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やや長編日記「東京散歩」

 こんばんは!ななしです。

 昨日の日記でも書いたのですが、今日は友達と皇居のあたりを散歩してきました。言葉の上ではデートとも呼べますが、どういう関係かは曖昧です。もちろん私が曖昧に感じているだけで、向こうは当然のように友達だと思っているかもしれません。笑 とにかく私たち二人の関係には、これといった合意はないということです。彼女のことは、仮にスージーと呼ぶことにします。

 目的地が暫定的に決め、14時に東京駅の改札内で集合しました。改札内なら、会ってから少し話し合って目的地を変更しても移動が容易だからです。
 私は少し早めに着いて、丸の内改札の中央口で待っていました。14時になり、スージーから「どこにいる?」とラインが来て、「中央口にいます」と返しました。「向かいます」という短い返事から、もう歩いて向かっていることが伝わってきます。
 しかし少ししても来ないので辺りを見回していると、私がいるのは南口であると気付きました。看板の矢印がちょうど見えないところに隠れてて、間違えちゃいました。笑 「あごめん、南口だった」と送り、「向かいます笑」と返事が来ました。

 会ってから皇居に向かいました。私は歩くのが遅くて人と歩調を合わせるのが苦手なのですが、スージーは昨日久々に運動をしたらしく全身が筋肉痛で、ちょうど同じペースになってくれました。最初はそういう気遣いかと思ったんですけど、時々笑ったときに「やめて筋肉痛なんだから」と言っていたので、気遣いではなさそうです。
 今までも今回も、大した話はしていません。スージーの指が小さいとか、返事は雑にしてはいけないことを痛感したこととか、暑いとか風が涼しいとか、堀が綺麗だと感じるのはなぜかとか、教育実習の思い出とか(スージーと私は教育実習を一緒に受けました)、仕事が楽しいとかつまらないとか、先輩がどうとか後輩がどうとか、日向坂46の新曲とかジャニーズWESTの番組とか。

 1時間半ほどノンストップで歩き、スージーは「喉渇いた」と言いました。私は「小腹が空いた」と言いました。「小腹が空くとお腹が空くって何か違うの?」と彼女が聞きました。私には違いが分からなかったので、「たしかに分からないね」と言いました。「でも相変わらずそういう発想好き」とも言いました。

~脱線~
 私はよく些細な疑問を思いつくのですが、それは細かすぎる話しとして扱われます。例えば、「コンビニでスムージーを売るなんてスムージーのお店はどう思ってるんだろう?」と考えそれについて話すと、「とは言っても安いし、気にしてないんじゃない?」みたいな返事が一つきます。私はさらにそこから色々考えたくなるのですが、(案外参考にしてるかも、とか、原価がどのくらい違うのか、とか)1ターン以上細かい話題を続けるのはあまり歓迎されたことがありません。

 ただスージーは、私と同じく細かい疑問を持ちます。例えば、以前私たちが新宿駅の中にいたとき、彼女は一つのエレベーターを見つけて「どうしてあのエレベーターにあんなに人が並んでるんだろうね」と言いました。私はその時、「そういう疑問って面倒って言われない?」と聞いたのですが、彼女は「たしかに言われる」と言ってました。
 要するに私とスージーは、世界の見え方に対して、多くの部分が似ているのです。これは私にとって何にも勝る喜びです。


 脱線しましたが、喉が渇き小腹が空いた私たちは皇居の外苑を外れて、駅の方に向かいました。自販機もコンビニも、全然見当たらなかったからです。
 警視庁を右に、霞ヶ関駅へと向かいました。スージーは相棒が好きで私はコナンが好きなので、警視庁を見るだけでも盛り上がっています。
 結局コンビニまでも15分くらいかかって、やっと建物の地下にセブンイレブンを見つけました。コンビニの手前には背もたれがないタイプのソファが円形に三つ並んでいて、ちょうど休憩も出来ます。
 私はティラミスとカルピスを買い、彼女はストロベリーバナナソイのスムージーを買いました。そしてベンチに腰掛け、またくだらないことを話しました。
 
 そこに座っている間、珍しいことがありました。

 「四千頭身って分かる?」と彼女が不意に言いました。私はすぐに答えず周りを見ると、四千頭身の石橋(漫才中右にいる人)と同じ髪型の人が5メートルほど先を歩いていました。
「あ~石橋?たしかに似てるね」
「いやあれ本人だよ多分」
「たしかに一緒にいる男性はスーツなのに、石橋似の人はラフだったし、でも高そうなスニーカー履いてたし、男二人で東京歩いてるにしては(身体的な)距離が離れてたし、本当にそうかも」

 私たちはセブンから出てくる彼を待ちました。
 やがて現れた彼は、非日常的なほど下を向いて歩いていました。顔も確実にそうだし、その顔を隠す感じもまさに芸能人でした。その余韻もそこそこに、話題は流れていきました。

 他愛もない話を続けていると、スージーは私に「こんなところで座って話してるより、どこか行きたいとか思ってない?」と聞いてきました。「思ってないどころか、そういうことに気を回せるようにならなければいけないと参考にしようと思った、てかそういうのって隠そうと思っても結構分かりやすいってよく言われるから、スージーなら簡単に気付けると思う」と答えると、「答え長すぎてむしろ怪しいけど、なら良かった」と言いました。
 ただ事実として、そんな疑問がよぎるほどに長い時間、私たちは座り続けていました。たぶん2時間くらいはいたと思います。散歩している時間よりは確実に長かったです。
 
 ようやく建物を出ると、外はすっかり涼しくなっていました。大通りから響く車の音や、体の周りをするすると通る風や、スージーの楽しそうな顔、どれをとっても美しい時間でした。
 皇居は一周しなければなりません。私とスージーにはその義務感がありました。方向音痴レベルマックスの私はそこそこ地理が分かる彼女に付いて行きました。
 
 すると日比谷公園から音楽が聞こえてきました。調べてみると、藤原さくらが野外コンサートを行なっていました。ちょうど最後の曲のようだったので、二人で聞いてから帰ることにしました。
 「この曲好き」スージーが呟くように言いました。
 「情景も歌に乗るからさらに良いよね」「そうそう」

 私たちは東京駅に戻ってきました。素人目にも美しい東京駅は相変わらず多くの人を惹き付けています。ウエディングドレスを着て写真を撮っている人も何人かいました。「ここで撮る人多いんだよ」とスージーが教えてくれました。

 電車に乗ってからは、スージーはすっかり眠そうでした、というか後半は寝てました。私も眠かったですが、この時間を寝るのはもったいない気がして頑張って起きました。
「じゃあばいばい」

 次はどこに行けるのでしょうか。

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