BizDevのスペシャリストになるためのマインドセット

BizDevの主な役割の一つに「0→1」があります。0→1といっても種類は様々で、全く新しい新規事業を立ち上げたり、パートナーと新しいソリューションを共創したり、新しいオプション機能を開発したりと様々です。その理由は、以前の記事でもお伝えしたとおり、BizDevの仕事が「何でも屋」だからですね。

もしその企業が新規事業の立ち上げが会社として重要なミッションを背負っているならば「新規事業部」が立ち上がります。ソリューション開発が重要であれば「ソリューション開発部」が立ち上がります。しかし、そこまで定常的に組織化が必要がない課題、あるいは突発的に発生する課題については「BizDev」に集約され、その時の課題のケースに合わせて補完する役割を持ちます。

分かりやすく例えると、BizDevは「夜間休日診療所」と同じような役割を持っていると言えるでしょう。

・急な悪寒・発熱時(突発的に湧いた課題)
・街中のクリニックが空いてない(解決できる適切な部署がない)
・夜間休日診療所に行く(とりあえずアテにできる人に相談(BizDev))
・診察して一時的な薬をもらう(解決策を示して課題の補完をする)

専門的な治療が必要な場合に消化器科や整形外科に行くように、ビジネスにおいては営業や開発のような専門部署が存在します。生死をさまよう、あるいは明らかに症状が悪化している場合に救急医療に頼むように、ビジネスにおいては外部の顧問や経営コンサルなどの専門家が活躍します。ことBizDevにおいては、「重症ではないけど応急措置が必要な場合」と同じように、突発的な事業課題に対して適切な答えを導き、現状の売上や成長速度を高めることにコミットします。

BizDevの根底には「何か課題が起きれば、あらゆる角度からその原因を見極め、最適な薬(アウトプット)を処方する」という考え方があります。この考え方は、実はどの分野にも当てはまります。営業でも、開発でも、人事でも。どの分野にもこのメソドロジーは必須ですし、誰でも持ち合わせている能力です。ただし、BizDevのスペシャリストとして活躍するためには、その「あらゆる角度から原因を見極める」能力が人より優れてなければなりません。

それこそが、BizDevとして活躍するためのポイントです。その能力は、残念ながら訓練しないと向上しません。あらゆる知識とノウハウ、経験、右脳によるアイデアと左脳によるロジックを使ってアウトプットを出し続け、現実的な課題解決の道しるべとして具現化することが重要です。

よく、そのスキルを磨くためにはどうすればいいか、という質問を頂きます。一つだけアドバイスをさせて頂くと(おこがましい!)、

「常識を疑え」

です。「当たり前」とされていること、「常識とされているルール」を一度ぶっ壊し、物の見方を変えて、こうしたらどうなるかという様々な角度から考察を重ね続けることです。こういうことは、普段のルーティーンワークのなかではなかなか出来ないことですよね。だからこそ、訓練が必要になります(どう訓練するかはまた別途お話したいと思います)。馬鹿げたアイデアでもいいので、とにかくいろんな角度から物を考えること。それから、いろんな人にヒアリングして意見を聞くこと。聞いた意見をまたそのアイデアに落とし込むこと。この繰り返しです。

実際に僕が考えた、Reproにおけるパートナーアラアイアンス戦略の一例をちょこっとだけ紹介します。

BizDevの役割の一つに「パートナーアライアンス」というものがあります。自社とパートナー企業のサービスを組み合わせてソリューション化し、クライアントに新たなベネフィットを提供する、といったことを推進する役割ですが、通常、このアライアンスがうまく成功するケースというのはほとんどありません。なぜなら、そのアライアンスは「形だけ」で終わってしまうケースがほとんどだからです。

スケールするには「熱量」が必要です。お互いの想いがマッチして、広げよう!発展させよう!認知を広めよう!という熱量が一緒じゃないと、いくら良いソリューションだったとしても、スケールすることはありません。

BizDevとして、この課題をどう解決していくか。例えばこんな方策を考えるのではないでしょうか

「勉強会を実施して啓蒙し、少しずつ熱量をあげていく」
「共同セミナーを実施して興味をもつクライアントを掘り当てる」

上記のケースはよくあるケースですよね。もちろん大切なことですし、否定はしません。しかし、これで果たして「熱量」がスケールできる状態まであがるでしょうか。解決に導くには、以下のようなポイントを抑える必要があります。

・熱量をレベル化し、「スケール化する熱量」のレベルを定義・可視化する

・自分ごと化してもらうため、パートナーの一番のベネフィットに寄り添う

・回り道はしない。一直線で、シンプルな方法を模索する

こうしたポイントを踏まえたうえで、僕の場合は以下のように解決パターンを提示します。

「熱量を先に上げてから、自ら学びにくる場をつくる」
「特定のクライアントを指名して、指名したクライアントが確実に興味を持ってくれる場をつくる」

このように発想を転換し、当たり前から脱却することで、新しいアイデアのアウトプットが生まれてきます。さらに知恵を絞って、常識を疑いながらアイデアを創出していくことで、独自の方策を発見し、それが企業ブランディングに大いに役立っていくことになるわけです。

とにかく常識を疑い、あらゆる角度から、物事について考察してみると、新しいアウトプットが生まれていくはずです。






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