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SaaSマルチプロダクト戦略の要諦を掴む厳選5記事

SaaS業界が成長していくにつれて、SaaS企業にとって、マルチプロダクト戦略は事業成長の強力なエンジンとなり得ます。
しかし、マルチプロダクト戦略を成功させることは容易ではなく、綿密な計画と実行が必要です。

このnoteでは、SaaSのマルチプロダクト戦略を検討する時に役立つ記事を厳選してご紹介します。


1. SaaSにおけるマルチプロダクト戦略(宮田善孝)

プロダクトがターゲットとする業界、業種、ペルソナによって、どのようなマルチプロダクト戦略を取るべきなのかを整理した記事です。
対象とする企業規模と対象SaaS(ホリゾンタル or バーティカル)で整理されています。

  • ①アドオン型マルチプロダクト

    • カスタマイズ性の高いエンタープライズSaaSに適している。

  • ②スイート型マルチプロダクト

    • 機能要件が低いSMB向けに早期展開しやすい。

  • ③ターゲット型マルチプロダクト

    • ユーザーセグメントごとにきめ細かな機能を提供できるが、開発リソースと意思決定の難易度が高い。

  • ④カテゴリー型マルチプロダクト

    • M&Aや新規事業立ち上げで実現。技術力やベンチャースピリットが豊富な企業に向いている。

2. SaaS新世代の野望〜コンパウンドスタートアップと戦略的ポジショニング〜(神前達哉)

戦略的ポジショニングの観点からコンパウンド戦略(単一の製品ではなく、複数の製品を組み合わせることで、顧客に提供する価値を高め、収益を拡大していく戦略)について、まとめられているnoteです。

  • コンパウンド戦略の3つのメリット

    • 規模の不経済の打開:営業や開発の効率化を図ることができる

    • 顧客エンゲージメントの向上:顧客のニーズに合わせたソリューションを提供できる

    • クロスセル・アップセルの促進:顧客単価を向上させることができる

  • 日本のSaaSスタートアップへの示唆と注意点

    • 資本コストの上昇:調達環境の変化を踏まえ、効率的な事業運営を心掛ける

    • 社内エンジニア不足:外部パートナーとの連携を積極的に検討する

    • ユニークな日本市場:日本企業のニーズに合わせたソリューションを開発する

  • 競合との差別化とコンパウンド戦略の成功事例

    • Ripplingは、従業員管理システムをプラットフォーム化することで、HR領域における幅広い課題を解決しています。

    • Freshworksは、SMB向けに使いやすいSaaS製品を提供することで、顧客基盤を拡大しています。

3. コンパウンドスタートアップというLayerXの挑戦(福島良典)

コンパウンドスタートアップは、従来の「単一プロダクトで突き抜ける」という神話とは異なり、複数プロダクトを連携させることで、顧客に提供する価値を高め、収益を拡大していくことができることを示唆してくれるnoteです。

  • コンパウンドスタートアップの特徴

    • 複数プロダクトを意図的に運営

    • データを中心にサービスを統合

    • プロダクト間の連携そのものがプロダクト

    • 複数プロダクトを管理、ローンチするケイパビリティ

  • コンパウンドスタートアップとしてのLayerXの挑戦

    • 法人支出データを中心に、複数プロダクトを連携させることで、法人支出管理の課題を解決していくことを目指している。

  • コンパウンドスタートアップの課題

    • 開発生産性の問題

    • 営業・マーケ生産性の問題

    • 採用・育成の課題。

4. データ活用でマルチプロダクト戦略を推進するエクスパンションモデル(okada)

SmartHRのマルチプロダクト戦略を推進するためのデータ分析・活用について、具体例な取り組み事例もまとめられたnoteです。

  • エクスパンション機会創出の2つの因子

    • プロダクト・ブランドに対するロイヤルティ

      • ①アウトカム(顧客がプロダクトで目的を達成できたか)、②体験の満足度(プロダクト利用の満足度)

    • プロダクト追加ニーズ

      • ①追加プロダクトの認知度(顧客が追加プロダクトの存在を認知しているか)、②顧客の事業環境(顧客の課題やニーズ)

  • SmartHRの取り組み

    • エクスパンションKPIのアップデートと定量的な仮説検証:「プロダクト活用」と「追加プロダクトの認知度」が高い顧客ほどエクスパンション商談の機会が高いことを検証

