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象徴的解釈:天秤座4度のサビアンシンボル

Libra 4:A group around a campfire.
《日本語訳》キャンプファイヤーを取り囲むグループ。


【天秤座4度の意味】

洗練された親密なコミュニケーション、またはそれを実現する環境

【天秤座4度の解説】

天秤座4度に示された状況

天秤座4度のキャンプファイヤーは、私の解釈ではスカウト活動(ボーイスカウトやガールスカウト)で行われるキャンプファイヤーのことです。サビアンシンボルの4度に示されているのは、サインの性質を育む環境やサインの原点となる場所です。全ての人々が調和できる世界を理想とする天秤座の原点は、(スカウト活動で実施される)キャンプファイヤーに象徴されていると考えられます。

「キャンプファイヤー」という言葉から、親しい仲間同士のコミュニケーションを想像することは容易です。しかし、スカウト活動やキャンプファイヤーについて詳しく調べてみると、天秤座4度に示されたコミュニケーションを成立させているのは、気が合う・合わない/親しい・親しくない……といった単純な関係性ではないことがわかります。

スカウト活動におけるキャンプファイヤー

スカウト活動は野外でのグループ活動を通して子どもたちの自主性、協調性、社会性、リーダーシップなどを育む教育活動のことです。明確な教育理念のもとで運営されており、キャンプファイヤーも単なるお楽しみ会として実施されるわけではありません。

キャンプファイヤーの目的は、自然との一体感を感じてもらう、仲間との協調性を高める、連帯感を強める、秩序と規律の中で楽しめるようにするなどのほか、暗闇と火がつくりだす厳粛な雰囲気を通じて宗教心(※)を醸成するという目的もあります。

子どもたちがキャンプファイヤーを取り囲んでゲーム・ダンス・歌など一連のレクリエーションを楽しんだ後、隊長は自身の経験談や歴史の逸話をもとにした「夜話」と呼ばれる話をします。夜話には子どもたちにスカウト活動の理念である「ちかいとおきて」を思い起こしてもらう役割があり、子どもたちは夜話を聞きながら誠実に生きることや奉仕活動の大切さなどを再認識するのです。

※この場合の「宗教心」とは、人知を超えたものに対する畏れと敬いの気持ちを意味します。信仰よりもっと根源的な心の働きに近いです。個人的な解釈になりますが、人間が全てではなく人間も自然(しかも自然は人間が作ったものではない)の一部だと認識することは、自分が生かされていることへの感謝の気持ち、自分以外の存在を尊重する気持ちにもつながるような気がします。

ボーイスカウトの創設

ここで、スカウト活動の成り立ちについてみてみましょう。
ボーイスカウト・ガールスカウトを創設したのは、イギリスのベーデン=パウエル卿(1857~1941年)という人物です。彼は長い軍隊生活の中でキャンプ(野営)を経験し、キャンプファイヤーがもたらす精神的効果やメリットを実感していました。

この場合のキャンプとは単なる野営でなく、斥候(スカウト)、つまり戦地の地形や敵情を視察するために本隊から派遣された、単独・少人数の部隊での野営や偵察行為を意味しています。

イギリスへ帰国後、ベーデン=パウエル卿は自身が軍隊経験で得たものを子どもたちの教育に役立てたいと考えました。1907年に自分の考えたスカウト活動の方針や実行方法を確かめる目的で実験キャンプを実施し、翌年の1908年にはボーイスカウトを創設しました。

同年、スカウト活動を通じて子どもたちの人格・市民性・肉体の発達を育む教育方法について記述した『スカウティング・フォア・ボーイズ』を出版すると、本の趣旨に賛同した少年たちがスカウト活動に参加するようになり、1909年にはガールスカウトも創設されました。その後、スカウト活動は世界中に急速に広まり、現在に至っています。

天秤座サインの話をしますと、天秤座1度から3度までのサビアンシンボルの説明で共通して書いているのは、サビアンシンボルを見る限り、天秤座サインが「霊的進化(あるいは、人間としての成長・追求」をテーマに持っているということです。天秤座4度でも、子どもたちが理想的な人間として成長するために考案された「場」が登場しています。

洗練されたコミュニケーション

キャンプファイヤーは秩序と規律のもとで運営され、参加者にも礼儀正しく節度ある行動が求められます。レクリエーションでは特定の宗教や人種を揶揄する演出を避け、全員が楽しめるように工夫し、不快な思いをする人がいないように配慮します。

この考え方は、異なるバックグラウンドを持つ人々が長い時間同じ場所で過ごす際に必要となる、高度なコミュニケーション術と言えます。相手の心に踏み込まないコミュニケーションはともすれば表面的な付き合いになりがちですが、グループをつくり、メンバー全員が心を一つにして目的を達成する経験をすれば、相手に親近感を抱き敬意を払うきっかけになります。

天秤座4度では、誇りと思いやりに満ちた人々が集まり、洗練された親密なコミュニケーションが交わされています。多種多様な外見・思想を持つ人々であっても同一理念を共有することで調和が可能になる、そのような環境が天秤座サインの原点と言えるのかもしれません。

サビアンシンボルの解釈について

当記事の内容は、サビアンシンボルを考案したマーク・エドモンド・ジョーンズやサビアンシンボルの解釈を著したディーン・ルディアの解釈とは異なります。サビアンシンボルに登場する要素を象徴として扱い、象徴が意味する内容に基づいた独自の解釈を行っています。

天秤座のサビアンシンボル一覧

象徴的解釈:天秤座1度のサビアンシンボル
象徴的解釈:天秤座2度のサビアンシンボル
象徴的解釈:天秤座3度のサビアンシンボル
象徴的解釈:天秤座4度のサビアンシンボル

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