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ワーママに向かって吐いた唾が自分に返ってきた

私は、現在、育休中で1才の娘を育てながら、子連れMBAで運営ボランティアをやっています。もともと出産する前から子育てと仕事の両立に興味があり、昨日、初めて子連れMBAの講座の運営をやらせてもらったのですが、愕然としました。講座当日に向けて着々と準備を進め、楽しみにしていた講座の司会の役割だったのに、子どもがいることで全く思ったように身動きが取れず、自分の役割が全うできず辛くて悔しい想いをすることになってしまったのです。講座が終わった後もしばらく呆然としてしまいました。

なぜ自分はここまで落ち込み、辛くて悔しい想いをしているのか。
自分の胸に手を置いてよく考えてみると、それは、私が過去にワーママに抱いていた不平不満を自分自身に向けなければならなかったことが原因だと分かりました。

天の唾①ワーママは0.5人前

名前に「子連れ」というだけあって、子連れMBAは、子連れに優しい団体だ。
子連れで講座の受講ができるだけでなく、講座の運営も子連れのママ達がやっている。
私も軽い気持ちで1才の娘を抱っこして講座の運営にチャレンジしてみた。きっと私もできるだろうと。

しかし、講座が始まる直前に子どもの機嫌が悪くなり、大泣きされてしまった。そして、抱っこしてもお菓子をやっても水を飲ませても、娘は泣き止むことがなく、娘の泣き声で周りの声が何も聞こえなくなり、講座の大半、運営の仕事を放棄することになってしまった。

赤ちゃんが泣くなんて想定内のこと。

冷静に考えれば、そうなのだが、泣いている娘を抱きかかえた私は大パニック。全く冷静さを失ってしまい、役割を全うできず、仕事を丸投げすることになってしまった。娘をベビーサークルに閉じ込めて、自分の役割を責任持って全うすべきか一瞬頭をよぎったが、それは私にはできなかったし、そうすべきでないとも判断した。ここは、「子連れ」の場所なのだ。泣いている娘を放置して、子連れ向けのボランティアするなんておかしい。そして、私はまさか仕事を仲間に丸投げしてしまった。しかも、「ごめんね、子どもが泣いて司会ができないからやってほしいの」とすら伝えられずに。ここまで自分の仕事が回らないなんて、想定外だった。

同じ運営の仲間は、温かい言葉を掛けてくれたし、講座自体は問題なく開講できたが、私の気持ちは収まらなかった。悔しくて情けなくて、でも自分の力ではどうしようもなくて…。

私だけは子どもがいても何も変わらない!

そう思っていたのに、変わり果てた自分の姿を認めざる得ない経験だった。

ワーママは子どもが熱を出すと会社を休む。
その皺寄せは、ワーママ以外が被ることになる。ワーママは、0.5人前!

独身時代、過去の私がワーママのことを見下して、そんな風に思っていたことが思い出され、涙が出るほど苦しくなった。

確かにワーママは独身と同じようには仕事ができないけれど、もっと温かい眼差しで手を差し伸べてあげようとすれば良かったのに、それができなかった自分を今更恥じた。
今日の苦しみは、正直、自業自得だった。

天の唾②仕事を取りに行け

「自分の仕事は、自分で取りに行くようにすればいい。」
これは、心から良かれと思って、私が本業の人事という仕事で実際に復職後のワーママに言ってきた言葉だ。

独身時代の私は、ワーママがマミートラックにハマってキャリアアップができなくなることが何より恐怖だった。マミートラックだけは会社に発生させたくなかった。みんな大きな仕事に挑戦して、やりがいをもって働きたいに違いない。若さゆえか、そんな風に信じて疑わなかった。だから私はワーママが少ない仕事量で時間を持て余すくらいなら、どんどん仕事を取りに行って上司にアピールすれば大丈夫だよ!と強く背中を押していた。

しかし、子どもが理由で仕事に支障をきたすかもしれない不安がある中で、自分から与えられた仕事以上の仕事を取りに行くことが、どれほど心理的ハードルが高いことか。。。この時、気付いてしまった。

私は、ワーママに無責任な事を言ってきた。

ボランティアでさえ、子どもが理由でやるべきタスクができなくて申し訳ない想いをするのに、本業の仕事だったなら、どれほど申し訳なく肩身が狭い想いをすることだろう…。

良かれと思って言ってきた言葉でさえも、自分自身に向けられると、心を切り裂く言葉になってしまった。なんて未熟で独善的な事を言っていたのか…。

じゃあどうすればいいのか

正直、まだ答えが出ない。

子どもが理由で自分がやるべき仕事を全うできないかもしれないことを想定して、事前に周囲に協力をお願いしておけばいいのだろうか?

同じワーママ同士なら、持ちつ持たれつ、認め合えるかもしれない。
少なくとも、子連れMBAでは、それが成り立つ。

でも、会社ならどうだろう。

子どもがいるのは、パパも同じ。
結婚したくてもできない独身もいる。
子どもが授からなくて悩んでいる既婚者もいる。
業績や人手不足に頭を悩ます経営者もいる。

色んな価値観を持つ人がいる会社の中で、ワーママだけの要望を主張できない。
でも、ワーママはそうでもしないと生きていけない。
それはワーママの開き直りなのか?
そんなワーママは図太いのか?

「独身女性は、信頼貯金をしておけ。そして、子育てで迷惑を掛けたらその貯金を使おう」
社内で聞いたことがあるけれど、よく考えるとおかしくないか?
普段から信頼関係を築く努力は、社員全員すべきことではないか?

またここでも悩んでしまった。

そして、また同時に別の問題も見つけてしまった。

自分の仕事を誰かに助けてもらうことは、そもそも辛いのだ。

自分の仕事は、誰でもできる。
自分はいなくても、大丈夫。
自分の代わりはいくらでもいる。

この社会に自分は必要とされていないんじゃないかと、また悩み込んでしまう。
もう、ここまでくると、これはワーママだけに限った話ではない。
社会構造の問題だ。

だから、
そろそろ社会が
変わらないといけない。

これからはワーママだけの特別な制度はもう要らない。

ワーママのために必要な支援は、全ての人が受けられるよう、本当の意味で平等な世界になるように、社会全体が変わっていく必要がある。

天に吐いた唾を拭いたら、また走り出そう!

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