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台湾の俳優、監督ジミー・ウォング(王羽)さん死去

実はジャッキーの誕生日の直前、4月5日だったのですが、また大きな訃報が入ってきていました。


Record Chinaでは、ジャッキーの哀悼コメントも掲載されています。


Twitterのジャッキーアカウント。2022年最初のツイートはジミーさん哀悼になりました。

↑ジャッキーの実際のコメントはジャッキーのサイト内(英語)、ウェイボー(中国語)で拝見できます。


ジミーさんってどんな方?ざっくり紹介すると

上海の裕福な家庭に生まれ、高校、大学と水泳の選手として活躍していたが、試合中の乱闘事件により選手資格を剥奪されてしまう。
その後、新聞に掲載されていたショウ・ブラザーズのオーディションに応募し、見事合格。「片腕必殺剣」などのヒット作を生む→その後トラブルによりショウ・ブラザーズを離れ
ゴールデン・ハーベストに移り「片腕ドラゴン」「スカイ・ハイ」などのヒット作を生み出す。→その後トラブルにより、ゴールデン・ハーベストも離れ台湾に拠点を置く。
その後映画界から離れていたが、2011年より俳優に復帰。
近年は脳出血によりタイの空港で倒れ、緊急手術を受け療養の最中でした。

最初のエピソードからして乱闘事件の挙句、選手資格剥奪ですからね💦
それ以上に自身でも公言していらした通り、黒社会の一員としての数々のトラブルがあるのですが、ジャッキーファンの私からするとやはりジャッキージャック事件が印象的。

簡単に説明すると、ジャッキーがその時契約していたロー・ウェイの会社とゴールデン・ハーベストの間で二重契約が発生。それに激怒したロー・ウェイは黒社会の力を借りて「ヤング・マスター 師弟出馬」を撮影していたジャッキーを拉致。再契約を求めるが、ジャッキーのマネージャーであったウィリー・チェンによりゴールデン・ハーベストへの売却という事に収束。ロー・ウェイが動かしてしまった黒社会は、関わりの深いジミーさんが介入する事により和解(っていうか不和解消の方が合ってるかな)、無事に黒社会から手を切る事ができたという事でジャッキーはジミーさんに一生をかけて返さなくてはならない”借り”ができたという事件。

そんなブラックパワーが強いジミーさん。周りの方が震え上がるエピソードが多いです>興味のある方は自己責任で検索してみて下さい😅
私はジャッキーのファンなのでここまで。


海外での反応は

「Jimmy Wang Yu」で検索すると、Twitterだけでもこれだけある

トルコの映画ガイドのサイト Sinefesto


ブラジルのカルチャーサイト omelete


インドネシアのメディアサイト detikcom


ベネズエラのメディアサイト ÚltimasNoticias


Yahoo!になりますがロサンゼルスから発信の英字記事になります

いやびっくりしましたよ。北半球、南半球とどこおりなく報道されているなぁ。

中にはこんな方たちも


2代目ジェームズ・ボンドであり、「スカイ・ハイ」でジミーさんと共演したジョージ・レーゼンビー


香港で3本の映画に出演していると書いてありますね。「スカイ・ハイ」以外にあと2本。なんだろ?

007以降の初の悪役。機関銃を持ってジミーさんと格闘しているのがレーゼンビー。最後の火だるまのシーンはスタントなし(本人)で挑んだのだとか。しかし90年代後半以降映画作品には出演していないようですが、こうやってコメントを出して下さっています(^^)>スカイ・ハイはそれだけではなく、オープニング辺りでサモ・ハンがジミーさんにボコボコにされるシーンなどがあったりして面白いです。


イギリスの最北端、スコットランドのエディンバラを拠点として作品を作っている映画監督、作家であるマーク・カズンズ

彼はドキュメンタリー映画の監督として有名だそうです

マーク・カズンズがツイート内で「良い記事」として紹介しているサイト。なんだろ?と思ったらサウスチャイナ・モーニングポスト(香港で発行している日刊英字新聞)

