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象徴的解釈:天秤座1度のサビアンシンボル

Libra 1:A butterfly made perfect by a dart through it.
《日本語訳》投げ矢に刺しぬかれて完璧になった蝶


天秤座1度の意味

  • 肉体と魂の調和

  • 調和による美の実現

  • 魂の変容

天秤座1度の解説

プシュケの物語

天秤座1度に登場する要素(矢、蝶)を象徴として解釈してみましょう。蝶(=butterfly)をギリシア神話のプシュケになぞらえると、そこに象徴的な意味を見ることができます。プシュケはギリシア語で蝶、霊魂という意味です。矢の象徴的な意味は後ほどご紹介します。

エロースとプシュケの物語を駆け足でご説明しましょう。
ある国の王には美しい娘が3人おり、中でも末娘のプシュケの美しさは際立っていました。プシュケの美しさに嫉妬した美の女神アフロディーテは、息子のエロースに命じてプシュケが醜い男と恋に落ちるよう仕向けさせます。しかし、エロースは誤って恋の矢で自分を傷つけ、プシュケに恋をしてしまいます。エロースはプシュケをさらい、森にある立派な宮殿に住まわせ、自分の姿を隠して一緒に暮らすことにしました。そして、プシュケに「絶対私の姿を見てはならない」と約束させるのです。

ある夜、意地悪な姉たちにそそのかされたプシュケはランプの明かりで夫の本当の姿を見てしまい、夫が実は神であったことを知ります。約束を破ったことに怒ったエロースはプシュケの元を立ち去り、一人残されたプシュケは必死になって夫を探し求めました。アプロディーテの神殿に赴いたプシュケに対し、アプロディーテはプシュケに3つの試練を与えます。試練はどれも実現不可能に思えましたが、さまざまな神の協力によってプシュケは試練を全うし、最後はエロースと結婚して自分も神となりました。

投げ矢で刺しぬかれた蝶

プシュケの物語は寓意の話とされており、おそらく蝶が毛虫→蛹→蝶へと変態することから、蝶が魂の変容と関連づけられたのだろうと推測されます。
天秤座1度に登場する要素を象徴として考えた場合、蝶は美・軽薄さ・儚さ、矢は男性原理・外向性・攻撃性・論理性を表します。
プシュケを半ば誘拐したエロースのアトリビュートは矢、プシュケのアトリビュートは蝶です。“(ダーツのような)投げ矢で刺しぬかれた蝶”は、神エロースに射止められた人間プシュケが、試練を克服して魂を変容させた様子と解釈できるでしょう。

天秤座が獲得しようとする“美しさ”とは

天秤座サインの支配星・金星は“美”をつかさどります。牡牛座の“美”が豊かさによって実現するのに対し、天秤座の “美”は、調和によって実現します。プシュケの物語になぞらえると、外見の美しさを与えられたプシュケはそれに見合う内面の美しさを獲得することで、完璧な存在(=神)になったと言えるでしょう。
肉体と魂の調和です。
この場合の“内面の美しさ”とは、優しさや素直さといった性質ではなく、精神性の高さや霊性の高さを意味します。

自身の内面と向き合い、それを霊的に向上させることは大変難しいことです。美意識の高い天秤座サインにとって、自身の内面に潜むドロドロした醜い感情とストレートに向き合うことは苦痛であり、直視することが難しいかもしれません。そのため、天秤座サインは体系化された理論を通じて、自身の内面にアクセスすることが多いでしょう。

ただし、どんなに緻密な理論であっても、天秤座サインは宗教というジャンルに対して用心深い態度をとります。宗教の最終目的は信仰による心の解放であり、無条件に神を信じることでそこから先の思考や内省が阻まれるからです。どちらかといえば、(真偽のほどはさておき)魂の成長について考察している<神智学>・秘教学・人智学といった神秘主義、ヨガの教義などに興味をもち、実践しようとするでしょう。

image photo : by Stergo(pixabay)

サビアンシンボルの解釈について

当記事の内容は、サビアンシンボルを考案したマーク・エドモンド・ジョーンズやサビアンシンボルの解釈を著したディーン・ルディアの解釈とは異なります。サビアンシンボルに登場する要素を象徴として扱い、象徴が意味する内容に基づいた独自の解釈を行っています。

天秤座のサビアンシンボル一覧

象徴的解釈:天秤座1度のサビアンシンボル
象徴的解釈:天秤座2度のサビアンシンボル
象徴的解釈:天秤座3度のサビアンシンボル
象徴的解釈:天秤座4度のサビアンシンボル


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