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Elias 歌劇団 第二回公演 ~星と夢のうた~

登場人物

 まどか 作詞家 
 あやか 女優
 さあら 脚本家
 まき  シンガーソングライター

あやかが入ってくるのに合わせて、ティンシャを鳴らす

【ほしめぐりの歌】IN

 あかいめだまの さそり 
 ひろげた鷲の  つばさ。
 あをいめだまの 小いぬ、
 ひかりのへびの とぐろ。
 オリオンは高く うたひ
 つゆとしもとを おとす。

 アンドロメダの くもは
 さかなのくちの かたち。
 大ぐまのあしを きたに
 五つのばした  ところ。
 小熊のひたいの うへは
 そらのめぐりの めあて。

     ※※※
あやか、歌いながら七夕の笹に短冊を結ぶ

彩香 「星空をめぐるように、光と影を旅してきた。これまで出会った出来事も、沢山の人々もすべてがこの星空のように輝いていた。出会っては別れ、手をつなぎ、そして解き、時にぶつかった閃光が火を放つこともあった。でも今となればそれもまた美しい景色のひとつ。すべては夜汽車の窓に映る景色のように流れていくだけ。旅は続いていく、このかなたの先にどこまでも どこまでも」

あやか入り口付近の席に座す
ティンシャの音

まどさんと娘さん奥から登場

あやか・まどか 「私はただ、ながれていく」
まどか 「星たちの間を」

  【キラキラ星】ミュージック IN

    ※※※

歌いながら娘さんと二人で短冊を結ぶ

まどか 「いつも、星達の歌を聞いていた。あのころは、たくさんの物語の中で遊んでいた。夢とうつつとがとが交差する優しく深淵な時間。でも、いつからだろう。仮面舞踏会の為につけたはずのマスクが外せなくなった。いつからだろう。妻の仮面、母の仮面、外し方はどうするんだっけ。本当の姿は、どこどこどこ。どの星の姿も自分だったはずなのに。こんなに星がまたたいていても、目印の青白い月が、みつからない。あの炎は、どこへ。

【燃えるキリンの夜】ミュージックIN

   ティンシャ

   さあら階段の上から降りてくる
   片手にワインの空き瓶
   中段に座る

まどか 「わたしは」
まどか・さあら 「どこにいるの」

さあら 「こんなはずだったのかな、って時々思うあれ、ここだっけなぁ?私がいたかったの、って。好きな事はやってるの。好きな人たちにも囲まれてるの。幸せだよ?そう、幸せ。そう思えば、幸せ。でも、時々私の中の獣がうぉー!って叫ぶのよ。私が私にかけた期待。それって、呪いなんだろうか、希望なんだろうか。この獣に身を委ねたら、目の前の小さくて確かな幸せが幻になってしまうんじゃないだろうか。心の隙間に不穏な風が忍び込む。そういう時って星が慰めてくれるような気がするの。でも、その星の声さえも、信じていいんだろうかって、つい、迷う。怖いんだ、夢に飛び込むのが」

    ※※※


【見上げてごらん夜の星を】 ミュージックイン

※※※

さあら 「もう一度届けてもいいのかな」
さあら・まき 「星に願いを」

【星に願いを】IN(ジャジーver)

  ※※※

   ピアノの歌が残る中
   まどかがまきに声をかける

まどか 「まきさん~おめでとう~!」

まき  「お~!まどか来てくれてありがとう~!」

まどか 「ソロliveにCDデビューなんて凄いねぇ!」

あやか 「まきさんおめでとう~!」

まき  「おぉ~!あやかさんもお久しぶり~!」       

あやか 「あ!まどかさんも!」

まどか 「おぉ~久しぶりぃ~!元気だったぁ~?」

あやか 「ん~、元気っていうのかなぁ?(笑) 強いて言えばとっても普通」

まどか 「え?普通?」

あやか 「テンションが上がるわけでも下がるわけでもなくシーンとしてる」
 
まどか 「ほほぅ~??」

あやか 「まどかさんは?最近はどうしてたの?」

まどか 「娘も随分落ち着いてきたけど今度は幼稚園のイベントで盛りだくさんでさぁ」

あやか 「え?」

まどか 「ん?」

あやか 「いやいや、私はまどかさんの話を聞いたんだよ?娘ちゃんの話は今は聞いてないよ?」

まどか 「あれ?」

あやか 「うん」

まどか 「あ、そっか」

あやか 「最近歌詞は書いてるの?」
まどか 「え!いやぁ~?そっか、詩ね!そうね、詩。なるほど詩。なんかそんな事を思い浮かべる暇も無かったなぁ。なんだろう、そう考えたら私、近ごろ何して暮らしてたんだろう、あれ?」

