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あたおか散文

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流れ落ちるままに生み落とした「あたおか」な散文たち
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2022年7月の記事一覧

微笑みの亀裂

白い雲

黒い海

外れたカケラを左右に分けて

無心に前後に動かせば

ワルツのリズムで回ります

闇堕ちまでの交響曲

ずらした隙間から見える鼠の演舞

鞄の隅に魔界の木屑

としこさん、お呼びですよ

徒然の光線

なにみて笑う
#あたおか散文

琥珀色の血痕

煮込んで

煮染めて

煮凝って

あなたによく似た人間を探す

私を揺らして鍋底へ

叩き落として下さるような

君によく似た人間を探す

額から流れる血の温もりで

生命のありかを確かにしてくれる

貴殿によく似た人間を探す

煮えくり返って

煮返して

煮詰めた奥に

飴色の瞳
#あたおか散文

半陰陽の住処

あなたのその空っぽの声嫌いじゃありません

彼女はそう言うと黒い長手袋の中から一粒の砂金を取り出した

僕が手を差し伸べると砂金は一匹の蛙になって僕の胸に飛びつき食らいついた

むちりむちりと蛙は確実に心の臓を食い破っていくのに蛙の唇は冷ややかで柔らかく愉悦的だった
#あたおか散文

我彼方の声を聴くもの也

その海兵隊の服を着た少女は言った

父を失い、母を失ったとて時は止まらない

しかし、友を失った時

ひとつの歯車が止まる

昨日私は友をなくした

これから後私は時代の先へ進む事が出来ない

服、言葉、見える景色、人、そのような物が全てこの時代に幽閉されてしまうのだ
#あたおか散文

掻き消えた揺るぎない覚悟を早春の空に投げる

信じるものは救われる

信じているのはなんですか?

世界を疑って

何信じるのですか?

ことばことばことば

織りなすむつみごとに捉えられてパンを踏んだあなたの足が復活の鐘と共に踊り出す

疑っているのはなんですか?

僕らは随分と裏切られすぎたんだ

声も遠くに蝋梅の散る
#あたおか散文

茶箪笥の奥に貼られていた、いわく付きの終わり方

チリチリばらばら尖って光る

刺さって流れて元の鞘

ワインの澱に私もなりたい

父の仁丹

母の印鑑

いつでもあって

どこにも無い

ピースのパースが狂ったら

御心のままに始まりの合図
#あたおか散文

鍵を無くしたねじ巻きの宣誓

私があなたを忘れてる時でさえ

私はあなたを愛してる

そんな錘をつけた柱時計が刻む今日を

そこはかとなく生きている
#あたおか散文