ころなか生活・夏

「こんなはずじゃなかった」ばかりが連なる2020年の夏を生きている。

本当だったら、2020年の夏はわたしにとって、何より特別な季節になるはずだった。

子供のころからの夢だった、東京オリンピック・パラリンピックのボランティア。選考通過の連絡を受けた昨年秋以降、オンラインで英会話のレッスンを受けたり、ビデオレッスンで障がい者対応のイメージトレーニングをしたりと、万全の準備で臨むつもりだった。本当だったら、今ごろはちょうどパラリンピックの最中だったはずだ。

熱中症対策をはじめ、いろんな課題が生じていることは百も承知だった。あと1年、と目前に迫った昨夏時点でさえ”反対派”がいたこともよく知っていたつもり。それでも、まさか「本当に開催されない」なんて未来が待ち受けているなんて、1ミリも想像していなかった。1年後に本当に開催できるのかどうかも分からない状況で、オンライン英会話へログインする気力も失せてしまい、英語の勉強は宙ぶらりんになってしまっている。「目標が見えない」って、結構しんどい。

特別な行事がなくなったばかりか、家族旅行や夏フェスといった「毎年恒例」の行事もことごとく中止。しんどいこと、やるせないことばかりの夏だった。けれどこれだけ「おうち時間」が続くとさすがに、家で過ごすなりの楽しみ方だとかそういうものを覚えてくる。

その筆頭が、オンラインライヴだ。「ライヴは生が一番」と思っているから、これまでライヴDVDもあまり観たことがなかった。けど、UNISON SQUARE GARDENの配信ライヴがものすごく良くて。生か否かって実はあんまり大きな問題じゃなかったのかも、と思った。画面を介していたって、ちゃんと”楽しい”は伝染する。特製のフードが美味しかったのも嬉しかったな。かっこいい音楽を聴いて、美味しいものを食べて、それだけでちゃんと生きた心地がする。田淵さんの言葉を借りるなら、「物好き」でほんとうに良かったなぁ、なんて思う。

それから、家にいるとどうしてもスマホやゲームばかりを触りがちだから、少しでも画面から離れる時間を作ろうと思って漢検の勉強を再開してみた。準一級に去年合格しているから、今度は一級。これがまた、全然知らない漢字や言葉ばかりで、いちいち辞書を開きながらの勉強なので時間がかかる。わたしが一級に合格するより先に、日常が戻ってくるんじゃないかしら。楽しく勉強してはいるけど、怠け癖が出るといけないので、これについてはまた経過報告を書こうかと思っている。

繰り返しになるけど、2020年の夏は決してこんなことになるはずじゃなかった。オリンピックのボランティアでたくさんの汗を流すはずだったし、ライヴハウスに行って観たいライヴがたくさんあったし、漢検の勉強なんかしてる余裕はないくらい忙しく過ごしているはずだった。それでも、「こんなはずじゃなかった」の繰り返しの中で、なんとか楽しいことの片鱗を掴みながら生きている。

こんなことを書いているうちに、8月が終わる。もう良い大人だから、8月31日も9月1日もかわらず会社に行かなければならない。終わっていない宿題もない(終わっていない仕事はあるけど、それは別に夏だからってわけじゃない)。それでもやっぱり、8月31日はなんだか特別だ。「若者のすべて」なんて聴いちゃったりしてね。今日は少し涼しかったけど、このまま涼しくなるんだろうか。過ごしやすくなるのは嬉しいけど、このまま夏が終わっていくのはちょっとだけ寂しい。

来年は、どんな夏になるんだろう。
願わくは、このnoteを見返して「あー去年は大変だったな、よく頑張ったな」って笑えるような、そんな夏になっていますように。

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