    • 顧客とのタッチポイント体験向上:顧客の状態に合わせたコンテンツ配信により、クリック率を大幅に向上

    • ユーザーコミュニティのグロースとエクスパンション促進:ユーザーの状態を可視化し、最適なコンテンツを配信

    • 顧客のプロダクト活用度を使ったカスタマーセールスの提案:顧客の状況に合わせた提案で、成約率を向上

    • マーケティングとCSMの活動をデータで繋げる:顧客の状況を共有し、シームレスな顧客体験を提供

5. カスタマーサクセスで事業トップラインを上げる〜CSにおける“Expansion戦略“(山田ひさのり)

本記事では、カスタマーサクセス部門がエクスパンションに貢献するための「CSQL戦略」と「エクスパンションモデル」について解説されています。

  • CSQL戦略

    • CSQL戦略とは、カスタマーサクセス担当者が既存顧客とのコミュニケーションを通じて、追加受注の機会を創出していく手法です。具体的には、以下のステップで実行します。

      • ①顧客の課題を把握する

      • ②課題解決に貢献できる追加プロダクトを提案する

      • ③商談につなげる

  • エクスパンションモデル

    • Expansionモデルとは、新規顧客獲得とExpansionを効率的に進めるためのフレームワークです。具体的には、以下の要素を定義します。

      • パイプラインの発生源:新規顧客獲得とExpansionそれぞれにおけるパイプラインの発生源を明確にする

      • 各フェーズの担当組織:パイプラインの各フェーズ(リードの創出、リードの有効化、商談化)を担当する組織を明確にする

      • 各フェーズのKPI:各フェーズにおけるKPIを設定する

  • エクスパンション戦略の実行前に持つべき視点

    • チャーンレートを低減する:顧客満足度を高め、解約率を低減することで、Expansionの基盤を作る

    • マルチプロダクトかどうかを意識する:マルチプロダクトであれば、クロスセルによるExpansionが可能になる

    • 事業フェーズに合った戦略を立てる:事業フェーズに合わせて、カスタマーサクセス部門の役割を明確にする

マルチプロダクト戦略のポイントまとめ

1. 自社の強みと顧客ニーズを明確にする

マルチプロダクト戦略を成功させるためには、まず自社の強みと顧客ニーズを明確にすることが重要です。

  • 自社の強み: どのような技術やノウハウを持っているのか、競合他社と比べてどのような差別化ポイントがあるのかを分析しましょう。

  • 顧客ニーズ: 顧客はどのような課題を抱えているのか、どのようなソリューションを求めているのかを調査しましょう。

自社の強みと顧客ニーズを理解することで、どのような製品を開発すれば良いのかが見えてきます。

2. 製品間のシナジーを生み出す

複数の製品を単にバラバラに提供するのではなく、製品間のシナジーを生み出すことが重要です。

  • データ連携: 異なる製品間でデータを連携することで、顧客にシームレスな体験を提供することができます。

  • 機能連携: 異なる製品の機能を連携することで、顧客の業務効率を向上させることができます。

製品間のシナジーを生み出すことで、顧客にとっての価値を高めることができます。

3. マーケティングと営業体制を整備する

マルチプロダクト戦略を成功させるためには、効果的なマーケティングと営業体制を整備する必要があります。

  • マーケティング: それぞれの製品に合わせたマーケティング戦略を策定し、ターゲット顧客にリーチする必要があります。

  • 営業: 複数の製品を効果的に販売するために、営業体制を整備する必要があります。

マーケティングと営業体制を整備することで、製品を顧客に効果的に届けることができます。

4. データ分析を駆使して改善を続ける

マルチプロダクト戦略は、常にデータ分析に基づいて改善していく必要があります。

  • 顧客データ: 顧客の利用状況を分析することで、製品の改善点や新たなニーズを発見することができます。

  • 市場データ: 市場動向を分析することで、競合製品や顧客ニーズの変化を把握することができます。

データ分析を駆使することで、常に顧客にとって最適な製品を提供することができます。

5. 長期的な視点を持つ

マルチプロダクト戦略は、短期的な利益ではなく、長期的な視点を持って取り組むことが重要です。

  • 製品ロードマップ: 長期的な視点に立った製品ロードマップを策定し、計画的に製品を開発していく必要があります。

  • 顧客との関係構築: 顧客との長期的な関係を構築していくことで、顧客生涯価値を高めることができます。

長期的な視点を持つことで、持続的な成長を実現することができます。

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