さあら 「まぁきぃさぁ~ん!!おめでとう~!」

あやか 「あ、来た来た賑やかなのが!」

まき  「さあらっさあん!」

さあら 「やぁ~、良いよねぇ、夢が叶うって、凄い事だよ、凄い~!」

まどか 「あれ、さあらさん、もう先に飲んでる?」

さあら 「めでたいもの!もう~、あれだよね、飲むのがマナーくらいの事だよね」 

まどか 「違うと思うけどね、さあらさんだからしょうがないか」

さあら 「あれ?気が付けばみなさんお揃いだねぇ!いつぶりだっけ? みんなで最後に歌ったのが~」 

まどか 「五年、、、前?」 

あやか 「もうそんなになるのかぁ」

さあら 「あれ?そう言えばあやかさん最近舞台のお誘いないじゃん」

あやか 「うん、今はやってないの」

さあら 「え?そうなの?女優やってないの?」

あやか 「お仕事もしてません」
さあら 「諸々お休み中って感じ?」

あやか 「お休みって感じでもなくて、ただ、何も無い感じ」
 
さあら 「この子は難しい事をお言いだよ。酔っ払いには一向にわかりませんよ。」

あやか 「なんかね、何も無くても平気だなって、そんな感じ。何かがやってくればその時なんだろうし、無理してこじ開けるの辞めてみようと思って」
 
まどか 「そうだったんだ」

あやか 「さあらさんは?脚本書いてるの?」
さあら 「えぇ?なにぃ?」

あやか 「脚本」

さあら 「はぁ?なぁんですかぁ?」
 
まどか 「あれ、絶対聞こえてるやつだな」

さあら 「書いてます、書いてる、はずですよ、えぇ。なんか紙の上に文字は乗ってますよ、えぇ。あれっきりコンペには通らないし、なんなんだかさっぱりわからないけど。何がやりたいんだか、どこへ行きたいんだか。どこに…いるんだか」
 
まどか 「どこにいるんだか…」
 
さあら 「物語を書き続けているとね、体感まで変わる事がある。とっぷリ浸かって、今が夏なのか冬なのか忘れるくらい。そうまでしたい理由ってなんなんだっけなって…。時々そんな事をさぁ、思うわけ!」

あやか 「そうなんだね」

さあら 「まぁ、私の事は良いとして。まどさんはどうよ、書いてるの?」

まどか 「え?あ、うん。え、いや、書いてない。」 

さあら 「どっちよ」

まどか 「書いてるとか、書いてないとか、そんな事の前に自分の家を忘れてしまったみたいな感じ。私も今どこにいるのかなんて関係ないようなそんな世界を旅していたはずなのに。私の青い鳥はどこに行ってしまったんだろう」

さあら 「私はまどろみの中で、まどさんはうつつの中で、足の置き場を探してる感じなのか」 

あやか 「二人とも、大丈夫だよ、大丈夫それは大きな流れの中の一つの小島だもの」

まどか 「う~ん、まぁ~」

さあら 「だろうけれども~、そう言われましてもねぇ」

あやか 「あはは、だめか」

さあら 「ここはひとつ、今まさに夢を叶えている人に聞いてみるってのはどう?」

まき、それに応えずピアノを鳴らしてハミング

あやか 「答えは」

まどか 「歌の中に」

さあら 「ありますかねぇ」

 それぞれ、まきのハミングに加わる


まき 「もう一度一緒に歌ってみようよ。なにがあるかは、わからないけど」

【Elias歌劇団のテーマ】
ミュージック IN

  ※※※

古の物語
現世の物語
後の世の物語

これは
私たちの物語

;※※※

☆後半は音声のみになりますが、公演の全編をお楽しみいただけます☆

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