なるほど~香港へ戻ってきたw
しかし情報発信の重要性をひしひしと感じますよね。違う言語圏の方でも情報を楽に受け取れる場所があるのは凄い事。

マーク・カズンズの作品で2022年6月10日公開予定の「ストーリー・オブ・フィルム 111の映画旅行」
こちらはこちらで楽しみ。日本へ向けてコメントも出しているようです。


ルーカスフィルムのクリエイティブマネージャーであり、2008年以降のスターウォーズシリーズの美術スタッフでもあるフィル・スゾタック

彼のツイートはツリー状になっているのですが、こちらも熱のこもったメッセージが入ってますね。
CelestialPicturesが復刻させてくれた数々のショウブラ作品のおかげで作品に触れる事ができ、コレクターになったと書いてあるのかな。
特に勝新太郎さんと共演した「新座頭市 破れ!唐人剣」の事を取り上げてます。盲目と片腕の対時。こちらの作品は日本版と香港版があるようなのですが、どちらのバージョンを見たのかな?気になりますねw

フィル・スゾタックはスターウォーズ関連の、このようなアートブックを発売されているようです。ジミーさん、クリエイティブな方々に影響を与えてるのかな


日本からは倉田保昭さん。

香港功夫映画評論家である知野二郎さんのブログ「超級龍熱」。
こちらで倉田さんによる追悼メッセージが掲載されています。亡くなった悲しみと、コロナウィルスで思うように台湾へ行けない悲しみ。そしてジミーさんとの思い出も披露されています。
裸一貫で香港へ飛んだ倉田さん。色々お世話になったのだろうな~

倉田さんは「ドラゴンvs不死身の妖婆」でジミーさん相手にダブルヌンチャクを披露されてます。


功夫映画のパイオニアじゃないか説のあるジミーさん

中国の国営通信社、新華社が運営しているサイト、新华网。その中のジミーさん追悼記事です。近年のジミーさんの様子、タイの空港で倒れた時の事なども詳細に書いてあります。

每个巨星都有属于自己的时代,用成龙的说法,香港武打动作片有三个时代,三个代表人物。一个当然是他自己,然后往前一个是李小龙,而被冠以开创者身份的,就是王羽。

新华网
2022.04.08 别了,王羽!再见,独臂刀!より

記事の中で紹介されているのですが、
ジャッキー曰く香港の武術アクション作品には3つの時代がある。

1つは当然自分、成龍の時代。
その前はブルース・リー、李小龍の時代。
もう1つは開拓者、先駆者であるジミー・ウォング、王羽の時代。

その前にジミーさんはショウ・ブラザーズで「片腕必殺剣」などの武侠映画でアクションは披露しているのですが、武器を持たない功夫でアクションを構築した「吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー
この作品が香港映画のターニングポイントとなった作品だと言われています。香港映画初の100万人動員という異例の大ヒットとなったのです。

この作品でジミーさんは監督、脚本、主演の3役をやっています。
えー一応復讐劇になるんですよね?
敵襲ってきて倒される→修行(トンデモ)→ラストバトル
今では王道と言われているこの話の流れを作ったのはジミーさんなのかな?

ジミーさんが日本の「姿三四郎」からヒントを得て功夫でのアクションを作品に取り込んだとか、この作品を観たブルース・リーが脚本のチープさとジミーさんのアクションのクオリティに憤慨し、映画界へ乗り込んできたとか、まー逸話には事欠かないw
その分野のパイオニアとは、こういうものなのか。。

ジミーさん監督作品の最大の特徴・・・奇想天外!勝てばなんでもアリ!
正義とかの大義名分を持って(いるはずなんですけど)おらず、敵を倒すというエンターテイメントに特化している作品が多いのでジャッキー作品よりも頭空っぽにして楽しむ作品が多いですね。
確かにリーさんが憤慨したほどのお話のチープさはあるし、ジミーさんは運動神経が優れていたとはいえ武道家であるブルース・リーや京劇で功夫、アクロバティックな基礎を叩きこまれたジャッキーとは違いすぎるものはあったんです。先の2名と比べるとアクションにリアルを取り込めない。

が、それらを補えるだけのカメラワークやシーンの演出方法を知っている人だった

特にジミーさんの監督作品を観て頂けると、ハッと目を引くシーンがいくつも出てくるんですよね。私的には非常にセンスを持った方だなという印象が。しかしその類まれなるセンスにかまけて、そのセンスを磨き上げようとしなかったんじゃないかと。>それが作品にも現れているような気がします。


