見出し画像

社会課題を解決するために、株式会社として「インパクト投資」を受けるという選択肢


みなさん、初めまして。ADDressという月額4万円で多拠点生活ができるサービスを提供している代表の佐別当(さべっとう)と申します。この度、ご縁を頂きまして、日経COMEMOキーオピニオンリーダーの1人として毎月、投稿させて頂くことになりました。どうぞよろしくお願い致します。

1本目は活動紹介も兼ねて、「やさしい経済学」で龍谷大学の深尾昌峰教授が連載中の「社会課題解決の新手法」について。

社会貢献や社会課題解決というと、ボランティアやプロボノ、NPOや社会貢献団体のイメージが強いかもしれません。または、ビジネスで稼いで税金を納め、そういうことは自治体や政府がその役割を果たせばいいという人もいますが、その考え方は古いと言われるかもしれません

もちろんその枠組みで、最先端のテクノロジーやビジネスの手法を活用するNPOや、元Yahoo! Japan会長の宮坂さんが東京都の副知事として活躍しているようにテック企業や金融・コンサルなどビジネス最前線の人材がリーダーとなったり、積極的にビジネス領域から人材採用し、国内でも次々と社会課題解決に取り組む組織もあり、尊敬する団体・人も多数あります。

一方、NPOや公共セクターは、大きな社会課題だからと言って、大きな赤字を出して投資することが難しい。また銀行の融資や補助金を活用しても、返済目処のある利益を出せる範囲の金額か、使用用途の制限が多く、細かな報告書の作成に追われてやるべきことに時間も予算も使えないこともあります。

そこで社会課題解決をミッションとするものの、株式会社という形態で、投資家から資金調達する社会的企業が世界中で注目を集めてつつあります。


私もこのスタイルで株式会社アドレスを起業し、先日2周年を迎えたばかりですが、累計10億円近い資金調達を実施し、社会課題解決と同時に新たなライフスタイルをつくるために投資し続けています。当社の場合、株式会社では珍しいのですが、投資を頂く際に定款を変更し、以下のような「企業ミッション」を追加しました。ビジョンやミッションのある会社も、社会的なミッションを定款に入れて、追及する会社は日本でまだほとんどありません。

人口減少が進む地域の空き家を活用し、人口密集した都市部の方々を多拠点生活によって幸福度を高め、地域が活性化することを目指しています。

このようなIPOや経済的なリターンを偏重せず、社会的インパクトを重視して投資することを「インパクト投資」と呼びます。詳細は以下記事を参照いただきたいですが、世界のインパクト投資の市場規模は、19年時点で5020億ドルと推計され、国内でも14年で169億円から19年には4480億円と、市場が急速に拡大しています。

記事で紹介されている企業や団体をはじめ、エンジェル投資家も含めて日本にも素晴らしい想いをもったインパクト投資家が増えています。多くのインパクト投資家と面談をさせて頂き、当社は記事でも紹介されている一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)や学校法人立命館から大きな出資を頂いていますし、他の投資家も当社の社会性を評価して頂いています。株式会社なのに、社会性って何か違和感を覚える人もいるかもしれません。でも今、そういう時代がやってきているのです。

もちろん多数の投資家から出資を頂いている会社として、上場も目指していますし、売上・利益の予算管理や、資産管理も、経済的な成長も目指しています。その一方で、通常の会社がしないようなこと、どのような社会課題をどのように実現するのか、ロジックモデルを作成したり、指標化・可視化できるように社会的インパクト評価という調査およびレポートも作成し、発信していく予定です。

10年以上前にNPOや公共セクターを創業した方も、今もしこのようなインパクト投資家がいれば株式会社の手段を選ぶ方も多いかもしれません。また逆に言うと、これから起業しようという方や、社会課題解決を目指す方は、利益の中から少しずつ投資をしていくというスタイルだけでなく、株式会社としてインパクト投資を受けて、しっかりと最短でやるべきことに集中して投資し、増大する社会課題を解決する選択肢があることを知ってもらいたい。株式市場どころか、社会課題は待ってくれないですし、備えてなければ突然やってきた課題に対処もできません。

税金や寄付や単独事業の事業収支で、政府・自治体・NPOでは収益性が低い(または赤字)か、スピードが遅いことも、社会課題解決を目指すスタートアップなら、インパクト投資というカタチでの資金調達も活用し、解決できることも多数あります。むしろ、同じ目的であれば、公民連携することで役割分担した方が早く、できることが増えることもあります。私たちも多数の自治体や地域団体、自治会などと協業しています。

災害やコロナ、SDGsをはじめ、農業や林業、様々な分野で社会課題は目の前の生活に大きな影響を与え、さらに問題が増加しています。大きな課題から、ニッチな課題まで、社会課題解決の新手法を活用してはいかがでしょうか?インパクト投資家によっては、上場を目指さなくて良いと考えているところさえあります。ニッチな課題でも、投資後に事業収支が周り、サスティナブルに小さくても成長し続ける事業にも門戸が開かれています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?