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懺悔という名の思い出話(自分語りともいう)

小・中の6年間と高1夏まで吹奏楽部だった。

どこも大体そうだと思うけど、うちの学校は小4からクラブ活動をすることになっていて、当時の私は「なんかかっこいい」という理由で吹奏楽クラブに入った。

当時の顧問がやや力の入った人で、夏はコンクールに秋は市が開催する音楽会に、そうじゃなくても学校行事や地域のちょっとしたイベントによく出ていた。
もちろん練習は毎日あって、休みはほとんど無いようなものだった。だけど私はアホだったから「生きがい」を見つけたような気がして楽しくやってた。

中学に上がると部活に入ることが当然のことで、私はなんの迷いもなく吹奏楽部に入った。
今の私が過去に戻れるなら刺し違えても止めると思う。いや、止める。間違いなく止める。息の根と共に。

「大人」と「子供」の境目が少しずつ曖昧になっていく中学校時代。
年功序列、縦社会、先輩後輩、厳しいルールとモラルとマナー、だんだんと「大人」を押し付けられながら小学校時代とは比べ物にならない忙しさに自我をほぼ失っていた。

1年の時は酷くて、まだ右も左もわからない、教室の場所さえ曖昧な時期に「誰より(特に先輩より)も積極的に動くこと」を強いられ、とにかく自分を殺さなくてはならないことを知った。
当時中学1年生というよりは小学7年生のような気分だった私はこれをするのがとても苦痛だった。

例えば夏のコンクールに出る時、学校外の会場で練習するときは重たい打楽器を運ばなければならない。
「もっと早く運べないの?」と言われたときは「はい」としか言えず、先輩を呆れさせてしまった。
コンクール本番も、自分たちの楽器を使うのでもちろん外へ運びに出ることになるのだが、自分だって演奏するのに1番最初に心身共に疲れなければならない理由がわからなかった。

という言い方をすると私が社会を甘く見ている、部活を舐めていると叩かれそうなんだけど人間1人にできることってめちゃめちゃ限られているということを理解しないと、そのくらい自他に寛容でないと生きていけないと思う。

吹奏楽部という会社でコンクールに出る仕事をしていると思えば下っ端を働かせて勉強させるのは確かに必要なことなので100、いや1万は譲ろう。しかし「ヒト」であることを忘れ、全てを仕事最優先に書き換えて、謎ルールも「先輩命令」で押さえつけ逆らおうものならお得意の同調圧力で黙らせて、仕事を崇拝させて、

それはもうほとんどブラック企業じゃないか。

私が社会を見くびってるのはやや肯定するとして、だからと言って最低限宿題をする体力も削られて子供の体で生活のほとんどを部活という仕事で生きなきゃいけないのは今思えばかなりしんどいことだった。

ルールや立場の圧に抑えられた1年を過ごせば2年生の頃にはあっという間に部活最優先の人間になっていた。
1年生の時には禁止されていた体操服の着崩しが少しだけ緩和され、今度は自分達がルールや圧で黙らせるようになった。
なんでも「わかる」「できる」「やって当たり前」の思考で見て、先輩だからと声を荒らげ、自分がされて嫌だったことを他人に押し付ける「大人」に近づいてしまっていた。

3年生にもなればもう酷くって酷くって、当時の後輩達に土下座して回りたい位だ。
自分達がトップだからなんでもできるし、「できている」と勘違いすることもできた。
それをおかしいと指摘してくれた後輩を「私の方が先輩だから」「あなたもすぐにわかるから」と黙らせてしまった。
自分達がされて嫌だったことを平気で他人に押し付けて、卒業した後も他人に押し付ける人にさせてしまった。
先輩後輩じゃなく「1人の人間」として見ることを忘れていた。自分達がルールだった。部活を崇拝していて部活も私を裏切らないと信じて疑わなかった。

私たちは人間であるし、人間には限界がある。
根性論や精神論だけではどうにもならない、できないことだってある。
過呼吸になれば苦しく、重たいものを持てば手が痛い、走ればしんどいし怒られれば辛いし笑われたら悲しい。

本当はもっともっと思う所があるけれど、今も書きながら「いや結局はお前が弱いだけ」とかき消されるので書き出せない。
どうして他人に優しくできなくて自分の首を絞めていたんだろう、どうして気付かなかったんだろう、どうして知らないフリができたんだろう。

これも部活のせいなのか?いや、本当に私だけが弱くて部活のせいにしたいだけかもしれない。

大人と子供の境界が曖昧になり始めると、人格形成が始まる。
そんな多感な時期に自我を殺すようになってしまったので私は未だに小学生の延長で20代をしている。

今もあの音楽室ではヒステリックな抑圧が続いているのだろうか、心配でしょうがない。
あの頃のみんなに謝りたいけど実行する度胸もない。

この文がいつかあの頃の私だけにでも届いて、今の私を人間に戻してくれることを願うしかない。

#部活の思い出

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