ジャッキーとの共演は

ジャッキーが悪役で共演の「ファイナル・ドラゴン(キラードラゴン/流星拳)」

ジミーさん、他の作品でもアクション時に明らかに人外な動きをしたりするんですけどwこの作品でも健在。


「プロジェクトA」撮影中に突如呼ばれて制作されたという「ドラゴン特攻隊」

今観ると、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったジャッキーと、人気その他が低迷して名だたるスターたちをかき集めて作品を作ったジミーさんの光と影のような対比が伺えます。破滅的ハチャメチャ作品。


「プロジェクト・イーグル」日本プロモーション時に突如呼ばれて撮影された「炎の大走査線」

いや、主役はレオン・カーフェイだからw
サモ・ハン&アンディ・ラウまで招集されとるんですよ。出演者がほんとに豪華で、ジャッキーvsアンディがみどころの1つ。
つーか、この話って実話が元になってるんですか💦

主題歌がやたらカッコ良いんですよ。「最後一槍」

監督は「ドラゴン特攻隊」と同じく朱延平。

下の2作品はいずれもジミーさんから招集を受けてノーギャラ出演。
ジャッキー曰く「借りを返すこと以上に重要な事はない」


しかし、ジミーさんが関わっているジャッキー作品の中で絶対に見過ごせない作品があったりします。

「ファースト・ミッション」

制作総指揮:午馬(ウー・マ)
監督:サモ・ハン
脚本:黄炳耀(バリー・ウォン)
※少し調べてみたのですが、「ユン・ピョウinドラ息子カンフー」「ドラゴンロード」福星シリーズに霊幻道士シリーズ、「ツイン・ドラゴン」なども手掛けていらっしゃいますね。あ、この方の脚本好きだわ。と気づいたと同時に91年にお亡くなりになっていたのも知る。。。香港映画にとって大きな損失ですね。

ジミーさんは制作としてクレジット。冒頭一番最初にでかでかと「王羽」と。出てきます
というのも、最初ジミーさんは作品には関わっておらず、香港のとあるプロデューサーが松竹側へ話を持ち掛け出資したのだけど、そのお金を持ち逃げされそうになり制作が停滞。ジミーさんに協力を要請し、無事完成させる事ができたようです。

80年代、90年代と香港映画界は黒社会の方々との話が色々横行しててカオスな状態。良いか悪いかは別として、ジミーさんは各所で起こるトラブルを仲介する役割を受け持っていた部分があるように見えますね。>日本のヤクザも、この時代は似たような役割があったのかも知れません。

この作品がですね。ジミーさんが関わっているにも関わらずジミーさんの作品が持っている奇想天外!なんでもアリ!な雰囲気が一切なく
丁寧に描かれたお話と、サモ&ジャッキーの熱演と、洪家班ならびに動作設計に入っているユン・ピョウが作り出すバイオレンスでアクロバティックなアクションが混然一体となった名作となっていますね。>ジャッキーは失敗という認識のようですが

この作品も、ジミーさんがいなければ(たぶん)完成しなかったのですよね。

最後に、観て頂きたいと思うジミーさん主役の作品を

ジミーさんの作品は、ショウブラ時代から奇想天外!勝てばなんでもアリ系の作品が目を引きますね(^^)良い意味で✨

「片腕必殺剣」「続・片腕必殺剣」

ジミーさんの最初のヒット作ですね。東南アジアでは”天皇巨星”と呼ばれるほどの売れっ子ぶりだったそうで。

ショウ・ブラザーズの作品は濃厚なお話が特徴。
一応、同じ主人公のシリーズものという括りになりますが
「片腕必殺剣」が正統派武侠作品
「続・片腕必殺剣」の方がより破天荒なお話になっていて
よりジミーさんテイストなバイオレンス×エンターテイメント作品になっています。「酔拳2」のフクさんでおなじみラウ・カーリョンや、70年代のジャッキー作品に出演している方々も出演していてアクションが凄い事になっています。

