常に先を読む能力を身につけよう

将棋の世界でも野球の世界でも、勝ち負けの世界では駆け引きというものがある。

駆け引きを優位に持っていくためには、相手の状況をよく観測して、次の一手を考える必要がある。

この駆け引きにおいて、将棋の世界では、羽生善治さんは1000手先まで読んでいるらしいです。常に相手の出方を予測しながら、投じた一手に対して次々に予測を立てていきながら戦略を立てる。とてもすごいことです。

つまり、勝敗を分ける大きな要因が戦略を立てることになります。

この戦略というのは、ビジネスの世界でも同じです。しかし、一歩間違えるとそれは戦略とは呼べず、ただ「対抗」しているだけにも見えてしまうので注意が必要です。

例えば競合企業との比較において、優位に立てるように色々営業トークを作ったり、プロダクトを強化したりするケースがありますが、これは単なる「対抗」です。

「戦略」というのは、羽生さんのように、先の先まで読むことです。相手の今の状況だけ考慮してはいけません。相手の先の戦略を予測し、数年後競合企業がどのようなビジネス領域に進むのかを予測します。これを「大局観」と呼びます。よく言う「木を見て森を見ず」というのもこれと同じ意味です。

競合比較以外にも、「自社とマーケット」の関係性においてもこうした大局観による戦略が必要です。マーケットが今後どのような方向に進むのか。当然今の時代、未来を予測するのは困難ですが、ある程度粒度が粗くても、最悪のケースなどを常に意識しながら、柔軟に戦略を変えられるようにしておかないと、凝り固まったまま、戦略をなかなか変えられずにいることになります。そうなると、あとで大きなダメージとなってかえってきます。

例えばコロナ禍によって店舗が閉鎖されている最中、Eコマースが劇的に需要が増えました。以前からデジタル投資を進めていた企業とそうでない企業で、大きくその結果は異なっています。店舗の売り上げに頼っていた企業のなかで、倒産を余儀なくされるケースもありました。一方でデジタル投資をちゃんとした形で進めていた企業は、ECで売上をある程度カバーし、耐え凌ぐことができました。

未来を予測することは困難です。しかし、粒度を粗くすれば選択肢は見えてきます。

景気がよくなるのか停滞するのか
ウイルスが再び蔓延するのかしないのか
他の災害が起きるのか起きないのか
マーケットは拡大するのか縮小するのか
競合はより多く参入するのかしないのか

色々な要素を掛け算し、パターンを導き出し、あらゆる選択肢をもちながら次の一手を考えていきます。

理論武装しておくに越したことはありません。しかし、戦略ばかりに囚われていてもいけません。柔軟性と実行力を駆使して、戦略を「練る」だけでなく、戦略を「活用する」のが秘訣です

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