしているのだと。

例えば、ミュンヘンはオクトーバーフェストで有名な街ですが、実はやや保守的で閉鎖的。バイエルン州は訛りが強めなことや、バイエルン出身であることを誇りにしている等、オープンとは言えない感じ。

次に向かったハンブルクは、その昔ハンザ同盟の中心都市として、豊かで人の出入りも多く、内地の多いドイツの中で珍しい港湾都市(接しているのは川ですが)なため開放的で明るい雰囲気。またベルリンと同じ州と同格の独立市であります。写真はハンブルク中央駅。

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初期のビートルズが活動していた街としても有名で、ザンクトパウリには大たちも行ったビートルズ像もあります。この街でハンナと出会ってジャズバンドをスタートするにはもってこいの場所。

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そして最後のベルリン。ベルリンはいまやアーティストの街。コロナ対策の一つとして、ベルリン市がベルリンに住む自営業者に国籍問わず補助金を出したことも有名になりました。有名なテクノクラブがあり、世界で一番美術館密度が高く、いろんな国籍の人が集まる街。歴史はあるのに、東西が統一されてまだ30年という若い街でもあります。アーティストビザも取りやすい。

そんな街ごとの空気も表現している漫画ってなかなかないんじゃないでしょうか。


ACCA13区監察課 オノ・ナツメ

ACCAは架空のドーワー王国が舞台なのでドイツは出てきません。しかし、ドーワー王国王家に関わる人たちの名前がドイツ語由来であること(鷹、白鳥、雪、煙、夕方、月など)と、ロッタへのお土産である雪の玉(そのまんま名前はSchneeball)がドイツ南部の名物であることからドーワー王国の舞台はきっとドイツだろうと思うのです。(もしかしたらオーストリアかも)

この雪の玉、ローテンブルクというロマンチック街道の北のほうの街の名物なのですが、売っているのを見たことはあっても食べたことはないのです…なぜならデカいから!!そして見るからにめっちゃ甘くて胃もたれしそうで。。

食べたことがある人によると名前のようにふわふわした食べ物ではなく、むちゃくちゃ固いので、袋に入れてバッキバキにして食べる代物だとか。ロッタちゃんは歯が丈夫!

シュヴァーン王子はフォークとナイフで食べてますが、出来たてのあっつあつはもしかしたら柔らかいのかも?それかマギーが切れ目をあらかじめ入れてくれているかですね。さすが有能な家臣です。

なお冬期限定で日本でも売っているお店があるそうです。



他にもドイツを舞台にした面白い漫画はたくさんあって、まだ私も「エロイカより愛をこめて」には手を出していないですし、漫画の中のドイツを探す旅はずっと続けて参ります!

他にも面白いドイツを舞台にした漫画があったらぜひ教えてくださいー!!