ついでに、この頃からそこまでトンデモではないけども修行シーンなどもあったりしてエンターテイメントにも優れている作品です。気になった方は是非。


「吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー」

はい。再びの登場です。功夫映画という1ジャンルを築いた作品。
これがなかったらブルース・リーやジャッキー・チェンという2大スターが現れたかどうかは不明です。
パイオニアに相応しく、主人公が人外な動きを見せたり
トンデモに次ぐトンデモ修行、勝てばなんでもアリのブラックパワーを魅せつけられますw>そういう所をエンターテイメントに落とし込むのが上手いのよジミーさんって。


「片腕ドラゴン」

ジミーさん主演作品では、最初の日本公開作品のようです。
ジミーさんって結構オープニングに力が入っているんですよね。随所に目を引く仕掛けがしてあります。パラパラ漫画風テイストに、BGMのギターがワウワウいってる(当時このような音が流行ったんですよ
ラストバトルでの爆発シーンが当時の東映の特撮作品を彷彿とさせます。


「スカイ・ハイ」

少しジャッキーアクション的要素もあるんですよね。周りのものを使って攻撃したりとか。コンピュータの歴史にも傍らで見続けてきたのでIBMのビルが映ると懐かしっ!!とか思ってしまいますがw

「吼えろ!ドラゴン~」の作品でブルース・リーが憤慨したという話は有名すぎる逸話なんですけども、ジャッキーはジミーさんの作品を観て、リーさんのような(憤慨とまではいかないけども)俺がもっと良い作品を作ってやる!的な気持ちはなかったのかな。。。?と、この作品を観るとつい思ってしまうんですよね~まあ思っていても大恩人相手に口にするわけないか。

この作品に忘れてならないのが主題歌「スカイ・ハイ」歌:Jigsaw

一応こちらで試聴はできるようになっているのかな。1ヵ月無料プランにするか聞かれると思いますが、いいえを選んでも試聴は可能なようです。

この時代の事は良くわからないのですが、香港映画に外国のアーティストによる主題歌が付くなんてのは珍しくない事だったんでしょうか?>ご存知の方がいたら教えて下さい。


「捜査官X」

ドニー・イェン、金城武主演のミステリー×アクション作品。
随所にグロ表現が出てくるので、ご覧になる方はちょっと覚悟しておいた方が良いです。
ジミーさんは主人公ジンシーの最凶の敵として出てきますが
まーーーーーーー怖い。

見ているだけで震え上がる怖さ。地でいくものもありますが、ジミーさん自身の演技によるものも大きいと思いました。
アクション監督がドニーさんで、アクションコーディネーターに谷垣健治さんが入っています。
ラストバトル直前で主人公ジンシーはジミーさんの大ヒット作品のオマージュと言うべき片腕切り落としをしてからラストバトルへと突入するんですよね。
この作品は是非とも観て欲しい1本ですね。>悪役としてのジミーさん、俳優としてのジミーさんが完全に息を吹き返したような感じを受けました。


「失魂」

ジミーさん主演最後になる作品のようです。実は私はまだ観た事が無いのですが、日本公開はしていないのかな。。。?

日本料理店に勤め、睡眠障害を持つ阿川の父親を演じています。ジャンルはホラー映画になるんでしょうか。

予告編を観る限りでもマジ観たいんだが。ジミーさんがどうとかこうとかではなく、作品として面白そう。良い意味で出演者だけに視線が向かない作品ですね。

ちなみにこの作品でジミーさんは
第15回台北電影獅子賞 最優秀俳優賞を受賞しています。
2011年に脳卒中に見舞われリハビリを経て復帰した後の作品。


以上、長々と書いてしまいました。逸話だらけ、それに功夫映画というジャンルのパイオニアになったジミーさん。なんかジミーさん相手だと悲しい気持ちではなくて数々のトンデモ作品を頭空っぽにして観た方が良いような気もしてきますね(^^)>ジャッキーとの共演作品も然り、もし良かったら是非。

最後まで読んで頂き、ありがとうございます(^^)

私はジャッキー・チェンを良く知らない、最近知ったばかりの方へ向けて記事を書いていきたいな~と思います。 メリケンコさんのYouTubeで訳詞を提供しております。そちらもどうぞ https://www.youtube.com/c/moriatomerikenko/videos