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【3分で読める怪談】後ろの正面だあれ



🔴お盆も終わったので、怖い話でもひとつ。

先日、フジテレビで『ほんとにあった怖い話 2023』という番組を放送していました。

6本のショートホラードラマで構成されたオムニバス。

その中の一本に、とにかく明るい安村氏主演のものがありました。

TVerでまだ流しているみたいなので、ストーリーの詳細は言いません。

ざっくりいうと、話の骨格に、子供の遊び歌として有名な『かごめかごめ』が使われているホラー。

歌詞はこれ。

かごめ かごめ
かごの中の鳥は いついつ出やる
夜明けの晩に 鶴と亀がすべった
後ろの正面だあれ

この歌詞中の、「後ろの正面だあれ」というどこか不気味な部分をうまく使った、よくできた演出でした。

私もテレビを観ながら背筋がゾッとなったのですが、このシーンを見ていて思い出したことがあります。

あれは私が幼稚園の頃だったでしょうか、『かごめかごめ』を歌って遊んでいました。

遊び方を説明すると、まず目隠しをした鬼を中心にして、囲むように子供たちが輪になります。

次に、鬼の周りを子供たちが『かごめかごめ』を歌いながらゆっくり回ります。

そして「後ろの正面だあれ」という最終行を歌い終わったタイミングで、鬼の真後ろにいるのが誰か、鬼に当てさせるというもの。

いっせいに歌われた声の中から、鬼は自分の真後ろに立つ人物の声を聞き分けなければなりません。

目隠しされた状態で。

ほぼ同じ年齢の子供たちの声なんて、みんな似たようなもの。

そんな簡単に聞き分けられるはずがありません。

当たったり、外れたり、キャーキャー言いながら遊ぶわけです。

あのときも近所の友達5人で、ワイワイ遊んでいました。

場所は、子供たちの間で「タコ広場」と呼ばれていた公園。

タコの形をした、大きなすべり台があったので、そう呼ばれていました。

どういうきっかけかはわかりませんが、かごめかごめ遊びをすることに。

ジャンケンで負けた子供を鬼にして、周りで手をつなぎ、輪になります。

か〜ごめ〜か〜ごめ〜♫

楽しいですよね。

こんなに単純な遊びなのに、仲のいい友達と一緒だからでしょう、あきません。

7、8回もやった頃、私が鬼になりました。

両目を手でふさいだ私の周りを、友達4人がゆっくり回ります。

か〜ごめ〜か〜ごめ〜♫
か〜ごの中〜の鳥は いついつ出〜や〜る♫
……

正直よくわからなかったのですが、友達のケンちゃんの声だけは、妙に舌ったらずなしゃべり方のせいでなんとか聞き分けることができました。

ケンちゃんらしき歌声が真後ろのときに、歌い終わればいいな。

そんなふうに思っていたら、ビンゴ!

「ケンちゃんだろーーー?」と言いながら、私は真後ろの子供に抱きつきました。

やっぱりケンちゃんで大当たり!

しかし、鬼役の私が急に抱きついてきたものだから、ケンちゃんはびっくりして飛びのきます。

私に抱きつかれたまま、ケンちゃんは後ろへ倒れて、ベンチの上においてあったコーヒーをひっくり返してしまいました。

茶色い液体が、ベンチの板の隙間から、地面にこぼれます。

ふと見上げた私とケンちゃんの目に映ったもの。

それは無表情で私たちを見下ろしている、見知らぬおじさんの顔でした。

あのときほど怖い思いをしたことはありません。



教訓👉そうゆうことやないねん



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