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職場の『ヤバい奴』の話

 皆さんは『ヤバい奴』に遭ったことがあるだろうか。いや、あると思う。そして往々にして『ヤバい奴の話』は面白い。無条件に面白い。面白おかしく話そうと思えばいくらでも話せるし、強い。かなり強い。

 ただ、俺は自分自身がその『ヤバい奴』であるシーンも多々あると思っていて、ストレスで不安定なとき、貧乏なとき、ムラムラしているときなどの自分を『ヤバい奴』として誰かに面白おかしく話されたらとても悲しいと思う。だから俺はなるべく『ヤバい奴』の話はしない。

 『ヤバい奴』の話をする奴は大抵『ヤバい奴』の話ではなく、普通の人間の『ヤバいとき』の話をしていることが多い。そしてそれをすることでその人間を貶めているという事実をガン無視している。面白さだけではなく、タフさにおいても強い。かなり強いし、怖い。

 しかしながら、俺はある特定のシーンおよびケースに登場する『ヤバい奴』の話はとことんしてもいいと思っている。それが『職場に現れるヤバい奴』だ。何故ならば『職場』というものはパブリックだからだ。そこに現れる『ヤバい奴』というのは『元々普通なのに今だけヤバい』というわけではなく、完全に『元々ヤバい奴』であることのほうが圧倒的に多い。俺はそう思っているので、今回はそんな話をする。

パワハラのヤバい奴


 俺は生来、組織系統に身を投じてそこに馴染みながら働いていくことが難しいタイプの人間で、ある程度の権力(権限)を持ったうえでないとそういった場所で上手く機能することができない、非常に面倒くさい人材である。

 面倒くさいが、面倒見はかなりいいと思う。要は上の人間とは比較的バチバチしてしまって、下からは慕われがちな性格なのだ。それは結局、自分のやり方を通せるか通せないかの違いであり、自分のやり方に自信があるということの表れでもある。

 もちろん、気の合う上の人間とはかなり仲良くやれる。話し合ってこちらが折れることも当然あるし、何もかもにバチバチしているわけではないのだ。

 ただ、組織には『上の人間には媚びへつらい、下の人間にはバチバチしている』という、俺と完全に真逆のタイプの人間が存在することがあり、それは組織が大きくなればなるほど存在の可能性は高くなり、存在する人数も多くなる。俺はコイツらとは確定でバチバチしてしまう困った人間なのだ。
  そしてこいつらの行うパワハラはマジでえげつない。

 パワハラをするヤバい奴は2通りいる。

 1つは『面倒を見てやってる』という『自称親分』のタイプだ。こいつらは冗談交じりの発言がラインを越えていたり、厳しく叱責することが部下や後輩の為になると思い込んでいたり、そもそものモラルが低年齢であったりするような『無自覚系』である。世の中に存在するパワハラ野郎は多くがこちらに該当すると思う。

 そしてもう一方が先ほどの『下の人間にバチバチしている』という、明確な悪意のもとにパワハラをしているゴリゴリのヤバい奴だ。俺がぶちあたりやすいのはコイツらであり、コイツらのエピソードを俺は山ほど持っている。

 コイツらはもう初めから『傷付けよう』だとか『追い込もう』だとかそういう意図のもとにヤバい発言や行動をするので、擁護できる箇所が何もない。される側としても『完全に攻撃されている』という印象を受ける。これは先ほど述べたもう一方の『無自覚系』よりも人を追い詰めるスピードが速く、追い詰め方がとても鋭利である。

 今、リアルタイムで俺はその『ゴリゴリのヤバい奴』と戦っている。敵は1人なのだが、いわゆる上司にあたる人間だ。まともに向き合えば必ず精神を摩耗し、いつか業務時間中にちいかわのようにエンエンと泣き出してしまうことだろう。

 病み上がりでまだまだ本調子じゃないときに大量の仕事を押し付けてきたり、それをしたうえで病気のことをイジってきたり、学歴や体型についてイジってきたりなど、あらゆるパワハラにおいて枚挙に暇がない。『枚挙に暇がない』なんて表現をパワハラ行為に対して使ったのは生まれて初めてだ。

 そしてそれらの行為には、俺を辞めさせたいという明確な意図がある。その意図がある理由も俺はわかっているのだが、とにかくあちらは『2人のうちどちらか1人がここに残る』という未来を描いているに違いないと思う。それほどまでに、俺以外の周囲の人間からも明らかにわかるレベルで攻撃を仕掛けてきている。

 奴を含む奴らの最もヤバいところは、目標のために計画的にパワハラをしているということだ。夢を叶えるためのパワハラなので、奴らの目はとても輝いている。とても前向きなパワハラなのだ。純粋なパワハラ。

 奴は目を輝かせながら言っていた。

「昔な、無能だった奴をいじめて退職させたことがあるんだ」

 これが正気なのだから救いようがない。生まれながらのパワハラ野郎、極悪人、殺人鬼である。こういう奴に目を付けられるのは実際には無能な人間などではない。自分の仕事のやり方を通すにあたって邪魔になる人間だ。今はそれが俺にあたる。あたってしまっている。

 書き始めたはいいものの、俺はこれについてまだ明確な対策を立て切れていない。異動の多い業界なのでしばし耐えてさえいればなんとかなりそうでもあるが、俺個人としてはしっかりと対策を立てて戦っていきたいと思っている。これを何かしらのやり方をもって解決できるならば、そのノウハウは部署ないし会社に残ることになるからだ。今の部下たちや、まだ見ぬ後進のためになることは間違いないはず。そして何より俺は『時間に解決させる』ということをとても嫌う。

 幸いなことに部下や同僚に恵まれている俺は、ちいかわのようにエンエンと泣き出してしまうのはまだまだ先になることだろうと思う。時間は十分にあるので、コイツを『ヤバい奴』として面白おかしく消化できるメンタルを手に入れるために、根詰めない程度に考えていこうと思っている。

 歯切れの悪い終わり方になるが、皆さんもヤバい奴、特に職場のヤバい奴に関する話題は是非SNSに吐き出してほしい。身元を特定されない程度に。

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