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象徴的解釈:天秤座3度のサビアンシンボル

Libra3:The dawn of a new day, everything changed.
《日本語訳》全てが変わった、新しい日の夜明け


【天秤座3度の意味】

  • 調和による「美」の実現

  • 人間を中心とした世界観(ヒューマニズム)

  • 理想的な人間像の追求

【天秤座3度の解説】

夜明けが象徴するもの

サビアンシンボルの3度はそのサインの世界観や世界のつくり方を示しています。天秤座2度ではスピリチュアルな思想への興味が示されていますが、あくまでも「人間性の向上」や「人間性の追求」を目的とした理論への共感であり、感情面での共感ではありません。

天秤座3度に登場する「夜明け」は、象徴において光(理解、知恵、認識)の到来を表します。無知の状態(=闇)から知恵(=光)を獲得した状態への変化、つまり「魂の覚醒」と言えます。

一見、スピリチュアルな世界への目覚めを思わせるサビアンシンボルですが、「魂の覚醒」からもう一歩進んで「人間性の追求」という現実的な表現に置き換えると、より具体的な意味を導き出すことができます。

「人間性の追求」という観点で考えた場合、天秤座3度の「夜明け」で思い浮かぶのは「ルネサンス」です。「中世の暗黒時代からの夜明け」と表現されるように、ルネサンスは神を中心とした世界観から人間を中心とする世界観へと大きくシフトした時期でした。天秤座3度の夜明けをルネサンスと重ね合わせて考えてみましょう。

ルネサンスとは

ルネサンスとは14世紀から16世紀頃にかけてイタリアでおこった文芸復興のことです。それまでの神(=教会)中心の文化から古代ギリシア・ローマ時代の人間を中心とした思想・文化を復活させようとする、精神的な復興運動を意味しています。

また、コペルニクスやガリレオ・ガリレイによって地動説が主張されたのもこの時期です。観察によって事象を見ようとする科学的精神が誕生したことは、森羅万象を支配していた神の教義からの離別でもありました(だからと言って、神への信仰心が失われたわけではありません)。

中世が暗黒時代と呼ばれたのは、世俗権力との結びつきによって教会の影響力が増大し、個人としての生き方に重きが置かれなかったからのようです。抑圧された環境の中では人権の尊重や人間性の追求などの考え方が生まれにくかったと言えます。

ルネサンスにおける「美」の表現

中世の芸術で重要だったのは神の超越性や神秘性を表現することでした。そのため、人間の感情や肉体を写実的に表現することはタブーとされ、人間の姿は無表情でひょろっとした人形のように描かれていました。

しかし、ルネサンスになるとミケランジェロの彫刻「ダビデ像」やシスティーナ礼拝堂のフレスコ画「アダムの創造」のように、人間の姿は筋骨隆々とした豊かな肉体で描かれるようになりました。古代ギリシアの思想に影響を受け、人間の理想的な「美」が追求されるようになったからです。

「美」の本質は調和・均整

古代ギリシアの哲学者プラトンは、事物には<イデア>と呼ばれる元型があり、<イデア>は天上界(=真実の世界)に存在しているという「イデア論」を唱えました。「美」もまた例外ではなく、美しい事物は<美のイデア>を含み、調和・均整・節度などに美の本質があると考えました。

古代ギリシアの彫刻家ポリュクレイトスによる理想的な人体比率「カノンの法則」にみられるように、古代ギリシアでは調和・均整の根源を理論に求めていたようです。レオナルド・ダ・ヴィンチが残した有名な人体図も、古代ギリシアの理論にもとづいて描かれたものとされています。

調和による「美」の実現

天秤座サインの支配星である金星には愛・美・豊かさ・調和などの意味があり、牡牛座・天秤座2つのサインを支配しています。しかし、愛や美の感じ方や表現方法は異なり、牡牛座サインが自分の価値観を主眼に置くのに対し、天秤座サインは普遍的な理論をもとに考えようとします。

天秤座サインが理想とする世界では調和による「美」が根底にあり、「美」を実現するためには「より善く生きる」ことが必要とされます。古代ギリシアの思想では「美=善」でもあるので、この「美」は単なる外見だけの美しさではなく、精神性の高さも含まれていると言えます。

サビアンシンボルに登場する要素を象徴として解釈すると、天秤座1度でご説明した「肉体と魂の調和」や天秤座2度でご説明した「善と美の実現」に違わず、天秤座3度でも人間性を追求するテーマが示されていることがわかります。

現代の私たちにとって、「肉体と魂の調和」や「善と美の実現」というテーマは非現実的で、スピリチュアルや宗教の教えのように思えるかもしれません。しかし、古代ギリシアでは現実世界を人間の立場から正しく認識しようとする態度から生まれた思想であり、より善く生きるための考え方でもあったのです。

天秤座サインが理想とするのは、この世に存在する全ての人間が自身を向上させ、互いに尊重し合い、調和して生きられる世界。その調和に満ちた世界をつくるために、理論を学んだり実践したりするのかもしれません。

サビアンシンボルの解釈について

当記事の内容は、サビアンシンボルを考案したマーク・エドモンド・ジョーンズやサビアンシンボルの解釈を著したディーン・ルディアの解釈とは異なります。サビアンシンボルに登場する要素を象徴として扱い、象徴が意味する内容に基づいた独自の解釈を行っています。

天秤座のサビアンシンボル一覧

象徴的解釈:天秤座1度のサビアンシンボル
象徴的解釈:天秤座2度のサビアンシンボル
象徴的解釈:天秤座3度のサビアンシンボル
象徴的解釈:天秤座4度のサビアンシンボル

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